【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.76)総合問題4

コンクリート診断士 問題と解説Vol.76

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問376_化学的浸食】

 硫酸塩土壌におけるRC基礎の、化学的浸食に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)地表面より上の、立上り部分では、土壌に含まれる硫酸塩を含んだ地下水が、毛細管現象によって上昇し、さらに、湿潤状態となることで硫酸塩が農集する。
(2)地表面より上の、立上り部分では、硫酸塩を含んだ地下水による、湿潤と乾燥を繰り返すことで、エトリンガイトの結晶化に伴う膨張圧により、スケーリングが生じる。
(3)土壌中の基礎部では、地表面より上にある部分よりも、硫酸塩劣化の速度が小さくなる。
(4)RC基礎の、化学的浸食において、べた基礎や、床下にコンクリートを打設している、布基礎のほうが、床下の土壌が露出している基礎よりも、劣化が生じにくい。
クリックで【問題376】の解答と解説をみる

正解(4)

(1)×:誤りです。地表面より上の、立上り部分では、土壌に含まれる硫酸塩を含んだ地下水が、毛細管現象によって上昇し、さらに、乾燥状態となることで硫酸塩が農集します。
(2)×:誤りです。地表面より上の、立上り部分では、乾燥する際の、硫酸ナトリウムの結晶化に伴う膨張圧により、スケーリングが生じます。
(3)×:誤りです。土壌中の基礎部では、地表面より上にある部分よりも、硫酸塩劣化の速度が小さくなります。
(4)〇:問題のとおりです。RC基礎の、化学的浸食において、べた基礎や、床下にコンクリートを打設している、布基礎のほうが、床下の土壌が露出している基礎よりも、劣化が生じにくくなります。

【問377_火害調査】

 火害を受けたコンクリート構造物の調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリート表面にすすが付着していたため、表面の受熱温度は、300℃以下であると判断した。
(2)コンクリートがピンク色に変色していたため、表面の受熱温度は、600から950℃程度であると判断した。
(3)火災により、中性化が進行していた箇所については、受熱温度が、500℃以上であると判断した。
(4)鉄筋位置までは中性化していなかったため、鉄筋の強度は、低下していないと判断した。
クリックで【問題377】の解答と解説をみる

正解(2)

(1)〇:問題のとおりです。コンクリート表面にすすが付着していた場合、表面の受熱温度は、300℃以下であると判断できます。
(2)×:誤りです。コンクリートがピンク色に変色していた場合、表面の受熱温度は、300から600℃程度であると判断します。600から950℃程度の場合は、コンクリートの表面は、白色または灰色に変色します。
(3)〇:問題のとおりです。火災により、500℃以上の加熱を受けると、水酸化カルシウムが熱分解するため、中性化が生じます。
(4)〇:問題のとおりです。コンクリートの中性化が生じていなかった場合、水酸化カルシウムの熱分解は生じておらず、受熱温度は500℃以下であると判断できます。500℃程度以下の受熱であれば、鉄筋の強度は、低下していないと判断できます。

【問378_JIS改正】

 JIS改正の年代に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)1980年代に、JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」に、塩化物イオン量の規定が設けられた。
(2)2000年代に、JIS R 5310「ポルトランドセメント」に規定される普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量が「0.035%以下」と規定された。
(3)1980年代に、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に細骨材の、絶乾質量に対する塩分量の許容限度が設けられた。
(4)1980年代に、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に、コンクリート中の塩化物イオン総量の規制が設けられた。
クリックで【問題378】の解答と解説をみる

正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。1987年に、JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」に、塩化物イオン量の規定が設けられました。
(2)〇:問題のとおりです。2003年に、JIS R 5310「ポルトランドセメント」に規定される普通ポルトランドセメントの塩化物イオン量が「0.035%以下」と規定されました。
(3)×:誤りです。1978に、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に細骨材の、絶乾質量に対する塩分量の許容限度が設けられました。
(4)〇:問題のとおりです。1986年に、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に、コンクリート中の塩化物イオン総量の規制が設けられました。

【問379_電気防食工法】

 電気防食工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)電気防食工法は、コンクリート表面に陰極材を設置し、かぶりコンクリートを介して、コンクリート中の鋼材に直流電流を流す。
(2)電気防食工法は、鋼材をアノード分極させて防食する工法である。
(3)防食状態を判定する場合は、通電を一旦停止し、その直後から24時間後までに、卑方向(マイナス方向)に、100mV以上復極することを確認することが一般的である。
(4)干満帯などの湿潤な環境では、24時間の復極量は、小さくなる傾向がある。
クリックで【問題379】の解答と解説をみる

正解(4)

(1)×:誤りです。電気防食工法は、コンクリート表面に陽極材を設置し、かぶりコンクリートを介して、コンクリート中の鋼材に直流電流を流します。
(2)×:誤りです。電気防食工法は、鉄筋に電流を流すと、鉄筋の電位がマイナス側に保たれる現象を用います。鉄筋の腐食は、アノード部、つまりプラス側で起きるため、電流を流して、鉄筋の電位を強制的にカソード分極、つまり、マイナス側にすることで鉄筋の腐食反応を停止することが出来ます。
(3)×:誤りです。防食状態を判定する場合は、通電を一旦停止し、その直後から24時間後までに、貴方向(プラス方向)に、100mV以上復極することを確認することが一般的です。
(4)〇:問題のとおりです。干満帯などの湿潤な環境では、24時間の復極量は、小さくなる傾向があります。これは、コンクリートの含水率が大きくなると、24時間後の復極量は小さくなります。

【問380_電気防食工法】

 内陸部に位置する道路橋プレテンション方式PC中空床版の、ひび割れ進行抑制に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)水下側の床版下面に、最大で0.8mm程度のひび割れが生じていたので、床版上面に、橋面防水を施した。
(2)水下側の床版下面に、最大で0.8mm程度のひび割れが生じていたので、床版下面に、ケイ酸ナトリウム系表面含浸材を塗布した。
(3)水下側の床版下面に、最大で0.8mm程度のひび割れが生じていたので、床版下面から、電気防食を実施した。
(4)水下側の床版下面に、最大で0.8mm程度のひび割れが生じていたので、床版下面から、ポリマーセメント系注入材を注入した。
クリックで【問題380】の解答と解説をみる

正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。水下側の床版下面に、ひび割れが生じていることから、上面からの雨水が浸透して、劣化が進行していると判断できます。床版上面への、橋面防水は適当です。
(2)×:誤りです。ケイ酸ナトリウム系表面含浸材は、コンクリート表面を緻密化し、外部からの水の侵入を防止します。下面に塗布すると、上面から侵入した雨水が排出されにくくなります。
(3)×:誤りです。電気防食工法は、鉄筋の腐食進行を抑制することはできますが、雨水などの水分の侵入を抑制することはできません。内部に侵入した水分の、凍結融解の膨張圧等によっても劣化は進行するため、適当ではありません。
(4)×:誤りです。床版下面から、ポリマーセメント系注入材を注入すると、上面から侵入した雨水が排出されにくくなります。
タイトルとURLをコピーしました