【H27_No.26~30】コンクリート主任技士 問題と解説
【(H27)-No.26】
鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を増加させるための設計手法に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。ただし、他の条件は変更しないものとする。
(1)あばら筋(スターラップ)の配置間隔を小さくする。
(2)あばら筋(スターラップ)の降伏強度を高くする。
(3)引張側の主(鉄)筋量を増やす。
(4)コンクリート強度を高くする。
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正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。あばら筋(スターラップ)の配置間隔を小さくすることは、鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を増加させるための設計手法として正しいです。コンクリート梁のせん断耐力は、梁部材に配置されるせん断補強筋の断面積、強度およびコンクリート強度から決定されます。
(2)〇:問題のとおりです。あばら筋(スターラップ)の降伏強度を高くすることは、鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を増加させるための設計手法として正しいです。
(3)×:誤りです。引張側の主(鉄)筋量を増やすことは、実構造物としての若干のせん断耐力増加はありますが、鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を増加させるための設計手法としては正しくありません。
(4)〇:問題のとおりです。コンクリート強度を高くすることは、鉄筋コンクリート梁のせん断耐力を増加させるための設計手法として正しいです。
【(H27)-No.27】
下図は、梁幅のみが異なる断面(a)、(b)を有する2種類の鉄筋コンクリートの片持ち梁である。この2種類の針の先端に同じ大きさの鉛直方向の集中荷重Pが作用するとき、両者で値がほぼ等しくなる量として、適当なものはどれか。
(1)曲げひび割れ耐力
(2)引張主(鉄)筋の降伏耐力
(3)せん断耐力
(4)ひび割れ発生前の部材先端のたわみ量
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正解(2)
(1)×:誤りです。曲げひび割れ発生耐力は、断面に生じる曲げモーメントを断面係数で除した値です。断面積が1.5倍になると、曲げひび割れ発生耐力も1.5倍となります。
(2)〇:問題のとおりです。引張主(鉄)筋の降伏耐力は、引張側(図の上側)の鉄筋の断面積量によって決まります。(a)と(b)は上側の鉄筋量は同じであるため、引張主(鉄)筋の降伏耐力はほぼ等しいです。
(3)×:誤りです。せん断耐力は、せん断補強筋の断面積およびコンクリート強度で決まります。梁断面積が大きくなれば、コンクリート負担分のせん断耐力が上昇します。
(4)×:誤りです。たわみは、梁の長さ、弾性係数、断面2次モーメントで算出されます。断面2次モーメントは梁幅が増大すると比例して増大します。
【(H27)-No.28】
下図のような鉄筋コンクリート造ラーメンに水平荷重および、鉛直荷重が作用したとき、ひび割れが発生する位置として、適当なものはどれか。ただし、水平荷重Pと鉛直荷重Pは同じ大きさとする。
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正解(2)
曲げモーメント図より、柱・梁ともにラーメン架構の内側が引張側になります。引張側にひび割れが生じるため、正解は(2)となります。
【(H27)-No.29】
コンクリート製品に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)遠心力締固めが行われるヒューム管の製造において、水セメント比55%の軟練りコンクリートを用いた。
(2)高強度プレストレストコンクリートくいの製造において、常圧蒸気養生後にオートクレーブ養生を行った。
(3)鉄筋コンクリート製のボックスカルバートの製造において、製品の要求性能を損なわないことを確認したので、再生骨材を用いた。
(4)振動締固めが行われるコンクリートまくら木の製造において、スランプ15cmの硬練りのコンクリートを用いた。
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正解(1)
(1)×:誤りです。ヒューム管の製造に使用するコンクリートは水セメント比38%以下、スランプは2~6cmの硬練りコンクリートです。
(2)〇:問題のとおりです。オートクレーブ養生を用いることで、コンクリート製品は、製造した翌日には28日強度を得ることができ、さらには常温では不活性なシリカが、カルシウムと結合することで、けい酸カルシウム水和物(トベルモライト)という強度の高い安定した反応物を生成するため、製造されたコンクリートは常温で養生された場合よりも高強度なものとなります。
(3)〇:問題のとおりです。再生骨材は、プレストレストコンクリート製品を除いて、製品の要求性能を損なわないことを確認すれば使用できます。
(4)〇:問題のとおりです。振動締固めが行われるコンクリートまくら木の製造において、スランプ6~15cmの硬練りのコンクリートを用います。
【(H27)-No.30】
下図に示す(a)、(b)の断面をもつプレストレストコンクリート(PC)単純梁(プレテンション方式で作製)のスパン中央に集中荷重Pを徐々に増加させて載荷する。このとき次の(1)~(4)の組合せのうち、適当なものはどれか。なお、PC鋼材の断面積、引張強さ、緊張力は(a)、(b)で同じとする。また、PC鋼材は部材軸方向に直線配置されている。
曲げひび割れ発生荷重 | 曲げ耐力 | Pが同一の時の、部材中央部のたわみ量 | |
(1) | (a)>(b) | (a)>(b) | (a)<(b) |
(2) | (a)>(b) | (a)=(b) | (a)<(b) |
(3) | (a)<(b) | (a)=(b) | (a)>(b) |
(4) | (a)<(b) | (a)<(b) | (a)>(b) |
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正解(4)
単純梁のスパン中央部に上から集中荷重が作用すると、梁の下端に引張応力が発生します。その引張応力がコンクリートのひび割れ耐力を上回ることで、部材にひび割れが生じます。(b)は部材の下側にPC鋼材が配置されているため、(a)よりもひび割れ耐力が高くなります。
PC部材の曲げ耐力は梁の圧縮側の縁端から、引張鉄筋の重心位置までの距離Jと引張鉄筋の断面積atを乗じて求めます。(b)の方がJが大きいため、曲げ耐力は大きくなります。
PC部材の曲げ耐力は梁の圧縮側の縁端から、引張鉄筋の重心位置までの距離Jと引張鉄筋の断面積atを乗じて求めます。(b)の方がJが大きいため、曲げ耐力は大きくなります。