【過去問演習No.26-30】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.26】

異形棒鋼に関する次の一般的な記述のうち,適当なものほどれか。
(1)近年では,鉄スクラップを原料とした電炉製品が大半を占めている。
(2)線膨張率(熱膨張係数)は,コンクリートとほぼ等しい。
(3)ヤング係数は,コンクリートの1/10程度である。
(4)軸線方向の連続した突起をリブといい,軸線方向以外の突起を節という。
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正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。鉄筋の製造法には電炉法と高炉法があります。電炉法では,鉄スタラップを原料としこれを電気炉で溶解し,成分調整をして鉄鋼を製造します。高炉法では,鉄鉱石を原料として高炉で銑鉄をつくり,さらに転炉で精錬し成分を調整して鉄鋼を製造します。従来,電炉製品は高炉製品に比べて品質が劣るとされてきましたが,近年では,電炉製品の品質が向上したことと,低コストであることから鉄筋の大半が電炉製品となっています。
(2)〇正しい。鉄筋とコンクリートの熱膨張率はともに1×10-5/℃程度でほぼ等しいです。熱膨張率が等しいということは,温度変化に対して鉄筋とコンクリートが同じように伸び縮みするということであり,鉄筋コンクリートが成立するための重要な要件の一つです。
(3)×誤り。鉄筋のヤング係数は,強度にかかわらずほぼ200kN/mm2であるのに対して,コンクリートのヤング係数は強度や骨材の種類によって異なり,普通強度のコンクリートでは20~30 kN/mm2程度です。ヤング率は,コンクリートよりも鉄筋の方が大きいです。
(4)〇正しい。異形鉄筋はコンクリートとの付着を増すために表面に節が設けられています。

【No.27】

鋼材の性質に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)熱膨張率は,コンクリートとほぼ同じ10×10-6/K程度である。
(2)鋼材中の炭素量が増すと,一般に破断伸びが大きくなる。
(3)ヤング率(弾性係数)は, 200kN/mm2程度である。
(4)PC鋼棒の0.2%耐力は,鉄筋の降伏点より大きい。
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正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。単位のK(K:ケルビン)はSI基本単位を用いた表記です。通常は℃(℃:摂氏温度)で表記することが多いです。ケルビンで表された温度の値から273.15を減じた値が摂氏温度となります。
(2)×誤り。一般に,炭素量の増加とともに降伏点,引張強さ,硬さが増し,伸び,絞り,衝撃値は低下します。
(3)〇正しい。種類(強度)によらず200N/mm2程度でほぼ一定である。
(4)〇正しい。JIS G 3112-2004(鉄筋コンクリート用棒鋼)で定められているもののうち,もっとも強度の高いものがSD490です。降伏点は490 N/mm2です。一方, JIS G 3109-2008(PC鋼棒)では,もっとも強度が低いA種2号(SBPR 785/1030)の0.2 %耐力は785N/mm2です。

【No.28】

コンクリートのブリーディングに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)細骨材の粗粒率が小さいほど,ブリーディング量は多い。
(2)1回の打込み高さが高いほど,ブリーディング量は多い。
(3)過度の締固めおよび仕上げは,ブリーディング量を増大させる。
(4)ブリーディング量の多いコンクリートほど,沈みひび割れが発生しやすい。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。骨材の平均粒径が小さいものほど粗粒率は小さいです。粗粒率の小さい細骨材は細粒分が多いので,コンクリートの材料分離が生じにくくなり,グリーティングが少なくなります。
(2)〇正しい。打込み速度が速いほど,1回の打込み高さが高いほどブリーディング量は多くなります。
(3)〇正しい。過度の締固めや仕上げはブリーディング量を増大させます。
(4)〇正しい。沈下ひび割れとは,鉄筋に沿ってコンクリート上面に生じることで,ブリーディング量の多いコンクリートほど発生しやすくなります。

【No.29】

コンクリートの空気量に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)空気量が1%増加したら,スランプが約2.5cm増加した。
(2)空気量が1%増加したら,圧縮強度が約5%増加した。
(3)空気量は,1時間の運搬により0.5~1%程度減少した。
(4)空気量は,AE剤の使用量の増加に伴って増加した。
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正解は(2)

【解説】
(1)〇正しい。微細な空気泡のボールベアリング効果によりコンクリートのスランプは大きくなります。通常のコンクリートでは,空気量が1%増加するとスランプは2.5cm程度大きくなります。
(2)×誤り。空気量が増加すると,コンクリート中の空隙量が大きくなるので,コンクリート強度は低下します。通常のコンクリートでは,一定の水セメント比のコンクリートであれば空気量が1%増加すると,圧縮強度は4~6%低下します。
(3)〇正しい。練混ぜ直後に連行された空気量は,トラックアジテータで運搬する際に運搬時間の経時に伴い徐々に減少します。連行された空気量は通常1/4~1/6程度減少することから,練混ぜ直後の空気量が5%であれば, 現場受け入れ時は0.5~1%程度減少し,4~4.5%になります。
(4)〇正しい。AE剤は空気量を連行するので,使用量を増加すれば空気量は増加します。

【No.30】

フレッシュコンクリートの粗骨材とモルタルの分離に関する次の一般的な記述の
うち,適当なものほどれか。
(1)粗骨材の最大寸法が小さいほど,分離しやすくなる。
(2)細骨材の粗粒率が大きいほど,分離しやすくなる。
(3)スランプが大きいほど,分離しやすくなる。
(4)水セメント比が大きいほど,分離しやすくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。粗骨材の最大寸法が小さいコンクリートほど細骨材率が高くなるので,粗骨材を取り囲むモルタル分が多くなり,粗骨材とモルタルは,分離しにくくなります。
(2)〇正しい。粗粒率とは,その骨材がとどまるふるいの平均的なふるいをさす指標で,細骨材の粒径が大きいほど粗粒率が大きくなるので,粗骨材とモルタルは,分離しやすくなります。
(3)〇正しい。スランプが大きくなると,モルタルの粘着力が小さくなるので,粗骨材とモルタルは,分離しやすくなります。
(4)〇正しい。水セメント比が大きくなると,セメントペーストの粘性が小さくなるので,粗骨材とモルタルは,分離しやすくなります。
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