【過去問演習(3)No.66-70_耐久性,配合】コンクリート技士 問題と解説

技士
https://youtu.be/I7KKaina-fE

【No.66】

コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)凍害を受けるおそれのある構造物では,日が当たらない部分より日が当たる部分の方が,劣化は生じにくい。
(2)アルカリシリカ反応による劣化は,コンクリートが気乾状態にあるより湿潤状態にある方が,進行が速くなる。
(3)コンクリートの中性化は,コンクリートが気乾状態にあるより湿潤状態にある方が,進行が遅くなる。
(4)下水に含まれる硫酸塩は,微生物の作用によって硫酸となり,下水処理場のコンクリートに著しい劣化を生じさせる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。凍害は,コンクリート中の水分が凍結膨張してコンクリート組織を破壊する現象ですが,水分が凍結融解する繰返し回数が多くなるほど進行が著しくなります。日が当る環境にあるコンクリートは,夜間に凍結し日中に融解する現象が生じるため,凍害が生じやすくなります。
(2)○正しい。アルカリシリカ反応は,反応性骨材,水酸化アルカリ,水分の3つが同時に存在して発生します。発生条件の一つである水分が多い湿潤状態であるほど,アルカリシリカ反応の進行は速くなります。
(3)○正しい。中性化は,湿潤状態より乾燥状態であるコンクリートのほうが二酸化炭素の侵入が容易になるため,進行は速くなります。ただし,著しく乾燥したコンクリートは,中性化反応に必要な水分が少なくなるため,逆に中性化の進行は遅くなります。
(4)○正しい。家庭用や事業排水中には硫酸塩が含まれます。嫌気状態の下水(液中)中では硫酸塩還元細菌(微生物)が硫酸イオンを還元して硫化水素を生成し,その硫化水素が気中部のコンクリート表面の結露水に生息する好気性細菌と接触して硫酸が生成されます。これにより,下水処理場のコンクリートでは著しい侵食が生じます。

【No.67】

コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)海水に含まれる硫酸マグネシウム(MgSO4)は,コンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して膨張性の物質を生成し,コンクリートの劣化を促進させる。
(2)帯(鉄)筋の腐食に伴う体積膨張が原因となり,鉄筋コンクリート柱部材のかぶり部分に帯(鉄)筋に直角方向のひび割れが発生することがある。
(3)コンクリートの中性化範囲は,フェノールフタレインの1%エタノール溶液をコンクリートのはつり部分などに噴霧し,赤紫色に着色しない範囲として判定する。
(4)化学法で“無害でない”と判定された骨材をモルタルバー法で試験したところ“無害”と判定されたのでJISA5308附属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)の規定に照らして,[区分A]と判定した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。海水にはさまざまな塩類が含まれていますが,コンクリートに有害な劣化を引き起す塩類に硫酸マグネシウム(MgSO4)と塩化マグネシウム(MgCl2)があります。このうち,硫酸マグネシウムはもっとも深刻な劣化を引き起すものであり,セメントの水和生成物である水酸化カルシウムと反応して石こうの結晶と水酸化マグネシウムを生成します。両者とも体積膨張を伴う物質ですが,石こうの一部はセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し,エトリンガイトが吸水膨張することでコンクリートの組織を著しく破壊させます。設問の膨張性の物質とはエトリンガイトを指しています。
(2)×誤り。鋼材腐食に伴う体積膨張が原因となってコンクリート表面に現れる変状は,一般には鋼材軸に沿った方向の線状のひび割れの形態を示すことが多いです。しかし,かぶりが小さい場合などは,ひび割れではなく,鋼材の露出を伴うようにかぶりコンクリートが面的に剥離・剥落する形態となることもあります。鉄筋コンクリート柱部材の場合は,帯(鉄)筋のかぶりが主鉄筋よりも小さいため,帯(鉄)筋の腐食が先行することで,帯(鉄)筋に沿う方向のひび割れや,帯(鉄)筋が露出するような剥離・剥落等の変状がみられることが多いです。
(3)○正しい。コンクリートの中性化範囲は,一般にフェノールフタレインの1%エタノール溶液をコンクリートのはつり面や採取したコアの割裂面に噴霧して調べる方法(JISA1152ー2011(コンクリートの中性化深さの測定方法))で調査し,中性化していない範囲は赤紫色に着色した範囲,中性化した範囲は着色しない範囲として判定します。
(4)○正しい。骨材のアルカリシリカ反応性試験方法には,一般に,JISA1145ー2007(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(化学法))およびJISA1146ー2007(骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法))が用いられ,両試験結果とも区分A(無害)と区分B(無害でない)に区分して判定します。両試験の結果が区分Aの場合,もしくは,化学法で区分Bかつモルタルバー法で区分Aの場合はその骨材を「区分A」,化学法で区分Aかつモルタルバー法で区分Bの場合,もしくは,両試験の結果が区分Bの場合はその骨材を「区分B」と判定します。

