【コンクリート主任技士過去問解説】平成28年度No21~25

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成28年度―問題21】

 コンクリートのコンクリートの養生・表面仕上げに関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)JASS5によれば、中庸熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと材齢28日における強度発現がほぼ同等なので、湿潤養生期間は普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと同じである。
(2)JASS5によれば、普通ポルトランドを用いた厚さ18cm以上のコンクリート部材においては、コンクリートの圧縮強度が5N/mm2に達すれば、材齢5日未満であっても、湿潤養生を打ち切ることができる。
(3)土木学会示方書によれば、日平均気温が5℃以上10℃未満の場合、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの湿潤養生期間は7日、高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は9日を標準としている。
(4)膨張材を用いたコンクリートでは、膨張材の化学反応による膨張効果が養生条件により大きく変化するため、養生期間中において、十分な湿潤状態に保つことがきわめて重要である。
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正解(4)

(1)誤りです。中庸熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと材齢28日における強度発現が低くなるので、湿潤養生期間は普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも2~3日間延長します。
(2)誤りです。普通ポルトランドを用いた厚さ18cm以上のコンクリート部材においては、コンクリートの圧縮強度が10N/mm2に達すれば、材齢5日未満であっても、湿潤養生を打ち切ることができます。
(3)誤りです。土木学会示方書によれば、日平均気温が5℃以上10℃未満の場合、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートの湿潤養生期間は9日、高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は12日を標準としています。
(4)問題のとおりです。膨張材には、主に遊離石灰系とエトリンガイト系の2つがあります。遊離石灰系は、酸化カルシウムと水を反応させて、水酸化カルシウムの結晶を生成させて膨張性を付与するものです。エトリンガイト系は、セメント中のアルミン酸三カルシウムと硫酸イオンおよび水を反応させて生成される膨張性のあるエトリンガイトを生成します。いずれも、水と反応し、膨張材の化学反応による膨張効果が養生条件により大きく変化するため、養生期間中において、十分な湿潤状態に保つことがきわめて重要です。

【平成28年度―問題22】

 各種型枠工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)透水性型枠は、透水性材料を型枠のせき板に取り付けることによってコンクリート中の余剰水や気泡を型枠外に排出する工法であり、コンクリート表層部の組織が緻密化するので、耐久性が向上する。
(2)ラス型枠工法は、特殊金網を型枠として使用した工法であり、組み立てが容易で脱型作業を行わないので、表面の凹凸や型枠のさびが問題とならない基礎や地中梁の型枠として使用される。
(3)スリップフォーム工法は、同じ断面形状の構造物(塔状構造物や舗装など)を連続的に施工する場合に用いられる工法であり、コンクリート強度が設計基準強度に達したことを確認したうえで、型枠をスライドさせる。
(4)鋼製のデッキプレートを床型枠として用いる工法は、型枠の剛性が高いため、型枠を支持する支柱を省略でき解体作業も不要なので、工期の短縮を目的として使用される。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。透水性型枠は、透水性材料を型枠のせき板に取り付けることによってコンクリート中の余剰水や気泡を型枠外に排出する工法で、コンクリート表層部の組織が緻密化するので、耐久性が向上します。
(2)問題のとおりです。ラス型枠工法は、特殊金網を型枠として使用した工法であり、組み立てが容易で脱型作業を行わないので、表面の凹凸や型枠のさびが問題とならない基礎や地中梁の型枠として使用されます。
(3)誤りです。スリップフォーム工法は、同じ断面形状の構造物を連続的に施工し、工期を短縮する場合に用いられる工法であり、型枠をスライドさせてもコンクリートに悪影響が生じない、所定のコンクリート強度に達したことを確認したうえで、型枠をスライドさせます。
(4)問題のとおりです。鋼製のデッキプレートを床型枠として用いる工法は、型枠の剛性が高いため、型枠を支持する支柱を省略でき、解体作業も不要なので、工期の短縮を目的として使用されます。

【平成28年度―問題23】

 鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)土木学会示方書に従い、鉄筋端部のフックの余長は、折曲げ角度が90°の場合、180°と同様に、鉄筋直径の4倍以上かつ60mm以上とした。
(2)JASS5に従い、設計かぶり厚さは、施工精度を考慮して最小かぶり厚さに10mmを加え、計画供用期間の級が標準である建物の柱部材では、屋内で40mm、屋外で50mmとし、直接土に接する柱部材では30mmとした。
(3)呼び名がD29のSD345の鉄筋に、同じ径であるSD490の鉄筋をガス圧接継手によって接合した。
(4)土木学会示方書に従い、主(鉄)筋を2段に配置する梁の設計において、軸方向鉄筋の水平のあきは20mm以上、粗骨材の最大寸法の4/3倍以上、鉄筋直径以上とし、軸方向鉄筋の鉛直のあきは20mm以上、鉄筋直径以上とした。
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正解(4)

