【過去問演習(3)No.141-145_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士
【No3-29】聞き流し_コンクリート技士_一問一答
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【No.141】

地下連続壁(地中壁)の施工において,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配合と施工に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)地下連続壁(地中壁)の施工における,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの配合において,単位セメント量を370kg/m3とした。
(2)地下連続壁(地中壁)の施工における,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの施工において,鉄筋のかぶり(厚さ)を4cmとした。
(3)地下連続壁(地中壁)の施工における,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの施工において,トレミー管の先端のコンクリート中への挿入深さを2.5mとした。
(4)地下連続壁(地中壁)の施工における,ベントナイト安定液中に打ち込む水中コンクリートの施工において,余盛り高さを100cmとした。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。地下連続壁の施工に用いるコンクリートでは,水中で材料分離が生じ所定の強度が得られないことがないように,単位セメント量の下限値として,土木学会示方書では350kg/m3以上,JASS5では360kg/m以上と規定しています。
(2)×誤り。コンクリートを打ち込むため掘削してできる土壁は凹凸が大きいため,地中連続壁の施工における鉄筋のかぶりは,一般のコンクリートの場合より大きくすることが重要です。土木学会示方書では10cm以上を推奨しています。
(3)○正しい。地中連続壁の施工は,コンクリートを水中で自由落下させないようにトレミーで打ち込むことが原則であり,誤ってトレミー先端が打ち込んだコンクリート表面より,上に引き上がったりしないように,トレミー先端をコンクリート内へ2m以上挿入することを規定しています。
(4)○正しい。打ち上がったコンクリートの上面には,ベントナイトなどの安定液あるいはスライムを巻き込んだ不良部分が生じるため,打止め面は計画面(設計面)より盛り上げる(余盛り)必要があります。余盛り高さについて,土木学会示方書では50cm以上,JASS5では50~100cmとしています。

【No.142】

一般の水中コンクリートに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)水中コンクリートの打ち込みにコンクリートポンプを使用した。
(2)水中コンクリートを水面上まで,連続的に打ち込んだ。
(3)水中コンクリートを気中で打ち込まれる場合の配合強度を割り増したコンクリートを用いた。
(4)水中コンクリートを流速が20cm/sの水中で,コンクリートを打ち込んだ。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。一般の水中コンクリートでは,コンクリートを水中で落下させないように先に,打ち込んだコンクリート中にトレミーもしくはポンプの配管の筒先を30~50cm程度挿入して打ち込むのが原則です。
(2)○正しい。一般の水中コンクリートは,水との接触をできる限り防ぐように表面が水平になるように保ちながら,所定の高さまたは水面上まで連続して打ち込むのが原則です。
(3)○正しい。一般の水中コンクリートの強度は,水の洗い出し作用などのために,気中で打ち込まれるコンクリートに比べて低下します。そのため,土木学会示方書では,水中施工時の強度が標準供試体強度の0.6~0.8倍とみなして,配合強度を設定しなければならないとしています。
(4)×誤り。流速が存在する条件で打ち込むと,水中コンクリートの品質は著しく低下します。そのため,一般の水中コンクリートは静水中に打ち込むのが原則です。やむを得ない場合でも,流速は5cm/s以下の条件で施工しなければなりません。

【No.143】

水中コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)場所打ち杭に使用する水中コンクリートの水セメント比は,65%以下とするのがよい。
(2)地下連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートのスランプは,一般のコンクリートよりも大きく設定するのがよい。
(3)場所打ち杭に使用する水中コンクリートをトレミーで打ち込む場合は,その先端を2m以上コンクリート中に挿入した状態で行うのがよい。
(4)水中不分離性コンクリートの打ち込みでは,水中落下高さを50cm以下として行うのがよい。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。水中コンクリートは,水中打設に伴うセメントの流失等により,同じ配合で気中施工した場合よりも,強度が50~90%程度低下します。そのため,単位セメント量および水セメント比の上限値,細骨材率の目安が規定されています。場所打ち杭に使用するコンクリートの水セメント比は55%以下と規定されています。
(2)○正しい。水中コンクリートは締め固めが不可能であるため,一般のコンクリートよりもスランプを大きく設定するのがよいです。地中連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートの場合は,スランプを15~21cmの範囲で設定することを標準としています。
(3)○正しい。場所打ち杭に用いる水中コンクリートを水中落下させると,材料分離が生じてセメントが流失してしまうため,施工においてはトレミーを用いることが原則です。土木学会示方書では,コンクリート内へのトレミー先端の挿入深さを2m以上確保することを規定しています。
(4)○正しい。水中不分離性コンクリートは,ある程度の高さであれば,水中落下させて打ち込んでも信頼性の高いコンクリートが得られます。しかし水中落下高さが大きすぎると品質が低下するので,土木学会示方書では水中落下高さを50cm以下とすることを標準としています。

