化学的浸食とは?
化学的浸食は、下水道環境などで、微生物の働きによりコンクリートに腐食が生じる現象です。
A: 角部分は、劣化した部分が剥落しやすい
B: 硫化水素が溜まりやすく、劣化しやすい
化学的浸食の過程
- 嫌気性細菌によって硫化水素(H2S)が生成
- 好気性細菌によって硫酸(H2SO4)が生成
- セメント水和物の水酸化カルシウムと硫酸が反応して二水せっこうが生成
- 二水せっこうが脱落
化学式(二水せっこうの生成)
Ca(OH)2+H2SO4→CaSO4・2H2O
硫酸イオンの浸透深さ測定
コンクリート表面からの硫酸イオンの浸透深さを測定するために、採取したコンクリートコアの割裂破断面で呈色試験を行います。噴霧する試薬には、次の3つが使われます。
- 過マンガン酸カリウムと塩化バリウムの混合液
- ニトロアゾ化合物溶液
- トリフェニルメタン系化合物溶液
溶出による劣化とは?
溶出とは、セメント水和物が周囲の水に溶解することで、コンクリートの組織が疎となる現象です。溶出は、川に構築した、橋脚やダムなどのコンクリート構造物で生じます。
特徴
- 接触する水の硬度が低いほど、流速が早いほど劣化が激しくなる
- セメント水和物中で最も溶解度が大きいのが水酸化カルシウムで、次の①~④の順に進行
- 液層の水酸化カルシウムが溶解
- 個体の水酸化カルシウムの溶解
- 個体の水酸化カルシウムが消費されるとC-S-H(ケイ酸カルシウム水和物)が溶出
- C-S-H中のCaOが溶出、Ca/Si比が低下し、コンクリートが脆弱化