【過去問演習(2)No.136-140_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士
https://youtu.be/LDOMnpH3tNA

【No.136】

鉄筋の組立てに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)鉄筋のかぶり(厚さ)の最小値は,基礎のフーチングより地上のスラブのほうが小さい。
(2)鉄筋のあきの最小値は,粗骨材の最大寸法と定められている。
(3)鉄筋のガス圧接継手の個所は,鉄筋の直線部とし,曲げ加工部およびその近傍は避ける。
(4)鉄筋の機械式継手は,D51のような太径鉄筋の継手に用いることができる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。鉄筋のかぶり(厚さ)の最小値は,部材の劣化現象の強弱および構造部材か否か,によって決められています。劣化現象によって決められた値は,基礎,常時水に接する以外の部位等,雨等気象現象にさらされる外部,水に接することの少ない内部の順に鉄筋のかぶり(厚さ)の最小値は小さくなります。
(2)×誤り。鉄筋のあきの最小値は,コンクリート打ち込みを考慮して粗骨材の最大寸法からのみ設定しているわけではなく,鉄筋径や異形鉄筋か丸鋼か,ということも考慮して定められています。
(3)○正しい。鉄筋のガス圧接継手は,鉄筋の曲げ加工部では圧接を行うことはできず,また圧接部を後に曲げ加工すると,圧接部は硬くなっており所定の曲げ内法半径で加工することはできません。このため鉄筋のガス圧接継手は直線部分に設けます。
(4)○正しい。鉄筋の各種継手の中で,重ね継手は太径鉄筋には適用できませんが,圧接継手,溶接継手,機械式継手等は細径鉄筋からD51のような太径鉄筋までの継手に用いることができます。

【No.137】

鉄筋の加工・組立てに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)主(鉄)筋の折曲げ内法直径(曲げ内半径)を,鉄筋の種類と径をもとに定めた。
(2)曲げ加工した角度が大きくなったので,鉄筋を加熱しながら曲げ戻した。
(3)隣り合う鉄筋の重ね継手の位置を,互いにずらした。
(4)コンクリート製スペーサの品質を,打ち込むコンクリートと同等以上とした。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。鉄筋を曲げ加工する際は,曲げられる部分の鉄筋の内側が圧縮変形を受け外側が引張変形を受けます。同じ角度で曲げられた場合,圧縮と引張の変形は鉄筋の直径が大きくなるほど大きくなります。このとき急な角度で曲げられると外側にひび割れが生じたり,鉄筋が折れてしまうことがあります。このため,変形が過度とならないように鉄筋の径により,曲げる際の内側の半径が決められています。
(2)×誤り。曲げ加工する際は,常温下で加工しなければなりません。鉄筋を加熱すると鉄筋の組成が変化し,所要の性能が得られなくなる可能性が高いので加工する際,鉄筋を加熱してはなりません。
(3)○正しい。重ね継手を用いる場合,隣り合う鉄筋の重ね継手の位置を同一断面とすると,鉄筋からコンクリートあるいは逆の応力の受渡しが同一の断面で行われることとなります。また鉄筋相互のあきが小さくなり,コンクリート充填の支障となる等の弊害も生じるため,互いにずらさなければなりません。
(4)○正しい。床の下端筋や梁底の鉄筋にコンクリート製スペーサを使うことがありますが,部材が圧縮を受けた場合周囲のコンクリートと同等の性能を発揮しなければなりません。通常,スペーサには打ち込むコンクリートと同等以上の品質のコンクリートを用います。

