【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.97)総合問題25

コンクリート診断士 問題と解説Vol.97

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問456_変状調査】

 RC建築物の屋上スラブの下面に生じた変状に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)屋上スラブの下面に、方向性のないひび割れが発生していた。ひび割れから、さび汁を伴う白色のつらら状の析出物が発生していたため、ひび割れの原因は、セメントの水和熱による温度応力であると推定した。
(2)屋上スラブの下面に、方向性のないひび割れが発生していた。ひび割れから、さび汁を伴う白色のつらら状の析出物が発生していたため、コンクリート内部の鉄筋が腐食していると推定した。
(3)屋上スラブの下面に、方向性のないひび割れが発生していた。ひび割れから、さび汁を伴う白色のつらら状の析出物が発生していたため、つらら状の析出物は、主として、コンクリートの成分が溶出してできたものであると推定した。
(4)屋上スラブの下面に、方向性のないひび割れが発生していた。ひび割れから、さび汁を伴う白色のつらら状の析出物が発生していたため、屋上防水が裂開していると推定した。
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正解(1)

(1)×:誤りです。セメントの水和熱による温度応力ひび割れは、マスコンクリートに発生しやすく、屋上スラブのような薄い部材では発生しにくいです。
(2)〇:問題のとおりです。屋上スラブの下面に生じており、さび汁をともなっていることから、屋上からの漏水が原因で、コンクリート内部の鉄筋が腐食している可能性が高いと推定します。
(3)〇:問題のとおりです。屋上からの漏水が原因で、コンクリート内部の可溶成分が溶出したと推定します。
(4)〇:問題のとおりです。屋上からの漏水の原因は、屋上防水の劣化によると推定します。

【問457_火害】

 鉄筋コンクリート構造物の火害調査に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)梁の側面に、すすが付着していたので、火災による中性化が進行している。
(2)梁の側面に、すすが付着していたので、コンクリートの圧縮強度は、火災前の約50%程度に低下している。
(3)梁の側面が、灰白色に変色していたので、コンクリートのヤング係数は、火災前50%程度に低下している。
(4)梁の側面が、灰白色に変色していたので、コンクリート表面の受熱温度は、600℃以上に達している。
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正解(4)

(1)×:誤りです。すすが付着している場合、推定受熱温度は300℃以下です。火害等級は二級程度と判断されます。火害等級二級は、構造耐力上の影響はありませんが、表面劣化などの被害がある状況です。火害による中性化は、水酸化カルシウムが450℃程度で熱分解されることにより生じます。
(2)×:誤りです。推定受熱温度が300℃以下の場合は受熱直後のコンクリートの残存強度は70%以上はあると推定します。
(3)×:誤りです。コンクリート表面が灰白色に変色している場合、受熱温度は600~950℃と推定されます。600~950℃の受熱を受けた直後の、コンクリートのヤング係数は1/10程度に低下します。
(4)〇:問題のとおりです。コンクリート表面が灰白色に変色している場合、受熱温度は、600~950℃と推定されます。

【問458_ひび割れ】

 夏期に施工された、ボックスカルバートに生じた、ひび割れに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)ボックスカルバートの側面に温度応力を起因とする、鉛直方向のひび割れが生じていたので、対策として、セメントを中庸熱ポルトランドセメントに変更することとした。
(2)ボックスカルバートの側面に温度応力を起因とする、鉛直方向のひび割れが生じていたので、対策として、側壁の鉛直方向の主筋量を増やすこととした。
(3)ボックスカルバートの側面に温度応力を起因とする、鉛直方向のひび割れが生じていたので、対策として、コンクリート製造時に、冷却した骨材を使用することとした。
(4)ボックスカルバートの側面に温度応力を起因とする、鉛直方向のひび割れが生じていたので、対策として、伸縮目地を追加することとした。
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正解(2)

(1)〇:問題のとおりです。中庸熱ポルトランドセメントは、水和熱の発生量が少ないため、温度応力対策として適しています。
(2)×:誤りです。鉛直方向のひび割れに対しては、水平方向の鉄筋を増やすことで、ひび割れ対策となります。鉛直方向の鉄筋を増やしても、鉛直方向のひび割れを制御することは出来ません。
(3)〇:問題のとおりです。冷却した骨材を使用することで、水和熱の発生量を抑えることができるため、温度応力対策として適しています。
(4)〇:問題のとおりです。伸縮目地を設けることで、温度応力によって発生する鉛直方向のひび割れを制御することができます。

【問459_断面補修】

 断面修復工法に用いられる、ポリマーセメントモルタルに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)ポリマーセメント比が大きくなると、圧縮強度は高くなる。
(2)ポリマーセメント比が大きくなると、既存コンクリートとの付着性は大きくなる。
(3)ポリマーセメント比が大きくなると、透水係数は小さくなる。
(4)ポリマーセメント比が大きくなると、中性化速度係数は小さくなる。
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正解(1)

(1)×:誤りです。ポリマーセメントは、セメントの比率が大きいほど、圧縮強度は高くなります。つまり、ポリマーセメント比が小さくなると、圧縮強度は高くなります。
(2)〇:問題のとおりです。ポリマーセメント比が大きくなると、既存コンクリートとの付着性は大きくなります。
(3)〇:問題のとおりです。ポリマーセメント比が大きくなると、水を通しにくくなります。つまり、透水係数は小さくなります。
(4)〇:問題のとおりです。ポリマーセメント比が大きくなると、二酸化炭素を通しにくくなります。つまり、中性化速度係数は小さくなります。

【問460_断面補修】

 輪荷重が繰り返し作用する、道路橋鉄筋コンクリート床版の、押し抜きせん断耐力の算定式に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)輪荷重が繰り返し作用する鉄筋コンクリート床版は、載荷する面から45°以下で、せん断ひび割れが発生し、床版を貫通して疲労破壊に至る。
(2)床版の押し抜きせん断耐力は圧縮領域のコンクリートのせん断抵抗力と引張鉄筋のダウエル効果による抵抗力の和として算定する。
(3)RC床版の、圧縮側を高強度のコンクリートで増厚することにより、押し抜きせん断耐力を向上させる。
(4)鉄筋コンクリート床版に増厚する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、新旧コンクリートへの一体性を点検しなければならない。
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正解 なし

(1)〇:問題のとおりです。輪荷重が繰り返し作用する、鉄筋コンクリート床版は、載荷する面から45°以下で、せん断ひび割れが発生し、床版を貫通して疲労破壊に至ります。
(2)〇:問題のとおりです。床版の押し抜きせん断耐力は、圧縮領域のコンクリートのせん断抵抗力と引張鉄筋のダウエル効果による抵抗力の和として算定します。
(3)〇:問題のとおりです。RC床版の圧縮側を高強度のコンクリートで増厚することにより、押し抜きせん断耐力を向上させます。
(4)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート床版に増厚する工法において、耐荷力への補強効果を確認するために、新旧コンクリートへの一体性を点検しなければなりません。
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