【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.94)総合問題22

コンクリート診断士 問題と解説Vol.94

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問441_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張量は、コンクリート中に含まれる反応性骨材の量が多いほど大きくなる。
(2)アルカリ金属イオンの一種であるリチウムイオンには、アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張を抑制する効果がある。
(3)アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張量は、時間の平方根に比例する。
(4)コンクリートの中性化が進行すると、アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張速度は大きくなる。
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正解(2)

(1)×:誤りです。アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張量は、膨張量が最大となるペシマム量が存在します。コンクリート中に含まれる反応性骨材の量とは比例しません。
(2)〇:問題のとおりです。アルカリシリカゲルを非膨張性に改質する方法として、リチウム塩を添加する方法が挙げられます。亜硝酸リチウムをコンクリート内部へ浸透させる方法として、内部圧入工法を用いるのが一般的です。
(3)×:誤りです。アルカリシリカ反応によるコンクリートの膨張量は、時間の平方根に比例するとは限りません。
(4)×:誤りです。コンクリートの中性化とアルカリシリカ反応の膨張速度の関係は、明瞭ではありません。

【問442_凍害】

 コンクリートの凍害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)気温の効果にともなって、コンクリート中では径の小さい細孔中の水から凍結し始める。
(2)同一空気量のコンクリートの耐凍害性は、気泡径の分布によらず同程度である。
(3)海岸際に立地するコンクリート構造物において、海水の飛沫を受ける部分は、飛沫を受けない部分よりもスケーリングが発生しにくい。
(4)積雪寒冷地に立地するコンクリート構造物において、常に雪で覆われている部分は、南面などの雪が溶けやすい部分よりもスケーリングが発生しにくい。
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正解(4)

(1)×:誤りです。コンクリート中では、径の大きい細孔中の水から凍結し始める。
(2)×:誤りです。同一空気量のコンクリートの耐凍害性は、気泡径の小さい分布が多い方が、気泡間の距離が近くなり、耐凍害性が向上します。
(3)×:誤りです。凍害と塩害の複合劣化により、海水の飛沫を受ける部分は、飛沫を受けない部分よりも、スケーリングが発生しやすくなります。
(4)〇:問題のとおりです。凍害は、凍結と融解の繰返しによる氷の膨張圧により生じます。常に雪で覆われている部分は、南面などの雪が溶けやすい部分よりも、凍結・融解の回数が少なくなるため、スケーリングが発生しにくくなります。

【問443_化学劣化】

 コンクリートの化学劣化に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は、硫酸塩を含むセメントの使用がその一因と考えられている。
(2)プレキャストコンクリート部材では、蒸気養生中の、高温の影響でエトリンガイトが分解する。
(3)プレキャストコンクリート部材が、水分の供給が多い環境に置かれた場合に、エトリンガイトの遅延生成により、著しい膨張が生じ、ひび割れが発生することがある。
(4)エトリンガイトの遅れ生成による異常なひび割れは、塩化物イオンを多く含有するセメントを用いた蒸気養生したコンクリート製品に多く見られる。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は、硫酸塩を含むセメントの使用が、その一因と考えられています。
(2)〇:問題のとおりです。エトリンガイトは、65から70℃以上の高温履歴を受けると、分解します。
(3)〇:問題のとおりです。プレキャストコンクリート部材が、水分の供給が多い環境に置かれた場合に、エトリンガイトの遅延生成により、著しい膨張が生じ、ひび割れが発生することがあります。
(4)×:誤りです。エトリンガイトの遅れ生成による異常なひび割れは、アルカリを多く含有するセメントを用いた蒸気養生したコンクリート製品に多く見られます。その対策としては、高炉スラグ微粉末などの混和材の利用が提案されています。

【問444_複合劣化】

 コンクリートの複合劣化に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)凍結融解環境下では、コンクリートに、塩化ナトリウムが供給されると、毛細管内の水の凝固点降下が起こる。
(2)凝固点降下の影響等により、未凍結水量が増加し、さらに、浸透圧の増加によって、凍害による劣化の進行が促進される。
(3)凍害で劣化したコンクリートでは、塩化ナトリウムが侵入しやすくなり、細孔中の浸透圧の増加にともなって、アルカリシリカ反応が促進されることがある。
(4)凍結融解作用を受けるコンクリートは、凍結防止剤の散布により、スケーリングは起こりやすくなる。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。凍結融解環境下では、コンクリートに、塩化ナトリウムが供給されると、毛細管内の水の凝固点降下が起こります。
(2)〇:問題のとおりです。凝固点降下の影響等により、未凍結水量が増加し、さらに、浸透圧の増加によって、凍害による劣化の進行が促進されることがあります。
(3)×:誤りです。凍害で劣化したコンクリートでは、塩化ナトリウムが侵入しやすくなり、細孔中のpHの上昇にともなって、アルカリシリカ反応が促進されることがあります。
(4)〇:問題のとおりです。凍結防止剤を散布すると、塩害が生じやすくなります。凍害と塩害の複合劣化により、スケーリングは起こりやすくなります。

【問445_健全性評価】

 鉄筋コンクリート橋脚の健全性評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)衝撃振動試験は、躯体を打撃することで、振動を励起させ、これにより、構造物の衝撃係数を測定するものである。
(2)衝撃振動試験において、加振によって発生する、せん断変形量はわずかで、曲げ変形量が支配的である。
(3)衝撃振動試験は、固有振動数から推定できる、橋脚の曲げ剛性や、地盤ばねの変化に着目した健全性の評価が可能である。
(4)衝撃振動試験は、河川中にある橋脚基礎の、洗堀調査に用いられる場合が多い。
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正解(1)

(1)×:誤りです。衝撃振動試験は、躯体を打撃することで、振動を励起させ、これにより、構造物の固有振動数を測定するものです。
(2)〇:問題のとおりです。加振によって発生する、せん断変形量はわずかで、曲げ変形量が支配的です。
(3)〇:問題のとおりです。衝撃振動試験は、固有振動数から推定できる、橋脚の曲げ剛性や、地盤ばねの変化に着目した健全性の評価が可能です。
(4)〇:問題のとおりです。洗堀は、河川の流れによって、柱脚基礎周辺の地盤が流され、消失する現象です。洗掘により、基礎耐力が低下すると、橋脚の固有振動数が低下することに着目して、振動衝撃事件を洗堀調査に用います。
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