有害とされるひび割れの幅は?
ひび割れには、耐久性上有害なひび割れと、有害でないひび割れがあります。
新築現場での施工管理では、経年劣化が原因のひび割れを見ることは少ないと思います。しかし、竣工後の1年検査、2年検査などに立ち会うと、引き渡しの時には、なかったひび割れを見る機会があります。
建物を買った人にとっては、一生に一度の買い物かもしれません。建物によっては、不特定多数の方が利用することもあるでしょう。「建てて終わり」ではなく「建ててからどれだけ健全に残るか」を意識して施工管理を行うことを肝に銘じなければなりませんね。
ひび割れ幅に関しては、国内外に多くの研究がある。一般に、鉄筋応力が一定であれば、梁の引張側における鉄筋1本あたりのコンクリート断面積が大きいほど、コンクリートかぶりが厚いほど、鉄筋径が太いほど、また、付着強度が低いほどひび割れ幅は大きくなると言われている。ひび割れ幅の制限としては、以下の数値程度が示されることが多い。
建物外面では 0.2~0.25mm
建物内面では 0.3~0.4mm
引用元:鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説 6条 許容応力度
ひび割れのパターン
- 鋼材腐食(さび)が進行した結果、生じたひび割れ(中性化、塩害など)
- 鋼材腐食を促進させる原因となるひび割れ(何らかの原因)
- コンクリート自体の劣化を表す進行性のひび割れ(ASR、凍害、化学的浸食、疲労など)
- 荷重によるひび割れ(曲げひび割れ、せん断ひび割れ、付着破壊など)
中性化によるひび割れ
中性化は、かぶり不足が原因で生じることが多いです。中性化が発生すると、鉄筋の腐食が進行します。中性化によるひび割れは、一番外側に配筋される帯筋・あばら筋に沿って生じます。
中性化に関する記事はこちらにあります。
塩害によるひび割れ
塩害によるひび割れは、鉄筋に沿って生じます。
塩害は、海水の近くである沿岸部や、塩素を含むプールといった場所で起きやすいです。塩化物イオン(塩素イオン)がコンクリートの成分と反応して劣化する現象を塩害といいます。こちらの記事を参考にしてください。
ASRによるひび割れ
アルカリシリカ反応(ASR)が生じると、亀甲上のひび割れが生じます。
ASRは、コンクリート中の反応性骨材が、シリカなどのアルカリ分と反応することにより生じます。ASRにより、アルカリシリカゲルが生成され、そのアルカリシリカゲルが吸水・膨張することによってコンクリートにひびが入る現象が生じます。こちらの記事を参考にしてください。