【中性化しやすい環境とは?】アルカリ量との関係

診断士

中性化しやすい条件

コンクリートが中性化しやすい環境について、様々な原因があるため、ひとつずつ理解しながら学習を進めたいと思います。

まずは代表的な、中性化しやすい条件を以下に列挙します。

  1. セメント中のアルカリ量が多いほど中性化しやすい
  2. 水セメント比(W/C)が大きいコンクリート
  3. ジャンカなどの施工欠陥部
  4. 相対湿度50~60%の環境
  5. 室内の方が屋外より1~3倍ほど中性化速度が速い
  6. 混合セメントの使用

様々な条件がありますが、今回は1.セメント中のアルカリ量が多いほど中性化しやすいという点について進めていきたいと思います。

アルカリ量が多いほど中性化しやすい

コンクリートのアルカリ性が、内部の鉄筋の腐食(酸化)を抑制する」という話を聞いたことがあると思います。

これは、コンクリート中の水酸化ナトリウムが、鉄筋の周辺をpH12以上という高アルカリ状態に保つことで、鉄筋表面に不働態被膜が形成されるためです。

しかし、アルカリ量が多いほど中性化しやすいということも言われています。一体どういうことなのか・・・。

ここで、中性化とは

中性化は、以下の化学式で表されます。

Ca(OH)2  +  CO2  →  CaCO3  +  H2O ・・・ (式1)
(水酸化カルシウム + 二酸化炭素 → 炭酸カルシウム + 水)

水酸化カルシウムは、pH12~13の強アルカリ性を示し、炭酸カルシウムとなった部分のpHは8.5~10程度になります。これを中性化と呼んでいます。

ここでポイントは、この式は、実際には水が関与しないと起こらない反応であるということです。
(式1)の反応は、(式2、3)のように水酸化カルシウムと二酸化炭素が水に溶解してはじめて起こる反応です。

Ca2+  +  2HCO3  →  Ca(HCO3)2  ・・・(式2)
Ca2+  +  CO32-  →  CaCO3    ・・・(式3)

中性化は水が無いと起こらない

中性化の、もう一つのポイントは、高アルカリ環境下において、中性化が進行しやすいということです。

水酸化カルシウムが水へ溶解し、カルシウムイオンとなることで、中性化の反応が起こりますが、カルシウムイオンの濃度が高ければ、水酸化カルシウムが溶解し、カルシウムイオンとなる余地が少なくなります。

細孔溶液中のイオンの大部分はナトリウムイオンとカリウムイオンで、それらが多く細孔溶液中に溶解している場合に、高アルカリ環境下となります。

これらのアルカリイオンも、炭酸イオンと反応して、炭酸アルカリを生成しますが、溶解度が非常に大きいため、再び細孔溶液に炭酸イオンが溶解し、溶解度の小さい炭酸カルシウムがどんどん生成されていきます。

炭酸カルシウムがどんどん生成されていくことで、細孔溶液中のカルシウムイオン濃度が低くなり、水酸化カルシウムが溶解しやすい環境となってしまうということです。

つまり、高アルカリ環境下では、炭酸カルシウムの生成が進み、水酸化カルシウムのカルシウムイオンの消費が進むため、中性化が進行しやすくなります。

過去問2018NO.5

化学平衡論の観点からみたコンクリートの中性化(炭酸化)進行のメカニズムに関する、次の記述中の(A)~(C)に当てはまる(1)~(4)の語句の組合せのうち、適当なものはどれか。

コンクリートに侵入した二酸化炭素は、細孔溶液中で炭酸イオン(CO32-)となり、カルシウムイオン(Ca2+)と反応し、溶解度が小さい炭酸カルシウムとして沈積する。この反応により細孔溶液中のカルシウムイオンが(A)ので、濃度の平衡により固相に存在する水酸化カルシウムが細孔溶液中に溶解する。

ナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)などが多い場合は、細孔溶液が高アルカリ性を維持するため、水酸化カルシウムの溶解が(B)、中性化の進行が(C)なる。

(A) (B) (C)
(1) 増加する より進み より速く
(2) 増加する 鈍化し より遅く
(3) 消費される より進み より速く
(4) 消費される  鈍化し より遅く

答え(3)

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