【過去問演習(2)No.11-15_材料】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.11】

各種セメントに関する記述のうち,正しいものはどれか。
(1)ポルトランドセメントの焼成工程では,粉砕した石灰石他の原料を1450℃程度の高温で焼成する。
(2)エコセメントは,高強度コンクリートを用いる鉄筋コンクリートに適している。
(3)フライアッシュをセメントの一部に置換して用いると,水和熱による温度上昇を低減できる。
(4)JISR5210(ポルトランドセメント)において,早強ポルトランドセメントの強熱減量は5.0%以下と規定されている。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。普通ポルトランドセメント1tを製造するための主原料の原単位は,およそ石灰石1120kg,粘±180kg,けい石80kg,鉄原料30kg,凝結調整のためのせっこう40kgです。原料工程で原料を乾燥粉砕し均一に調合・混合します。焼成工程で半溶融するような高温(およそ1450℃)で焼成し急冷してクリンカーとします。仕上げ工程で反応がきわめて速いアルミン酸三カルシウムの水和による瞬結を防止するため,クリンカーにせっこうを3~4%加えて微粉砕し。ポルトランドセメントとします。
(2)○正しい。エコセメントは,都市ごみ焼却灰を主として下水汚泥などの廃棄物を従として製品ltにつき乾燥ベースで500kg以上使用して作られるセメントで,セメント中の塩化物イオン量が0.1%以下の普通エコセメントとセメント中の塩化物イオン量が0.5%以上1.5%以下の速硬エコセメントの2種類に分けられます。高強度コンクリートは単位セメント量が多く,普通エコセメントを用いると塩化物含有量が0.30kg/m3をこえ,鉄筋の腐食発生限界をこえるリスクが高くなるので,エコセメントは,高強度コンクリートを用いる鉄筋コンクリートには適用しません。
(3)○正しい。セメントクリンカーの組成化合物のうち,水和熱に寄与するものはアルミン酸三カルシウムとけい酸三カルシウムです。フライアッシュをセメントの一部に置換して用いると,セメント中のアルミン酸三カルシウムやけい酸三カルシウムを相対的に少なくできること,およびフライアッシュ中の活性の二酸化けい素,酸化アルミニウムが水の存在下でセメントの水和で生成した水酸化カルシウムと長時間かけて反応し不溶性の物質を生成し硬化する(ポゾラン反応)ことにより,水和熱による温度上昇を低減できます。
(4)○正しい。2009年11月の改正では,普通ポルトランドセメントの三酸化硫黄の規格値が「3.0%以下」から「3.5%以下」に,普通・早強・超早強の各ポルトランドセメントの強熱減量が「3.0%以下」から「5.0%以下」に改正された。

【No.12】

各種セメントに関する記述のうち,正しいものはどれか。
(1)セメントと化学的に結合し得る水量は,セメント質量の約40%である。
(2)JISR5201(セメントの物理試験方法)に規定されるセメントの強さ試験に用いるモルタルの配合は,セメントと標準砂の質量比を1:3とし水セメント比は50%とする。
(3)高炉セメントB種またはフライアッシュセメントB種を用いるコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いるコンクリートより湿潤養生期間を長くするのがよい。
(4)JISR5213(フライアッシュセメント)では,全アルカリ量の上限値を規定している。
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正解は(2)(4)

【解説】
(1)×誤り。完全水和に必要な水量は,セメント量の約40%であり,25%程度がセメントと化学的に結合し,残り15%程度がゲル水として吸着されています。
(2)○正しい。JISR5201では,セメントの強さ試験に用いるモルタルの配合は,セメントと標準砂の質量比を1:3,水セメント比を50%と規定しています。
(3)○正しい。高炉セメントB種は,ポルトランドセメントを高炉スラグ微粉末で質量比30%をこえ,60%以下の範囲で置換したものです。高炉スラグ微粉末は,潜在水硬性を有し,ポルトランドセメントの水和によって生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の刺激によりしだいに硬化します。フライアッシュセメントB種は。ポルトランドセメントをフライアッシュで質量比10%をこえ,20%以下の範囲で置換したものです。フライアッシュは,ポプラン反応性を有し,フライアッシュ中の活性の二酸化けい素(SiO2),酸化アルミニウム(Al2O3)が,水の存在下でポルトランドセメントで生成された水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と長時間かけて反応し,不溶性の物質を生成し,硬化します。したがって,高炉セメントB種,またはフライアッシュセメントB種を用いるコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いるコンクリートよりも湿潤養生期間を長くすることにより,潜在水硬性やポゾラン反応が推進し,密実で長期強度の伸びが大きいです。よって記述は正しいです。
(4)×誤り。フライアッシュの混入率を15%以上にすることによりアルカリシリカ反応を抑制できること,およびポルトランドセメントで全アルカリの上限値を規定しているので,フライアッシュセメントとしては全アルカリの上限値を規定していません。

