【No.101】
コンクリートの打ち込みおよび締め固めに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)打ち込みにおける自由落下高さを大きくすると,材料分離が生じやすい。
(2)柱と梁の接合部の打ち込みは,梁下でコンクリートをいったん打ち止め,1~2時間程度沈降待ちをして再開する。
(3)棒形振動機を鉄筋に接触させると,結束が緩んだりするので,接触しないように注意する。
(4)締め固め時間は,スランプの大きいコンクリートほど長くするのがよい。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。打ち込み時に自由落下高さを大きくすることは,仮に打ち込み箇所まで何も落下の障害となるものがない場合でも,コンクリート材料の単位容積質量の違いから分離が生じやすいです。また,自由落下する経路に鉄筋等の障害物が存在するとコンクリートが衝突する際にさらに分離を生じやすくなります。
(2)○正しい。柱と梁の接合部,あるいは璧の上部に梁が設置された部材高さが異なる部材を同時に打ち込みむ際は,ブリーデイングによる沈下量の違いから,コンクリート上面にひび割れを生じることがあります。これらを防止するには,まず,高さの高い部位を梁等の下端まで先に打ち込み,ブリーデイングによる沈下が落ち着くのを待って,梁などの部材のコンクリートを打設するのがよいです。
(3)○正しい。棒形振動機を鉄筋に接触させると,さまざまな障害が発生します。結束が緩み鉄筋聞隔が乱れるのももちろんですが,鉄筋が振動することにより鉄筋の周囲に材料分離が生じ鉄筋の付着が阻害される等の障害も生じます。
(4)×誤り。コンクリートを締め固めるのに要するエネルギーは,スランプが小さいコンクリートほど大きくなります。スランプの大きいコンクリートは少量のエネルギーで振動締め固めが可能であり,過剰に振動を加えると分離を生じる可能性が高くなるため,振動締め固めの時間は過大にならないように注意しなければなりません。
【No.102】
コンクリートの締め固めに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)スランプ15cmのコンクリートを,公称棒径40mmの棒形振動機を用いて締め固める場合,棒形振動機1台につき,コンクリートの締め固め量を,1時間当たり60m3として計画した。
(2)スランプ15cmのコンクリートを,公称棒径40mmの棒形振動機を用いて締め固める場合,棒形振動機の挿入間隔を40cm程度とした。
(3)スランプ15cmのコンクリートを,公称棒径40mmの棒形振動機を用いて締め固める場合,一層の高さを40~50cmとして打ち込み,締め固めた。
(4)スランプ15cmのコンクリートを,公称棒径40mmの棒形振動機を用いて締め固める場合,棒形振動機の先端を下層のコンクリート中に10cm程度挿入した。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。通常,コンクリート打設速度は,締め固めに必要な時間によって決定します。コンクリート打設計画において,1時間当り60m3の速度は,圧送ポンプ1台あたり最大と見なす値です。また,棒形振動機は,圧送ポンプ1台につき3台程度が必要とされます。つまり,締め固め用の棒形振動機1台当り,1時間に60m3は明らかに過大です。
(2)○正しい。棒形振動機の効果は棒状振動体の周囲20~30cm程度です。挿入間隔を40cm程度とすれば,隙間なく全平面を締め固めることができます。
(3)○正しい。背の高い部材を打設する場合,一度に全部材高さを打設すると側圧が高くなり,型枠の変形や破壊を引き起すことがあるほか,打設終了時にブリーディングが大量に発生する等の害もあります。このため,一層の高さを制限し,コンクリートが落ち着くのを待って,上層のコンクリートを打設すると側圧は高くなりません。
(4)○正しい。背の高い部材のコンクリートを打設する場合,下層のコンクリートの凝結が始まるような時間に,上層のコンクリートを打設すると,層間に不連続な部分が生じることがあります。棒形振動機を使ってコンクリートを締め固める際,先行した下層のコンクリートの上部を加振し,上層のコンクリートと一体化させる方法は効果があります。
【No.103】
コンクリートの打ち込み,および締め固めに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)スクイズ式コンクリートポンプは,高強度コンクリートの圧送に適している。
(2)コンクリートの締め固めに使用する棒形振動機の振動効果は,振動棒の振動体の加速度に反比例する。
