コンクリート診断士 問題と解説Vol.32
音声学習用動画のご紹介
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問156_弾性波法】
弾性波法の適用に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)超音波法の測定周波数は、衝撃弾性波法より高い。
(2)周波数の低い弾性波法ほど、検出可能な欠陥の最小寸法は大きくなる。
(3)周波数の低い弾性波ほど、伝播距離は長くなる。
(4)鉄筋の超音波伝播速度は、コンクリートと同等である。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。衝撃弾性波法は、物理的な打撃のため、測定周波数は20Hz~20kHzです。一方、超音波法は、周波数が20kHz以上の超音波を使用します。
(2)問題のとおりです。周波数の低い弾性波法ほど、検出可能な欠陥の最小寸法は大きくなります。
(3)問題のとおりです。周波数が低いほど伝播距離は長くなり、深い位置まで測定が可能になります。
(4)誤りです。超音波の伝播速度は、一般に密度が高いほど大きくなります。コンクリートよりも鉄筋のほうが密度が高いため、鉄筋のほうが超音波伝播速度は大きくなります。
【問157_弾性波法】
弾性波法によるコンクリート中の空洞の調査に関する記述中の(A)~(C)にあてはまる次の語句の組合せのうち、適当なものはどれか。
弾性波は、周波数が低くなるほどコンクリート中での減衰が(A)なり、より深い位置の空洞の検出が(B)なる。また、同じ深さの空洞に対する検出可能な空洞の最小寸法は(C)なる。
(A) | (B) | (C) | |
(1) | 大きく | できなく | 小さく/td> |
(2) | 小さく | できるように | 大きく |
(3) | 大きく | できなく | 大きく |
(4) | 小さく | できるように | 小さく |
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正解(2)
弾性波法によるコンクリート中の空洞の測定は、周波数が低くなる(波長が長くなる)ほどコンクリート中での減衰が小さくなり、深い位置の検出が可能となります。一方、検出精度は低下します。
【問158_超音波法】
超音波法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)鉄筋中の超音波伝播速度はコンクリート中のそれよりも大きいが、鉄筋コンクリート部材の部材厚の測定では、超音波の伝播方向に直交する鉄筋の影響は無視し得る。
(2)普通コンクリート中の粗骨材はモルタル部よりも超音波伝播速度が大きいので、粗骨材量の多いコンクリートでは伝播速度が大きくなる。
(3)超音波伝播速度はコンクリート中の含水率によって影響を受けるので、低湿度の状態を保つと、材齢の増加に伴って伝播速度が低下することがある。
(4)コンクリート中の超音波伝播速度は周波数によって影響を受けるので、伝播速度を求めるときに周波数による補正を行う必要がある。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。超音波伝播速度は鉄筋中のほうがコンクリート中よりも速くなります。ただし、鉄筋コンクリート部材が鉄筋比が1%程度と小さく、伝播速度に与える影響が小さいため、超音波の伝播方向に直交する鉄筋の影響は無視します。
(2)問題のとおりです。コンクリートは、粗骨材量が多いほど密度が高くなります。超音波伝播速度は密度が大きいほど、速くなります。
(3)問題のとおりです。コンクリートの含水率が大きくなると超音波伝播速度は速くなります。含水すると、同じ体積でも重くなり、密度が高くなるため、超音波伝播速度が大きくなると覚えると、覚えやすいと思います。
(4)誤りです。コンクリート中での超音波伝播速度は、周波数の影響は受けません。
【問159_超音波法】
普通骨材を用いたコンクリートの性質と超音波伝播速度との関係を示した次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)密度が小さくなると超音波伝播速度は大きくなる。
(2)空隙率が大きくなると超音波伝播速度は大きくなる。
(3)ヤング係数が大きくなると超音波伝播速度は大きくなる。
(4)単位粗骨材容積が小さくなると超音波伝播速度は大きくなる。
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正解(3)
(1)誤りです。超音波の伝播速度は、一般に密度が高いほど大きくなります。
(2)誤りです。超音波の伝播速度は、コンクリート内部組織が緻密であるほど大きくなります。
(3)問題のとおりです。ヤング係数が大きいコンクリートほどコンクリート内部組織が緻密です。
(4)誤りです。コンクリートは、粗骨材量が多いほど密度が高くなります。
【問160_調査・診断方法】
コンクリート構造物の調査・診断の方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)電磁波レーダー法では、アンテナを移動しながら反射波を検出することによって、調査箇所の断面画像を描くことができる。
(2)電磁波誘導法では、試験コイルに流した交流電流から発生する磁束の変化によって、コンクリート中の空隙やジャンカ(豆板)を探査することができる。
(3)引抜き法では、コンクリート表面にセットしたボルトなどの埋込み具の引抜き耐力から圧縮強度を推定することができる。
(4)放射線法では、透過したX線やγ線を撮影して、鉄筋や配管の配置状況を視覚的に観察できる。
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正解(2)
(1)問題のとおりです。電磁波レーダー法は、電磁波をアンテナからコンクリート表面に向けて放射すると、その電磁波がコンクリートと電気的性質の異なる鉄筋や空洞等との境界面で反射され、再びコンクリート表面に出て受信アンテナに受信される仕組みです。この送信から受信に到るまでの時間から、反射物体までの距離を知ることができます。平面的な位置は、アンテナを移動させることにより、位置情報を得ることができます。
(2)誤りです。電磁誘導法は、コンクリート中の鉄筋等の磁性体を探査するものです。コンクリート中の空隙やジャンカは探査することができません。
(3)問題のとおりです。引抜き法はプルアウト法とも言います。コンクリート表面にエポキシ樹脂等の接着剤を用いて埋込み具をセットし、これを引き抜くのに要する荷重から圧縮強度を推定することができます。
(4)問題のとおりです。放射線法は、X線やγ線を照射し、裏側にフィルムを配置して鉄筋やひび割れなどコンクリート内部の様子を撮影する方法です。エックス線作業主任者による安全管理を行う必要があり、鉄筋や配管などの埋設物、空洞やひび割れを高精度で探査できますが、効率が悪く、一般的な適用厚さは400mmです。