【No.68】

同一のスランプを得るためのコンクリートの配(調)合修正に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,細骨材が微粒分の多いものに変わると,単位水量は大きくなる。
(2)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,粗骨材が実積率の大きいものに変わると,単位水量は小さくなる。
(3)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,粗骨材が川砂利から砕石に変わると,細骨材率は小さくなる。
(4)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,粗骨材が最大寸法の大きいものに変わると,単位水量は小さくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。細骨材が泥分や石粉などの微粒分の多いものに変わると,同一スランプを得るための単位水量は大きくなります。
(2)○正しい。粗骨材が実積率の大きいものに変わると,同一スランプを得るための単位水量は小さくなります。
(3)×誤り。粗骨材が川砂利から砕石に変わると,同一スランプを得るための細骨材率は大きくなります。
(4)○正しい。粗骨材が最大寸法の大きいものに変わると,同じコンシステンシーのコンクリートを得るのに単位水量および単位セメント量を減らすことができます。

【No.69】

同一スランプのコンクリートを得るための配(調)合の補正に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,細骨材率を大きくする場合,単位水量を大きくする。
(2)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,細骨材を粗粒率が大きいものに変更する場合,細骨材率を小さくし,単位水量を大きくする。
(3)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,単位水量を一定に保ったままで,水セメント比を小さくする場合,細骨材率を大きくする。
(4)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,粗骨材を砕石から川砂利に変更する場合,単位水量を一定とし,細骨材率を小さくする。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。所要のワーカビリティーが得られる範囲内で,単位水量が最小となる細骨材率が望ましいですが,細骨材率を大きくする場合,単位水量を大きくします。
(2)×誤り。細骨材の粗粒率が大きいものに変更する場合,細骨材率を大きくし,単位水量は補正しません。
(3)×誤り。単位水量を一定に保ったままで,水セメント比を小さくする場合,細骨材率を小さくします。
(4)×誤り。粗骨材を砕石から川砂利に変更する場合,単位水量を小さくし,細骨材率を小さくします。

【No.70】

コンクリートの配(調)合における同一のスランプを得るための単位水量の補正に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,最大寸法の大きい粗骨材を用いることになったので,単位水量を大きくした。
(2)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,実積率の小さい粗骨材を用いることになったので,単位水量を小さくした。
(3)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,微粒分量の多い細骨材を用いることになったので,単位水量を大きくした。
(4)同一スランプのコンクリートを得るための配合修正において,粗粒率の小さい細骨材を用いることになったので,単位水量を小さくした。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。粗骨材の最大寸法が大きいほど,同一スランプを得るのに必要な単位水量は少なくてすみます。
(2)×誤り。実積率が小さい粗骨材を用いるほど,単位水量は多く必要とします。
(3)○正しい。微粒分量とは75μmふるいを通過する微粒分の全量で,微粒分量の多い細骨材を用いるほど,単位水量を大きくする必要があります。
(4)×誤り。粗粒率の小さい細骨材を用いるほど,スランプは小さくなり,単位水量を大きくする必要があります。
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