(3)振動数の大きい棒形振動機は,振動が伝わりにくいため,コンクリートの締め固め効果が低い。
(4)コールドジョイントを防止するための打ち重ね時間間隔の限度は,一般に,コンクリートの凝結の始発時間とされている。
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正解は全て
【解説】
(1)×誤り。スクイズ式コンクリートポンプは,コンクリートが充填されたチューブを絞りながらコンクリートを移動させる機構です。チューブが絞られる際,内部のコンクリートはせん断変形を受けます。このため,せん断変形に対する抵抗性の高い高強度コンクリート,高流動コンクリート等の高粘性のコンクリートや,硬練りコンクリートを圧送するには困難を伴います。
(2)×誤り。振動体の加速度は大きいほど,振動締め固め効果は高いです。
(3)×誤り。棒形振動機は,同じ重さの振動体で比較した場合,振動数が高いと,そのエネルギーは大きく,振動数の小さいものに比べ,振動効果が高いです。
(4)×誤り。コールドジョイントを防止するため,打ち重ねは,コンクリートが振動を受けて流動化し,新旧のコンクリートが一体化可能な時間以内になされなければなりません。先に打設されたコンクリートの凝結開始以前に,確実に打ち重ねるため,余裕をもった設定が必要です。
【No.104】
コンクリートの表面仕上げ,および養生に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリート構造物の耐久性を高めるために,ブリーディング水を処理する前に表面仕上げを行った。
(2)コンクリート表面の収縮ひび割れを発生させないために,金ごて仕上げを幾度も繰り返し行った。
(3)鉄筋位置の沈下ひび割れを取り除くために,コンクリートの凝結の終結を待ってタンピングを行った。
(4)コンクリート上面からの水分蒸発を防ぐために,膜養生剤を,表面仕上げの終了直後に散布した。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。ブリーディング水を処理する前に,表面仕上げを行うと,その後に発生するブリーディング水の上昇が,表面仕上層に阻害され,仕上層下部に脆弱層を形成することとなります。後に表層剥離の要因となり,耐久性が損なわれます。
(2)×誤り。金ごて仕上げを過度に行うと,コンクリート表面にセメントペーストが集まりすぎ,収縮ひび割れの要因となります。
(3)×誤り。コンクリートの沈下は,ブリーディング水の上昇が終了した時点で終了します。鉄筋位置の沈下ひび割れを防ぐには,ブリーディング終了直後にタンピングするのがよいです。
(4)○正しい。膜養生剤はコンクリート表面に層をつくり,上面からの水分蒸発を防ぐものです。したがって,表面にブリーディング水が残っている時点で散布しても効果はありません。コンクリートの表面仕上げ終了直後に散布するのがよいです。
【No.105】
各種コンクリートの養生に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)寒中コンクリートにおいて,保温のための型枠には,熱伝導率の大きな材料を用いるのが良い。
(2)暑中コンクリートにおいて,打ち込み上面からの水分の急激な蒸発を防ぐために,散水養生を行うのが良い。
(3)マスコンクリートにおいて,内部拘束による温度ひび割れを抑制する場合は,打ち込み翌日から表面に冷水を散布するのが良い。
(4)プレキャストコンクリートにおいて,早期強度を確保するための常圧蒸気養生は,コンクリート打ち込み後,ただちに行うのが良い。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。寒中コンクリートを施工する場合,外気温の低い環境下で所要の強度を確保するためには,コンクリートを保温,場合によっては給熱しなければなりません。保温のために型枠は,断熱性能の高い材料がよいです。熱伝導率の大きな材料を用いるのは不利となります。
(2)○正しい。暑中コンクリートの施工にあたっては,打ち込み上面からの水分の急激な蒸発を防ぐ目的で,シート養生や散水養生を行うのは有効です。
(3)×誤り。マスコンクリートを施工する際,内部拘束による温度ひび割れを抑制するには,コンクリート内外の温度差を小さくしなければなりません。このため,断熱性の高い木製型枠等を用い,ある程度の期間,型枠を存置するのがよいです。
(4)×誤り。プレキャストコンクリートを製造する際の常圧蒸気養生は,コンクリート打ち込み後,2~数時間,常温で前養生した後,加熱を始めるのがよいです。