(1)誤りです。鉄筋端部のフックの余長は、折曲げ角度が90°の場合と、180°では異なります。折曲げ角度が90°の場合は、180°の場合の2倍の長さとするよう規定されています。JASS5では、90°の場合8d以上、135°の場合6d以上、180°の場合4d以上と規定されています。
(2)誤りです。設計かぶり厚さは、施工精度を考慮して最小かぶり厚さに10mmを加え、計画供用期間の級が標準である建物の柱部材では、屋内で40mm、屋外で50mmとし、直接土に接する柱部材では50mmとします。
(3)誤りです。ガス圧接継手では、鋼材の種別は1ランク以内、径の差は7mm以内であれば圧接が可能です。SD345の1ランク違いは、SD390、SD295(A、B)です。
(4)問題のとおりです。土木学会示方書において、軸方向鉄筋の水平のあきは20mm以上、粗骨材の最大寸法の4/3倍以上、鉄筋直径以上と規定されています。また、2段に配置する梁では、軸方向鉄筋の鉛直のあきは20mm以上、鉄筋径以上としています。なお、柱における軸方向鉄筋のあきは、40mm以上、粗骨材の最大寸法の4/3以上、鉄筋直径の1.5倍以上としなければなりません。

【平成28年度―問題24】

 寒中コンクリートの初期凍害防止対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)マスコンクリートの施工に際し、コンクリート温度が高いと水和発熱に起因する温度応力によるひび割れが発生しやすくなるので、打込み時のコンクリート温度が5℃以上となるように練上がり温度を定めた。
(2)JASS5に従い、コンクリートの圧縮強度が5.0N/mm2以上に達したことが確認されるまで、コンクリートが凍結しないように初期養生を継続した。
(3)土木学会示方書に従い、普通ポルトランドセメントを使用した「断面の大きさが普通の場合」で、型枠の取外し直後に構造物が曝される環境が「コンクリート表面が水で飽和される頻度が高い場合」に、養生期間を圧縮強度が5N/mm2を発現するまでとした。
(4)土木学会示方書では、打込み時のコンクリート温度が5~20℃、JASS5では、荷降ろし時のコンクリート温度が10~20℃と規定されている。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。コンクリートの初期凍害を防止するために、打込み後の温度は10℃程度を確保する必要があります。一方、マスコンクリートのように、水和熱による温度上昇が大きい場合は、凝結が速くなることや、温度ひび割れの発生に注意が必要です。そのため、土木学会示方書では、打込み時のコンクリート温度を5~20℃としています。
(2)問題のとおりです。JASS5では、初期凍害を防ぐために、温度養生終了時に必要とされるコンクリートの圧縮強度が5.0N/mm2以上であることを条件としています。
(3)誤りです。土木学会示方書に従い、普通ポルトランドセメントを使用した「断面の大きさが普通の場合」で、型枠の取外し直後に構造物が曝される環境が「コンクリート表面が水で飽和される頻度が低い場合」に、養生期間を圧縮強度が5N/mm2を発現するまでとしています。「高い場合」は、12N/mm2としています。
(4)問題のとおりです。土木学会示方書では、打込み時のコンクリート温度が5~20℃、JASS5では、荷降ろし時のコンクリート温度が10~20℃と規定されています。

【平成28年度―問題25】

 暑中コンクリートの施工において、コンクリートの練上がり温度が35℃を超えると予想されたので、水、細骨材および粗骨材の温度を下表に示す温度に調節した。対策後のコンクリートの練上がり温度として、適当なものはどれか。ただし、水の比熱は4.18kJ/(kg・K)、セメントおよび骨材の比熱は0.836kJ/(kg・K)(水の比熱に対する比は0.2)とする。
材料 セメント 細骨材 粗骨材
単位量(kg/m3 165 300 900 1000
温度(℃) 10 50 20 20
(1)約17℃
(2)約20℃
(3)約23℃
(4)約26℃
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正解(3)

$$T=\frac{C_{s}(T_{a}W_{a}+T_{c}W_{c})+T_{w}W_{w}}{C_{s}(W_{a}+W_{C})+W_{w}}{・・・①}$$

WaおよびTa:細骨材と粗骨材の質量(kg)および温度(℃)
WcおよびTc:セメントの質量(kg)および温度(℃)
WwおよびTw:水の質量(kg)および温度(℃)
Cs:水の比熱に対するセメントおよび骨材の比熱の比を0.2としてよい。
 上式にそれぞれ数値を代入します。
Wa=900+1000=1900
Ta=20
Wc=300
Tc=50
Ww=165
Tw=10
Cs=0.2
最終的に、T=20となります。
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