【微細構造】水銀圧入法、リニアトラバース法とは?

水銀圧入法 診断士

水銀圧入法とは?

 水銀は、表面張力が非常に強いことで知られています。表面張力により、コンクリートの表面の微細な孔に水銀が自然に入り込むことはありません。
 しかし、水銀に圧力を加えると、コンクリート表面の微細な孔に水銀を入れ込むことが出来ます。水銀を入れ込むのに必要な圧力と入り込んだ体積から、コンクリートの表面に開いている微細な孔の大きさと数(体積)を測定することが出来ます。
 水銀に圧力を加えると、微細な孔に水銀が入り込んでいくイメージは、下図の通りです。大きな孔から順次水銀が入り込んでいきます。これは、孔の大きい部分の表面張力の方が小さいためです。

水銀圧入法

 水銀圧入法では、数100μm~数nmまでの幅広いサイズの細孔を測定できます。

耐久性の判定

 直径が30~250μm程度で、気泡間隔係数が200~250μm以下で耐久性が向上すると言われています。これは、コンクリート中の微細な気泡が、温度膨張・収縮、凍害による圧力等に対してクッションのような働きをして、ひび割れを防ぐと考えられているためです。
 空気量に関しては、6%以上増えても耐久性の向上には影響を与えないため、JASS5では空気量は4.5±0.5%とすることと規定されています。

リニアトラバース法とは?

 リニアトラバース法は、コンクリートの気泡間隔係数を求めるために用いられる方法で、コンクリート断面の端から端に直線を仮定し、その直線を横切る気泡の数と長さから、コンクリートの気泡間隔係数を推定します。
liner-traverseは、liner=線、traverse=横断 の意味を表しています。
 リニアトラバース法は、ASTM C-457(America Society for Testing and Materials=アメリカ材料試験協会)で規定されています。ASTMは、日本でいうJIS(日本工業規格)に相当します。
 リニアトラバース法は、コンクリート中の空気泡の大きさと、数の推定を行う方法で、線解析理論に基づいた測定方法です。他にも修正ポイントカウント法という方法がASTMでは規定されていますが、どちらも空気泡の大きさと、数を測定するということに変わりはありません。
 2次元の断面上で得られる粒子(気泡)の面積、線または点の比率と、その粒子(気泡)の体積比率とが等価であることが数式で証明されておりますので、その理論に基づいてコンクリート中の気泡間隔係数を求めます。
 これらの理論について詳しく知りたい方は『土木試験所報 No.396 1986年5月 気泡断面積測定による硬化コンクリートの気泡パラメータの解析理論』を参考になさってください。googleの検索でも出てきます。
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