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コンクリートはなぜ固まる?
コンクリートは、セメントの水和反応が起こることで硬化していきます。現場で良いコンクリートを打つためには、硬化の過程を知ることが重要です。
このページでは、コンクリートの”硬化”の過程とその際の”発熱”の関係についてまとめます。
コンクリートの硬化は、セメントと水が反応し”水和反応”を起こすことで生じます。水和反応による反応熱を一般的に”水和熱”と呼びます。
硬化の過程について
コンクリート工場で練られたコンクリートは、練られた直後から(正確にはセメントと水が触れた時から)水和反応が起こります。その後コンクリートは、アジテーター車(生コン車)に積み込まれ、建設現場へと運搬されます。建設現場では、生コンの打設が行われ、強度が発現する4週間程度、養生されます。
ここで、コンクリートを練りはじめてから24時間後までの水和熱の発生速度(≒硬化の過程)は、以下の図のように表せられます。
第Ⅰ期:注水直後の急激な反応
第Ⅱ期:潜伏期
第Ⅲ期:加速期
第Ⅳ期:減速期
第Ⅴ期:反応がゆっくり進行
硬化と発熱に関して
第Ⅰ期
注水直後は、セメントに含まれるアルミン酸三カルシウム(C3A)とせっこう(CaSO4・2H2O)の反応により、エトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)が生成します。
アルミン酸三カルシウムの水和熱は大きく、1日以内の早期強度に寄与します。第Ⅰ期の注水直後では、第1ピークの水和熱が発生します。
第Ⅱ期
第1期のピーク後、水和反応はしばらく停滞します。これを第Ⅱ期と呼びます。生コン車による運搬→打込みはこの第Ⅱ期に行われることになります。
第Ⅱ期では、アルミン酸三カルシウムの水和反応が落ち着き、次第にケイ酸三カルシウムの水和反応が進んでいきます。
第Ⅲ期
第Ⅲ期では、ケイ酸三カルシウム(C3S)が活発に反応し、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が生成され、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)が生成されます。
ケイ酸三カルシウムの水和熱は中程度で、28日以内の早期強度の発現性に寄与します。打込み後の初期養生のタイミングで、第2ピークの水和熱が発生します。
第Ⅳ期
第Ⅳ期では、モノサルフェートの生成が始まりエトリンガイトが減少していきます。
※モノサルフェート:硫酸イオン1つ(SO42-)を含む無機化合物の総称=硫酸塩
第Ⅴ期
第Ⅴ期では、ケイ酸二カルシウム(C2S)が反応し、28日以降の長期強度の発現に寄与します。
第Ⅴ期以降の強度発現と材齢の関係
上記の3物質(C3A、C3S、C2S)に鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF)を加えた4物質は”セメントクリンカー”とも呼ばれます。
セメントクリンカー
セメントクリンカーは、コンクリートを硬化させるために重要な物質です。以下の4物質の総称をセメントクリンカーと呼びます。
- エーライト (C3S)
- ビーライト (C2S)
- アルミネート (C3A)
- フェライト (C4AF)
コンクリートについて調べると、物質の呼び方がいろいろあるため、非常にとっつきにくいですが、ひとつひとつ調べながら学習すると理解が深まり、楽しいですね!