【曲率】図から分かる導出方法

建築士

曲率\(\frac{1}{\rho}=\frac{d^2y}{dx^2}\)という式について少し掘り下げてみようと思います。

まず、梁材がたわんだ時の微小区間の変形について図で確認していきます。

単純梁に荷重を与えると、梁がたわみます。微小変形区間で考えると、たわんだ梁(赤線)を直線と考えることが出来ます。

この時の微小区間のたわみ角を\(d\theta\)とすると曲率は\(\frac{1}{\rho}\)と表すことができます。
下図のように、ある区間の曲線に対する半径が\(\rho\)となります。微小変形区間のたわんだ梁の直線の長さ\(dS\)に対する、その角度\(d\theta\)の比を曲率\(\kappa=\frac{1}{\rho}\)といいます。

$$\kappa=\frac{1}{\rho}=\frac{d\theta}{dS}$$

微小変形区間での話なので、たわんだ梁の一部を拡大した状態だと思ってください。なので、実際には\(\rho\)は図よりも長くなりますが、表現しやすくするために短く描いています。

ここで、微小変形範囲では、\(\tan{\theta}=d\theta\)が成り立ちますので

\begin{eqnarray}
d\theta &=&\frac{dS}{\rho }\\
\frac{1}{\rho} &=& \frac{d\theta}{dS}
\end{eqnarray}

つまり曲率\(\kappa=\frac{1}{\rho}\)となります。

\(\theta\)と\(S\)は\(x\)が変化すると共に変化する(\(x\)の関数なので、\(x\)で微分できることから、以下のように変形することが出来ます。
$$\frac{1}{\rho}=\frac{d\theta}{dx}\frac{dx}{dS}$$

ここで、三角形の合同条件から、図の下側の小さい三角形について
$$\tan{\theta} = \frac{dy}{dx}$$
両辺を\(x\)で微分します。
$$\frac{d}{dx}\tan{\theta}=\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}$$

左辺の分母と分子にdθを掛けます(dθ/dθ=1)

$$\frac{d\theta}{dx}\frac{d}{d\theta}({\tan\theta})=\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}{・・・式1}$$

ここで、tanθをθで微分すると
$$
\begin{eqnarray}
\frac{d}{d\theta}\tan{\theta} &=& \frac{d}{d\theta}\frac{\sin{\theta}}{\cos{\theta}}\\
&=& \frac{(\sin{\theta})’\cos{\theta}-\sin{\theta}(\cos{\theta})’}{(\cos{\theta})^2}\\
&=& \frac{{\cos^2\theta}-{\sin^2\theta}}{{\cos^2\theta}}\\
&=&1+\frac{{\sin^2\theta}}{{\cos^2\theta}}\\
&=&1+{\tan^2\theta}
\end{eqnarray}
$$
式1に代入すると
$$
\begin{eqnarray}
\frac{d\theta}{dx}\frac{d}{d\theta}\tan{\theta} &=& \frac{d}{dx}\frac{dy}{dx} \\
\frac{d\theta}{dx}(1+\tan^2{\theta}) &=& \frac{d}{dx}\frac{dy}{dx} \\
\frac{d\theta}{dx} &=& \frac{\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}}{(1+\tan^2{\theta})} \\
\frac{d\theta}{dx} &=& \frac{\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}}{(1+{(\frac{dy}{dx})}^2)}{・・・式2}
\end{eqnarray}
$$
左辺は完了です。

次に右辺です。
三平方の定理から\(dS=\sqrt{dx^2+dy^2}\)
これを変形すると
$$dS=\sqrt{1+(\frac{dy}{dx})^2}dx$$
よって
$$\frac{dx}{dS}=\frac{1}{\sqrt{1+(\frac{dy}{dx})^2}}{・・・式3}$$

曲率κ=1/ρは下式のように表せました。

$$\frac{1}{\rho}=\frac{d\theta}{dx}\frac{dx}{dS}$$
この式へ式2,3を代入すると

$$
\begin{eqnarray}
\frac{1}{\rho} &=& \frac{d\theta}{dx}\frac{dx}{dS}\\
&=& \frac{\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}}
{(1+(\frac{dy}{dx})^2)}
×\frac{1}
{\sqrt{1+(\frac{dy}{dx})^2}}\\
&=& \frac{\frac{d}{dx}\frac{dy}{dx}}
{(1+(\frac{dy}{dx})^2)}
×\frac{1}
{(1+{(\frac{dy}{dx})}^2 )^{\frac{1}{2}}}\\
&=& \frac{\frac{d^2y}{dx^2}}
{(1+{{(\frac{dy}{dx})}^2 )}^{\frac{3}{2}}}
\end{eqnarray}
$$
ここで、微小変形区間\(d\theta\)の時、\(\tan{\theta} <<1\)つまり \( \frac{d^2y}{dx^2} = 0 \)が成り立つため曲率は

$$\frac{1}{\rho}=\frac{d^2y}{dx^2}$$

となります。
長かったですが、きちんと追って式がわかると気持ちが良いですよね!

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