【No.138】

鉄筋の加工・組立てに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)鉄筋径が同一の場合SD490の鉄筋の重ね継手の長さは,SD345の鉄筋の重ね継手の長さよりも長くなる。
(2)鉄筋を曲げ加工する場合,鉄筋の降伏強度が高い方が,曲げ内半径(または折曲げ内法直径)を小さくできる。
(3)鉄筋を曲げ加工する場合の折曲げ内法直径(または曲げ内半径)は,コンクリートの設計基準強度と粗骨材の最大寸法をもとに定められている。
(4)曲げ加工した鉄筋の曲げ戻しは,1回に限り行うことができる。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。重ね継手は,一方の鉄筋の応力をコンクリートに伝え,コンクリートの応力をもう一方の鉄筋に伝えることにより,鉄筋はコンクリート中で繋がっているかのような作用をします。コンクリートと鉄筋の間でその応力を完全に受渡しするには,直径が同一の鉄筋の場合,鉄筋の強さに応じたコンクリートとの接着面積が必要となります。すなわち,鉄筋の強度が高い場合,低い鉄筋に比べてその重ね長さを長くしなければなりません。
(2)×誤り。鋼材は一般に降伏点強度が高いほど硬くなり,曲げ加工しにくくなる,曲げ加工により折れる,ひび割れる等の障害が生じます。したがって,曲げ内半径は大きくせざるをえません。
(3)×誤り。鉄筋を曲げ加工する際の折曲げ内法直径(または曲げ内半径)は,鉄筋の“割れ”や“折れ”を防止するために主として鉄筋の強度(硬さ)を考慮して定められています。
(4)×誤り。鉄筋を曲げ加工すると,外側は伸び変形し内側は圧縮変形します。これらの変形により鉄筋は硬くなり,再度変形を加えると,割れが生じることがあります。このため曲げ戻しは行ってはなりません。

【No.139】

寒中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)5℃で28日間養生した場合と,20℃で7日間養生した場合のコンクリートの積算温度は同じである。
(2)コンクリートの練上がり温度を高くするには,セメントを加熱することが効果的である。
(3)JASS5では,荷卸し時のコンクリート温度は10℃から20℃が原則である。
(4)初期凍害を受けても,その後適切な温度で養生を行えば,当初設定した強度が確保される。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。積算温度は,養生温度に10を足したものに、養生日数を乗じます。
(2)×誤り。水や骨材と異なり,セメントは化学反応を起す物質で,部分的な凝結反応が促進されることもあります。また,均一に熱することも難しいので,加熱は禁止されています。
(3)○正しい。JASS5では,荷卸し時のコンクリート温度は,10~20℃,土木学会示方書では,打ち込み時のコンクリート温度が5~20℃であることが原則とされています。
(4)×誤り。一般には,1回でも凍結すると初期凍害となり,その後,養生しても,所要の品質が得られません。

【No.140】

暑中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)運搬中のスランプ低下を防ぐために促進形のAE減水剤を用いた。
(2)空気が連行されやすいので,AE剤の使用量を減らした。
(3)コンクリート温度を下げるために練り混ぜたコンクリートに氷を投入して冷却した。
(4)コンクリートの打ち込みにおいて,練り混ぜてから打ち終わるまでの時間が90分以内となるように計画した。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。運搬中のスランプ低下を防ぐためにAE減水剤を用いることは多いです。しかし,促進形は凝結を促進させるものであり,スランプの急激な低下や,コールドジョイント等の発生を招きます。また,水和反応を促進させると多くの場合,多く熱が発生するため,温度ひび割れを生じることもあります。
(2)×誤り。コンクリートに連行される空気には,エントラップドエアーとエントレインドエアーの2通りがあります。AE剤によって連行されるのは,エントレインドエア―であり,温度が高いと減少することが知られています。このため,暑中コンクリートでは,AE剤の使用量を大きくします。
(3)×誤り。日本コンクリート工学会「マスコンクリートのひび割れ制御指針」では,コンクリート練上がり温度の低減に水を用いる場合には,フレーク状の氷を用い,練り混ぜ中に氷が完全に溶けるようにすることが示されています。練り混ぜ後のコンクリートに氷を投入するのは誤りです。
(4)○正しい。コンクリートの運搬時間の限度について,JISA5308ー2019(レディーミクストコンクリート)では,「練り混ぜ開始から荷卸し地点到着まで」を1.5時間,土木学会示方書では,「練り混ぜから打終わりまで」を外気温25℃を超えるときに1.5時間,JASS5では,「練り混ぜから打ち込み終了まで」を外気温が25℃以上のときに90分としています。いずれも暑中コンクリートにおいて[練り混ぜてから打ち終わるまでの時間が90分以内]とすれば条件を満たします。
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