【過去問演習(2)No.121-125_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.121】

コンクリートの養生に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間を,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートと同一にした。
(2)暑中コンクリートにおいて,脱型後も湿潤養生を継続して行った。
(3)寒中コンクリートにおいて,脱型後に水で濡れない部位の初期養生期間を5N/mm2の圧縮強度が得られるまでとした。
(4)コンクリート製品の製造における蒸気養生を,コンクリート打ち込み後2~3時間の前養生後に実施した。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。高炉セメントB種は,普通ポルトランドセメントの相当部分(30~60%)を高炉スラグで置き換えたセメントです。高炉セメントそのものには水硬性は無く,セメントの水和に伴ってポゾラン反応により硬化します。このため,高炉セメントB種を用いたコンクリートの初期強度の発現は遅いので,湿潤養生期間を,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートより長めにしなければなりません。
(2)○正しい。暑中コンクリートは高温下で打ち込まれ,さらに養生されるため,強度の発現は速く,早期に脱型することが可能です。しかし,高温の環境下ではコンクリート表面からの水分の逸散も多いので,水分逸散防止あるいは給水のため脱型後も湿潤養生を継続して行うのが良いです。
(3)○正しい。寒中コンクリートでは,5N/mm2程度の強度が得られる以前に低温に曝されると内部の水の凍結によりその後の強度発現が阻害されます。脱型後に水で濡れない部位であれば,5N/mm2の圧縮強度が得られていればその後の強度発現に影響はありません。
(4)○正しい。コンクリート製品の製造において高温養生する場合,コンクリートの凝結時間を考慮して一定時間通常の温度で養生し,その後高温養生を行います。これを前養生と称しており,蒸気養生も例外ではありません。

【No.122】

各種コンクリートの養生に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)寒中コンクリートにおいて,保温のための型枠には熱伝導率の大きな材料を用いるのが良い。
(2)暑中コンクリートにおいて,打ち込み上面からの水分の急激な蒸発を防ぐために,散水養生を行うのが良い。
(3)マスコンクリートにおいて,内部拘束による温度ひび割れを抑制する場合は,打ち込み翌日から表面に冷水を散布するのが良い。
(4)プレキャストコンクリートにおいて,早期強度を確保するための常圧蒸気養生は,コンクリート打ち込み後直ちに行うのが良い。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。寒中コンクリートを施工する場合,外気温の低い環境下で所要の強度を確保するためには,コンクリートを保温,場合によっては給熱しなければなりません。保温のために型枠は断熱性能の高い材料がよいです。熱伝導率の大きな材料を用いるのは不利となります。
(2)○正しい。暑中コンクリートの施工にあたっては,打ち込み上面からの水分の急激な蒸発を防ぐ目的で,シート養生や散水養生を行うのは有効です。
(3)×誤り。マスコンクリートを施工する際,内部拘束による温度ひび割れを抑制するには,コンクリート内外の温度差を小さくしなければなりません。このため,断熱性の高い木製型枠等を用い,ある程度の期間型枠を存置するのがよいです。
(4)×誤り。プレキャストコンクリートを製造する際の常圧蒸気養生は,コンクリート打ち込み後,2~数時間常温で前養生した後,加熱を始めるのがよいです。

【No.123】

コンクリートの表面仕上げおよび養生に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリート構造物の耐久性を高めるためにブリーディング水を処理する前に表面仕上げを行った。
(2)コンクリート表面の収縮ひび割れを発生させないために金ごて仕上げを幾度も繰返し行った。
(3)鉄筋位置の沈下ひび割れを取り除くためにコンクリートの凝結の終結を待ってダンピングを行った。
(4)コンクリート上面からの水分蒸発を防ぐために膜養生剤を表面仕上げの終了直後に散布した。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。ブリーディング水を処理する前に表面仕上げを行うと,その後に発生するフリーディング水の上昇が表面仕上層に阻害され,仕上層下部に脆弱層を形成することとなります。後に表層剥離の要因となり,耐久性が損なわれます。
(2)×誤り。金ごて仕上げを過度に行うと,コンクリート表面にセメントペーストが集まりすぎ,収縮ひび割れの要因となります。
(3)×誤り。コンクリートの沈下は,ブリーディング水の上昇が終了した時点で終了します。鉄筋位置の沈下ひび割れを防ぐには,ブリーディング終了直後にダンピングするのがよいです。
(4)○正しい。膜養生剤はコンクリート表面に層をつくり,上面からの水分蒸発を防ぐものです。したがって,表面にブリーディング水が残っている時点で散布しても効果はありません。コンクリートの表面仕上げ終了直後に散布するのがよいです。

【No.124】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)養生温度が高いと,初期の強度の発現は早いが,長期強度の伸びが小さくなる。
(2)低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも,湿潤養生期間を短くできる。
(3)JASS5によれば,コンクリートの圧縮強度が所定の値に達すれば,規定の湿潤養生日数にかかわらず,湿潤養生を打ち切ることができる。
(4)土木学会示方書によれば,セメント種類のほかに日平均気温によって湿潤養生期間の標準値が異なる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートは養生温度が高いと,初期の強度の発現は早くなります。しかし,養生温度を低くすると,強度の増伸する期間が長くなります。このため,長期の強度を比較すると,初期に高い温度で養生されたコンクリートに比べて,低温で養生されたコンクリートの強度は高くなります。
(2)×誤り。低熱ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントの早強成分と長期強度成分の比率を変え,長期強度成分比率を多くしたセメントです。このため,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて初期強度は低く,湿潤養生に長期間を要します。
(3)○正しい。湿潤養生を長期間行うと,建築物等上部に積み重なる構造物の場合,つぎの工程に進めず工期が遅延します。このため,JASS5ではコンクリートの圧縮強度が所定の値に達すれば,耐久性もある程度確保できるので,規定の湿潤養生日数によらず,湿潤養生を終了できます。
(4)○正しい。コンクリートの強度発現は,セメント種類および養生温度によって異なります。このため,土木学会示方書ではセメントの種類に加え,日平均気温により湿潤養生期間の標準値を変えています。

【No.125】

コンクリートの養生・表面仕上げに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合と同じである。
(2)膨張材を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,膨張材を用いない一般のコンクリートよりも短縮できる。
(3)表面仕上げは,コンクリートを打ち込んだ後,速やかに行うのがよい。
(4)沈下ひび割れを取り除くためには,コンクリートの凝結が始まる前にダンピングを行うのがよい。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。高炉セメントB種を用いたコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べ強度の発現が遅くなり,湿潤養生期間を長くしなければなりません。
(2)×誤り。膨張材の多くはセメントと同様な硬化材であり,セメントと置換して用いることが多いです。これらの膨張材を用いたコンクリートの硬化性状は膨張材を用いない一般のコンクリートと同様です。つまり,その湿潤養生期間を短縮することはできません。
(3)×誤り。コンクリートは打ち込んだ直後から分離現象により表面にブリーディングによる水が上昇してくる。ブリーディング終了以前に仕上を行うと,仕上によって表面に形成される密実な層の下にブリーディングによる水が溜り,表面直下に脆弱層が形成され,表面が剥離することがあります。仕上はコンクリートのブリーディングが終了した後に開始するのがよいです。
(4)○正しい。沈下ひび割れは,コンクリートのブリーディングによる水分の上昇に伴い表層に微粒分が集まるため,コンクリートの健全部分が相対的に沈下することになります。この沈下作用により沈下を阻害される部分,鉄筋の上,部材の高さの異なる部分等に生じます。ひび割れを取り除くためには,コンクリートの凝結が始まる前にダンピングを行うのがよいです。
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