【No.144】

海水の作用を受けるコンクリート構造物に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)海水の作用を受けるコンクリート構造物に関して,凍結融解作用による劣化は,淡水が作用する場合より激しい。
(2)海水の作用を受けるコンクリート構造物に関して,コンクリート中の鋼材の腐食は,飛沫帯よりも海中の方が激しい。
(3)海水の作用を受けるコンクリート構造物に関して,コンクリートの塩化物イオンの侵入量は,海上大気中よりも干満帯の方が大きい。
(4)海水の作用を受けるコンクリート構造物に関して,硫酸塩の化学的作用による劣化は,海上大気中よりも干満帯の方が激しい。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。気温が著しく低い場合,凍結融解作用に加わって,濃縮された海水の化学作用が複合して,コンクリートの劣化が激しくなることがあります。つまり,淡水が作用する場合よりも海水のほうが劣化は激しくなります。
(2)×誤り。コンクリート中の鋼材が腐食するには,酸素と水が必要です。海中では,塩化物イオンの供給は多いが酸素の供給が少ないため,鋼材はほとんど腐食しません。一方,飛沫帯では,塩化物イオンとともに酸素も多く供給されるため,鉄筋の腐食が速くなります。
(3)○正しい。風等により巻き上げられた海水(塩分)を含んだ空気が飛来する海上大気中よりも,海水と直接的に接触する期間の長い干満帯のほうが,コンクリート中への塩化物イオンの侵入量は大きくなります。
(4)○正しい。海水に含まれる硫酸塩は,コンクリート中の水酸化カルシウムおよびセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトとなり,エトリンガイトの吸水膨張によりコンクリートを破壊させる劣化を引き起こします。この劣化は海水と直接的に接触する干満帯のほうが進行しやすいです。

【No.145】

海水の作用を受けるコンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)海水の作用を受けるコンクリートにおいて,物理的な侵食は,飛沫帯や干満帶よりも海中部の方が生じやすい。
(2)海水の作用を受けるコンクリートにおいて,化学的抵抗性は,高炉セメントB種よりも普通ポルトランドセメントの方が高い。
(3)海水の作用を受けるコンクリートにおいて,海水中の硫酸マグネシウム(MgSO4)は,水和生成物との反応により体積膨張してコンクリートを劣化させる。
(4)海水中の塩化マグネシウム(MgCl)は,コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して組織を緻密にする。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。海水の作用を受けるコンクリートの物理的な侵食は,潮の干満の繰り返し,波浪や波しぶき,海水中に含まれる砂れきによる摩耗等により生じます。これらによる侵食は,海水面付近の飛沫帯や干満帯のほうが海中部よりも激しくなります。
(2)×誤り。コンクリートの化学的抵抗性を向上させるには,アルミン酸三カルシウムの少ないセメントの使用や,水酸化カルシウムの生成量の少ない高炉セメント等の使用が有効です。ただし,アルミン酸三カルシウムの少ないセメントは,鋼材の腐食防止の観点で不利になることがあるので,海水の作用を受けるコンクリートに対しては高炉セメントの使用が有効とされています。
(3)○正しい。海水中の硫酸マグネシウムは,水和生成物である水酸化カルシウムと反応して,石こうと水酸化マグネシウムを生成します。生成された石こうの一部はセメント中の,アルミン酸三カルシウムと反応して膨張性のエトリンガイトとなり,エトリンガイトが吸水膨張することでコンクリートにひび割れを生じさせます。
(4)×誤り。海水中の塩化マグネシウムは,水和生成物である水酸化カルシウムと反応して,水溶性の塩化カルシウムとなり組織を多孔質にします。
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