【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.52)化学的浸食、風化の調査

コンクリート診断士 問題と解説Vol.52

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問256_化学的変状】

 各種工場のコンクリート床に著しい浸食が認められた。この原因となる物質として、不適当なものはどれか
(1)高濃度の水酸化ナトリウム水溶液
(2)高濃度の酢酸水溶液
(3)だいず(大豆)油
(4)メチルアルコール
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正解(4)

(1)問題のとおりです。コンクリートは、一般にはアルカリには浸食されませんが、高濃度の水酸化ナトリウムには浸食されます。
(2)問題のとおりです。コンクリートは酸に浸食されます。
(3)問題のとおりです。コンクリートは、動物油、植物油に含まれる遊離脂肪酸に浸食されます。
(4)誤りです。アルコール類は、コンクリートの性質に影響を及ぼしません。

【問257_化学的変状】

 下水道施設における鉄筋コンクリート製管きょの調査結果に対する次の判断のうち、不適当なものはどれか
(1)施工記録から、中庸熱ポルトランドセメントが用いられていたことが判明したため、硫酸塩に対する抵抗性は高いと判断した。
(2)天井部が一部浸食されていたが、これは化学的腐食であると判断した。
(3)管きょ内で高濃度の硫化水素が検出されたため、硫酸による化学的腐食が進行すると判断した。
(4)化学的腐食による底部の劣化は、常時水中下にあるため、天井部よりも著しいと判断した。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。中庸熱ポルトランドセメントは、水和熱を小さくするためにケイ酸二カルシウムの割合を大きくしています。そのため、水和反応によって生成される水酸化カルシウムの量が少なくなるため、硫酸塩との反応が起きにくくなります。
(2)問題のとおりです。化学的浸食は、気中に拡散された硫化水素により、天井部などの水に接しない部分に、激しい浸食が生じます。
(3)問題のとおりです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することで生じます。
(4)誤りです。化学的浸食は、水中よりも気中の方が激しく生じます。

【問258_化学的変状】

 下水道施設のコンクリートの劣化調査結果に対する判断の次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート表面に二水せっこうの析出が認められたので、化学的浸食が進行していると判断した。
(2)コンクリート表面が常時湿潤状態だったので、中性化は進行していないと判断した。
(3)硫化水素が検知されたが、気体であるため化学的浸食は生じていないと判断した。
(4)気中部でコンクリートに骨材露出が見られたので、下水中部ではさらに激しく化学的浸食が進行していると判断した。
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正解(1)

(1)問題のとおりです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することで生じます。
(2)誤りです。下水道環境では、コンクリート表面から硫酸の影響を受け、中性化が進行します。
(3)誤りです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することで生じます。
(4)誤りです。化学的浸食は、気中に拡散された硫化水素により、天井部などの水に接しない部分に、激しい浸食が生じます。

【問259_化学的変状】

 建設後10年経過した下水道施設に用いられているコンクリートの劣化調査結果に対する次の判断のうち、不適当なものはどれか
(1)水路の喫水線上部の表層劣化部分では多量な二水せっこうの生成が認められたので、微生物の作用により生成された硫酸により劣化が進行していると判断した。
(2)水路の平坦な箇所の気相部ではセメントペーストが溶けて骨材が露出していたので、水路の段差のある箇所の気相部でも劣化が進行していると判断した。
(3)フェノールフタレイン溶液をコア断面に噴霧したところ、コンクリートの表層以外では呈色したので、呈色した部分には硫酸イオンは浸透していないと判断した。
(4)常時水没している部分ではほとんど劣化が見られないので、その部分は今後も急激に劣化が進行しないと判断した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され、その二水せっこうが脱落することで生じます。
(2)問題のとおりです。化学的浸食は、水中よりも気中の方が激しく生じます。
(3)誤りです。コンクリートのpHは12程度で、フェノールフタレインはpH10程度で呈色します。コンクリートが硫酸イオンで酸化されても、呈色する場合があります。
(4)問題のとおりです。常時水没している部分ではほとんど劣化が見られない場合、その部分は今後も急激に劣化が進行しないと判断します。

【問260_風化】

 地下水(軟水)に接するコンクリート構造物の表層部50mmの範囲からコンクリート試料を採取し、成分溶出に関する調査を実施したところ、試料すべての部分において水酸化カルシウムが検出されなかった。以下の記述のうち、適当なものはどれか。なお、コンクリートの骨材は硬質砂岩を使用している。
(1)採取したコンクリートのpHは低下していない。
(2)採取したコンクリートの水和物の大半はSiO2ゲルである。
(3)採取したコンクリートの圧縮強度は低下している。
(4)採取したコンクリートの骨材は溶解し始めている。
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正解(3)

(1)誤りです。軟水と接すると、コンクリート細孔溶液中との濃度勾配が大きくなるため、成分溶出が進行します。水酸化カルシウムが検出されていないため、pHは低下します。
(2)誤りです。溶出による劣化とは、コンクリート中のセメント水和物成分が周囲の水に溶解して硬化体組織が疎となる現象です。主要な水和生成物のうち最も溶解度が大きいのは水酸化カルシウムです。水酸化カルシウムが消費された後に、カルシウムシリケート水和物の溶出が進行します。
(3)問題のとおりです。セメントの組織が疎になり、圧縮強度は低下します。
(4)誤りです。硬質砂岩は容易に溶解しません。
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