【過去問演習(2)No.6-10_材料】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.6】

混合セメントの規定に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)JISR5211(高炉セメント)では,高炉セメントB種の高炉スラグの分量を質量で30%を超え60%以下と規定している。
(2)JISR5211(高炉セメント)では,混合材として使用する高炉スラグの塩基度の下限値を規定している。
(3)JISR5213(フライアッシュセメント)では,フライアッシュセメントB種のフライアッシュの分量を質量で10%を超え20%以下と規定している。
(4)JISR5213(フライアッシュセメント)では,全アルカリ量の上限値を規定している。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。高炉セメントはポルトランドセメントを高炉の副産物である溶融している高炉スラグを水などで急冷し粉砕した高炉スラグ(水砕スラグとも呼ばれる)粉で置換したものです。高炉スラグは,それ自身では水硬性を示さないですが,ポルトランドセメントの水和によって生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の刺激により,しだいに硬化します(潜在水硬性という)。JISR5211ー2009(高炉セメント)では,高炉セメントの種類を高炉スラグの分量(質量%)により,A種は5をこえ30以下,B種は30をこえ60以下,C種は60をこえ70以下と規定しています。
(2)○正しい。高炉スラグの潜在水硬性に影響を及ぼす化学成分の指標としては,塩基度が用いられます。高炉スラグの塩基度が低いと潜在水硬性も低下するので,JISA6206:2013(コンクリート用高炉スラグ微粉末)では,高炉スラグの塩基度を1.60以上と下限値を規定しています。
(3)○正しい。フライアッシュセメントは,ポルトランドセメントをJISA6201ー2015(コンクリート用フライアッシュ)に適合するフライアッシュで置換したものでありJISR5213ー2009(フライアッシュセメント)では,フライアッシュの分量(質量%)により,A種は5をこえ10以下,B種は10をこえ20以下,C種は20をこえ30以下と規定しています。
(4)×誤り。フライアッシュの混入率を15%以上にすることによりアルカリシリカ反応を抑制できること,およびポルトランドセメントで全アルカリの上限値を規定しているので,フライアッシュセメントとしては全アルカリの上限値を規定していません。

【No.7】

ポルトランドセメントに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く。28日以内の早期強度の発現に寄与する。
(2)C3Sが多いほど早期の強度発現は大きくなる。
(3)けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さい。
(4)C2Sが多いほど,早期の強度発現は小さく,長期の強度発現が大きくなる。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く。28日以内の早期強度の発現に寄与します。
(2)○正しい。C3Sが多いほど早期の強度発現は大きくなります。
(3)○正しい。けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さいです。
(4)○正しい。C2Sが多いほど,早期の強度発現は小さく,長期の強度発現が大きくなります。

【No.8】

JISR5201(セメントの物理試験方法)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)セメントの密度試験には,ルシャテリエフラスコとイオン交換水を使用する。
(2)セメントの比表面積試験には,ブレーン空気透過装置を使用する。
(3)セメントの凝結試験には,ビカー針装置を使用する。
(4)セメントの安定性試験には,パット法とルシャテリエ法の2種類の方法がある。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。セメントは,加水直後から水和が始まり,しだいに流動性を失い硬化します。セメントの密度試験は,ルシャテリエフラスコおよびセメントと水和反応をしない鉱油を用い,一定質量の試料を入れ試料の体積を測定して求めます。イオン交換水は用いません。
(2)○正しい。セメントの比表面積は,ブレーン空気透過装置を用い,マノメータ液の降下する時間を測定して求めます。
(3)○正しい。セメントの凝結試験は,温度20±2t。相対湿度50%以上で,標準軟度のペーストについて,ビカー針装置を用い,始発用と終結用の標準針が所定の貫入量に達する時間を測定して求めます。
(4)○正しい。セメントの安定性試験は,パット法とルシャテリエ法の2種類の方法があります。

【No.9】

セメントの性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)セメントの比表面積が大きいほど,早期の強度発現は大きくなる。
(2)セメントの比表面積が大きいほど,早期の収縮は大きくなる。
(3)けい酸三カルシウム(C3S)が多いほど,早期の強度発現は大きくなる。
(4)けい酸二カルシウム(C2S)が多いほど,早期の収縮は大きくなる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。一般に,セメントの比表面積が大きいほど,反応速度が大きく,強度の発現は早く,水和熱は大きくなります。
(2)○正しい。一般に,セメントの比表面積が大きいほど,反応速度が大きく,強度の発現は早く,水和熱は大きく,乾燥収縮は大きくなります。
(3)○正しい。けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く,28日以内の早期強度の発現に寄与します。したがってC3Sが多いほど早期の強度発現は大きくなります。
(4)×誤り。けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さく,乾燥収縮も小さいです。したがってC2Sが多いほど,収縮は小さくなります。

【No.10】

各種セメントの水和熱反応および断熱温度上昇に関する記述のうち,正しいものはどれか。
(1)早強ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が速く,水和熱も大きい。
(2)低熱ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が遅く,水和熱も小さい。
(3)フライアッシュセメントB種は,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が遅く,水和熱も小さいが,低熱ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が速く,水和熱も大きい。
(4)高炉セメントB種は,普通ポルトランドセメントに比べると,断熱温度上昇の立ち上がりは緩やかであるが,終局断熱温度上昇量は同じか大きい。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。早強ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が速く,水和熱も大きいです。
(2)○正しい。低熱ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が遅く,水和熱も小さいです。
(3)○正しい。フライアッシュセメントB種は,普通ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が遅く,水和熱も小さいですが,低熱ポルトランドセメントに比べると,水和反応速度が速く,水和熱も大きいです。
(4)○正しい。高炉セメントB種は,普通ポルトランドセメントに比べると,断熱温度上昇の立ち上がりは緩やかですが,終局断熱温度上昇量は同じか大きいです。
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