【過去問演習No.11-15】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.11】

骨材に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)JIS A 5021 (コンクリート用再生骨材H)に規定されるコンクリート用再生骨材Hは,JIS A 5308 (レディーミクストコンクリート)で使用が認められている。
(2)粗骨材に砕石を用いると,川砂利よりセメントペーストとの付着が良くなるため,同一水セメント比の圧縮強度は一般に大きくなる。
(3)電気炉酸化スラグ骨材や銅スラグ骨材は,一般の骨材に比べて絶乾密度が小さい。
(4)JIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)では,コンクリート用砕砂の微粒分量の最大値を9.0%としている。
クリックで【No.11】の解答と解説をみる

正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。JIS A 5021-2011(コンクリート用再生骨材H)で規定されている再生骨材Hは,構造物の解体などによって発生したコンクリート塊に対し,破砕,磨砕,分級等高度な処理を行って製造した骨材です。 JIS A 5308-2009 (レディーミクストコンクリート)附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」として規定されています。
(2)〇正しい。砕石を使用したコンクリートは,骨材表面が粗いため,セメントペーストの付着がよく,同一水セメント比の川砂利を使用したコンクリートより圧縮強度が大きくなります。
(3)×誤り。電気炉酸化スラグ骨材に規定される絶乾密度(g/cm3)は,区分Nで3.1以上4.0未満,区分Hで4.0以上4.5未満です。銅スラグ細骨材に規定される絶乾密度は, 3.2以上です。一般の骨材の絶乾密度は2.5~2.7程度です。
(4)〇正しい。JIS A 5005-2009 (コンクリート用砕石及び砕砂)に規定されている微粒分量の最大値は,砕砂では9.0%,砕石では3.0%です。ただし,砕石については粒形判定実積率が58%以上の場合は,最大値を5.0%とすることができます。

【No.12】

骨材に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)シルトや粘土の含有量の多い山砂を用いたコンクリートでは,プラスティック収縮ひび割れが生じやすい。
(2)品質が確認されていない海砂に砕砂を混合し,塩化物量,粒度分布,絶乾密度,吸水率および安定性を試験し,砂の規定値を満足したので使用した。
(3)回収骨材を専用の設備で貯蔵、運搬、計量している場合は、粗骨材および細骨材の目標回収骨材置換率の上限をそれぞれ20%とすることができる。
(4)JIS A 5021(コンクリート用再生骨材H)に規定される再生骨材Hは、舗装コンクリートに使用することができる。
クリックで【No.12】の解答と解説をみる

正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。プラスティック収縮ひび割れとは,コンクリート中の水分の急激な蒸発によって打設直後のコンクリート表面に発生する亀甲状のひび割れです。コンクリートからの水分の蒸発が,ブリーディングによる水分の上昇よりも激しい場合に生じます。シルトや粘土の含有量の多い山砂をコンクリートに用いた場合,微粒分が過剰になるためコンクリートの粘性が増大し,ブリーディングの発生が少なくなるので,プラスティック収縮ひび割れが生じやすくなります。このような現象は水セメント比が小さく,ブリーディングが小さい超高強度コンクリートの場合にも生じやすいです。
(2)×誤り。異種類の骨材を混合して使用する場合,混合前の各骨材の品質は,塩化物量および粒度を除いて,絶乾密度,吸水率等の各規定に適合していなければなりません。海砂の品質としては,絶乾密度,吸水率,粘土塊量,微粒分量,有機不純物,水に浮くもの,安定性が規定されています。
(3)〇正しい。回収骨材を専用の設備で貯蔵、運搬、計量している場合は、粗骨材および細骨材の目標回収骨材置換率の上限をそれぞれ20%とすることができます。
(4)〇正しい。再生骨材Hは、普通コンクリートおよび舗装コンクリートに使用することができます。

【No.13】

コンクリートの性質に与える各種混和材の効果に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)フライアッシュには,ポゾラン活性によって,強度を長期にわたって増加させる効果がある。
(2)高炉スラグ微粉末には,アルカリシリカ反応を抑制する効果がある。
(3)シリカフュームには,潜在水硬性によって,自己収縮を低減させる効果がある。
(4)膨張材には,エトリンガイトまたは水酸化カルシウムの結晶を生成して膨張し,乾燥収縮ひび割れを低減させる効果がある。
クリックで【No.13】の解答と解説をみる

正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。フライアッシュは,セメントの水和により生成される水酸化カルシウムと反応して不溶性のけい酸カルシウム水和物を生成するので,湿潤養生を十分取ると長期強度が増進します。
(2)〇正しい。高炉スラグ微粉末は,潜在水硬性を有しています。そのため,コンクリートが緻密化され,長期強度の増大,海水に対する耐久性が向上するとともに,アルカリ骨材反応も抑制されます。
(3)×誤り。シリカフュームは,潜在水硬性は有していません。また,低水結合材比の場合,自己収縮が無混入の場合より大きくなります。
(4)〇正しい。膨張材は,水和反応によりエトリンガイトまたは水酸化カルシウムの結晶を生成して膨張します。

【No.14】

コンクリート用化学混和剤の使用に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)寒中期におけるコンクリートの初期の強度発現を促進するため,硬化促進剤を使用した。
(2)凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性を確保するため,減水剤を使用した。
(3)暑中期におけるコールドジョイントを防止するため,遅延形のAE減水剤を使用した。
(4)高強度コンクリートを製造するため,高性能AE減水剤を使用した。
クリックで【No.14】の解答と解説をみる

正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。硬化促進剤は,初期強度を促進するので,型枠存置時期の短縮や寒中期のコンクリートの硬化促進に使用されます。
(2)×誤り。減水剤は,微細な空気泡(エントレインドエア)を連行する作用はありません。凍結融解抵抗性を確保する場合には,AE減水剤を使用します。
(3)〇正しい。遅延形のAE減水剤は,凝結遅延性を有しているので,暑中期のコンクリートのコールドジョイントの防止やスランプロスを低減するために使用されます。
(4)〇正しい。高性能AE減水剤は,高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有しているので,高強度コンクリートや高流動コンクリートに使用されます。

【No.15】

化学混和剤に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)AE剤は,独立した微細な気泡を連行し,同一水セメント比において強度を増大させる効果を有する。
(2)高性能AE減水剤は,高い減水効果とスランプを長く保持する効果を有する。
(3)流動化剤は,あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加して用いられ,流動性を増大させる効果を有する。
(4)硬化促進剤は,初期の強度発現を高める効果を有する。
クリックで【No.15】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。AE剤は,独立した微細な気泡を連行しますが,強度を増大させる効果はありません。また,気泡を連行させていない同一水セメント比のコンクリートと比べた場合,連行された空気泡が硬化コンクリート中に空隙の一部として残存するため,空気量の増加に伴い強度は低下します。通常のコンクリートでは空気量が1%増加すると圧縮強度は3~6%減少します。
(2)〇正しい。高性能AE減水剤は,空気連行性能をもち,AE減水剤よりも高い減水性能と良好なスランプ保持性能を有しています。
(3)〇正しい。流動化剤は,あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに添加し,これをかくはんすることによって,その流動性を増大させる性能を有しています。
(4)〇正しい。硬化促進剤は,セメントの水和を早め,初期材齢の強度を大きくする性能を有しています。
タイトルとURLをコピーしました