火害の調査手法のひとつ
RC構造物は一般的に耐火性に優れますが、受熱温度が高くなると、コンクリート・鉄筋の剛性および強度低下が著しくなります。
火害の調査方法として以下が挙げられます。
<一次調査(=簡易調査)>
- 目視観察
- コンクリート変色状況
- 中性化深さ測定
- リバウンドハンマーによる反発度試験
<二次調査(=詳細調査)>
- コアサンプルによる試験
- 鋼材の引張試験
- 載荷・振動試験
- UVスペクトル法(GBRC法)
- X線回折
- 示差熱重量分析(DTA・TGA)
今回は、二次調査手法の一種である【UVスペクトル法】についてまとめていきたいと思います。
UVスペクトル法とは?
- UV(Ultraviolet)=紫外線を用いた
- スペクトル=吸光スペクトル=紫外領域の波長に対し吸収強度を記録したもの
- コンクリート中の混和剤に着目し、受熱温度を推定する方法です。
- 健全部のコンクリートを採取・加熱し分光光度計を用いてUVスペクトルを分析します。
- 火害を受けたコンクリートをUVスペクトル分析し、検量線を用いてコンクリートの深さ方向の受熱温度分布を推定します。
UVスペクトル法の特徴
- 常温から600℃までの温度範囲で推定可能(鉄筋とコンクリートの機械的性能評価の目安となる受熱温度と同じ範囲)
- 混和剤は、水による化学的変化はなく、熱分解するのみであるため、受熱温度推定しやすい
- 微量の試料あるいは、低濃度でも定量分析が可能