【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.34)鉄筋探査、ひび割れ調査

コンクリート診断士 問題と解説Vol.34

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問166_鉄筋探査】

 コンクリート中の鉄筋探査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリート表面にコールドジョイントが認められる箇所での鉄筋のかぶり厚さを電磁誘導法で推定した。
(2)コンクリート表面に水溜りがある箇所での鉄筋のかぶり厚さを電磁波レーダー法で推定した。
(3)コンクリート表面がアラミド繊維シートで覆われている箇所での鉄筋間隔を電磁波レーダー法で推定した。
(4)コンクリート表面がエポキシ樹脂で被覆されている箇所での鉄筋間隔を電磁誘導法で推定した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。コンクリート表面のコールドジョイントは、電磁誘導法による計測に影響を与えません。
(2)誤りです。電磁波速度は水の影響を強く受けます。水中の電磁波速度は空気中の1/9程度まで低下するため、コンクリート表面に水膜があると、精確な鉄筋のかぶり厚さが測定できません。
(3)問題のとおりです。コンクリート表面のアラミド繊維シートは非磁性体のため、電磁誘導法による計測に影響を与えません。
(4)問題のとおりです。コンクリート表面のエポキシ樹脂は非磁性体のため、電磁誘導法による計測に影響を与えません。

【問167_電磁波レーダー法】

 電磁波レーダ法により、コンクリート中鉄筋のかぶり(厚さ)を推定することとした。この推定のための計算に必要としない物理量は、次のうちどれか。
(1)鉄筋からの反射波の到達時間
(2)真空中での電磁波伝播速度
(3)コンクリートの比誘電率
(4)鉄筋の非伝導率
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正解(4)

(1)問題のとおりです。電磁波レーダー法は、コンクリートに電磁波を照射し、鉄筋や配管、空洞などから反射して戻ってきた電磁波で内部を探査する方法です。
(2)問題のとおりです。電磁波の速度は、真空中での電磁波伝播速度に比例します。
(3)問題のとおりです。電磁波の速度は、コンクリートの比誘電率の平方根に反比例します。
(4)誤りです。鉄筋の非伝導率は、電磁波レーダー法の探査に関係しません。

【問168_鉄筋位置の推定】

 コンクリート中の鉄筋位置の推定に用いられる非破壊試験の推定原理(A)~(C)とそれらを利用した試験方法の次の組合せのうち、適当なものはどれか
(A)コンクリートと鉄筋の境界面で電磁波が反射すること。
(B)コイルと鉄筋の距離が変化するコイルの起電力が変化すること。
(C)コンクリートより密度の大きい鉄筋の存在により電磁波がより顕著に減衰すること。
(A) (B) (C)
(1) X線法 電磁誘導法く 電磁波レーダー法/td>
(2) X線法 電磁波レーダー法 電磁誘導法
(3) 電磁波レーダー法 X線法 電磁誘導法
(4) 電磁波レーダー法 電磁誘導法 X線法
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正解(4)

(A)電磁波レーダー法は、コンクリート表面から電磁波を放射し、内部の鉄筋で電磁波が反射する現象を利用し、電磁波の反射時間により鉄筋かぶりを推定する方法です。
(B)電磁誘導法は、コイルに交流電流を流すと磁束が発生する現象を利用します。かぶりが変化するとコイルを貫いている磁束が変化し、これがインピーダンスの変化として検出されることを利用しかぶりを測定します。また、起電力の強弱を感知し鉄筋位置を測定、さらに磁束の振幅の変化を読み取り鉄筋径を推測することができます。
(C)X線(透過)法とは、電磁波法に分類され、X線を対象物の断面方向に透過させ、撮影された透過画像から内部の様子を確認する非破壊検査技術です。密度が大きくなるほど、X線の減衰量が大きくなります。鉄筋コンクリート内部の探査では、コンクリートより密度が大きい鉄筋などは白く、密度が小さい空隙などは黒く映し出されます。

【問169_電磁誘導法】

 電磁誘導法の原理に関する記述中の(A)~(C)にあてはまる次の(1)~(4)の語句の組合せのうち、最も適当なものはどれか
 コンクリート内部の鉄筋の調査に用いられる電磁誘導法では、コイルに(A)を供給すると、発生する(B)中の導体(鉄筋)に2次電流が誘起され、その影響でコイルの(C)やインピーダンスが変化する現象を利用して、コンクリート中の鉄筋の位置が推定できる。
(A) (B) (C)
(1) 直流 磁場く ひずみ/td>
(2) 直流 電場 起電力
(3) 交流 磁場 起電力
(4) 交流 電場 ひずみ
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正解(3)

 電磁誘導法は、コイルに交流電流を流すと磁束が発生する原理を利用しています。かぶりが変化するとコイルを貫いている磁束が変化し、これがインピーダンスの変化として検出されることを利用しかぶりを測定します。また、起電力の強弱を感知し鉄筋位置を測定、さらに磁束の振幅の変化を読み取り鉄筋径を推測することができます。

【問170_ひび割れ調査】

 ひび割れの発生している鉄筋コンクリート構造物において、ひび割れが鉄筋に到達しているか否かを調査することとした。かぶり(厚さ)とひび割れ深さの調査方法として、次の(1)~(4)の組合せのうち、最も適当なものはどれか
かぶり(厚さ) ひび割れ深さ
(1) AE法 サーモグラフィー法
(2) 超音波法 電磁波レーダー法
(3) サーモグラフィー法 AE法
(4) 電磁波レーダー法 超音波法
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正解(4)

(AE法)
AE法は、新たなひび割れの発生時に発生する弾性波を検出する調査方法です。ひび割れの発生位置は推定できますが、ひび割れ幅の測定やかぶり厚さの調査はできません。
(サーモグラフィー法)
赤外線カメラを用いて構造物表面やモルタル(タイル)表面の温度を測定し、表面温度の違いにより健全部と欠陥部を判定する方法です。サーモグラフィーによる方法は、あくまでも「コンクリート表面の温度」を確かめる方法です。それによって、コンクリート表面のモルタルの浮きやタイルの浮き等がわかるというもので、ひび割れ幅までは調査できません。
(超音波法)
周波数が20kHz以上の超音波を使用し、発振子からシリコングリスなどの接触剤を介して弾性波を発射して、その反射波を圧電素子を利用した振動子で検出する方法です。コンクリートに生じたひび割れの深さを推定するのに適しています。
(電磁波レーダー法)
電磁波レーダー法は、電磁波をアンテナからコンクリート表面に向けて放射すると、その電磁波がコンクリートと電気的性質の異なる鉄筋や空洞等との境界面で反射され、再びコンクリート表面に出て受信アンテナに受信される仕組みです。この送信から受信に到るまでの時間から、反射物体までの距離、つまり、かぶり厚さを知ることができます。平面的な位置は、アンテナを移動させることにより、位置情報を得ることができます。
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