【No.13】

各種スラグ骨材の製造に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)銅スラグ細骨材は,炉で銅と同時に生成する溶融スラグを水によって急冷し,粒度調整して製造されるものである。
(2)フェロニッケルスラグ細骨材は,炉でフェロニッケルと同時に生成する溶融スラグを徐冷し,又は水,空気などによって急冷し,粒度調整して製造されるものである。
(3)溶融スラグ骨材は,溶鉱炉で銑鉄と同時に生成する溶融スラグを冷却し,粒度調整して製造されるものである。
(4)電気炉酸化スラグ骨材は,電気炉で溶鋼と同時に生成する溶融した酸化スラグを冷却し,鉄分を除去し,粒度調整して製造されるものである。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。銅スラグ細骨材は,炉で銅鉱石から銅を製錬する際に生成する溶融スラグを水によって急冷し,粒度調整して製造されます。
(2)○正しい。フェロニッケルスラグ細骨材は,炉でフェロニッケルと同時に生成する溶融スラグを徐冷し,または水,空気などによって急冷し,粒度調整して製造されます。
(3)×誤り。溶融スラグ骨材は,一般廃棄物,下水汚泥またはそれらの焼却灰を1300°C以上の高温度で溶解し,溶解スラグを冷去p固化して粒度調整して製造されます。溶鉱炉で銑鉄と同時に生成される溶融スラグを冷却して製造されるのは,高炉スラグ骨材です。
(4)○正しい。電気炉酸化スラグ骨材は,鉄スクラップを電気炉で溶鋼と同時に生成する溶解した酸化スラグを徐冷し,鉄分を除去し,粒度調整して製造されます。細骨材と粗骨材があります。

【No.14】

粗骨材最大寸法および粗粒率に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)粗粒率は80,40,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15mmの10個の各ふるいにとどまる骨材の全試料に対して算出する。
(2)粗粒率は各ふるいの呼び寸法の内,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15mmのふるいにとどまる質量分率の総和を100で除する。
(3)粗骨材の最大寸法とは,質量分率で骨材の90%以上が通過するふるいのうち,最小寸法の呼び寸法である。
(4)ふるいの呼び寸法25mmにとどまる質量分率が2%である場合,粗骨材の最大寸法は25mmである。
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【解説】
(1)○正しい。粗粒率は80,40,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15mmの10個の各ふるいにとどまる骨材の全試料に対して算出します。
(2)○正しい。粗粒率は各ふるいの呼び寸法の内,20,10,5,2.5,1.2,0.6,0.3,0.15mmのふるいにとどまる質量分率の総和を100で除します。
(3)○正しい。粗骨材の最大寸法とは,質量分率で骨材の90%以上が通過するふるいのうち,最小寸法の呼び寸法です。
(4)○正しい。ふるいの呼び寸法25mmにとどまる質量分率が2%である場合,通過する質量分率は98%です。粗骨材の最大寸法は,質量分率で骨材の90%以上が通過するふるいのうち,最小寸法の呼び寸法であることから,粗骨材の最大寸法は25mmとなります。

【No.15】

吸水率および表面水率に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1)吸水率は,表乾状態の質量と絶乾状態の質量の差を,絶乾状態の質量で除した値の百分率である。
(2)絶乾状態とは,骨材を100~110℃の温度で定質量となるまで乾燥し,骨材粒の内部に含まれている自由水が取り去られた状態をいう。
(3)表面水率は,表面水量を表乾状態の質量で除した値の百分率である。
(4)表乾状態とは,表面乾燥飽水状態のことで,骨材の表面水がなく,骨材粒の内部の空げきがすべて水で満たされている状態をいう。
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【解説】
(1)○正しい。吸水率は,表乾状態の質量と絶乾状態の質量の差を,絶乾状態の質量で除した値の百分率です。
(2)○正しい。絶乾状態とは,骨材を100~110℃の温度で定質量となるまで乾燥し,骨材粒の内部に含まれている自由水が取り去られた状態をいいます。
(3)○正しい。表面水率は,表面水量を表乾状態の質量で除し値の百分率です。
(4)○正しい。表乾状態とは,表面乾燥飽水状態のことで,骨材の表面水がなく,骨材粒の内部の空げきがすべて水で満たされている状態をいいます。
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