【コンクリート主任技士過去問解説】平成30年度No16~20

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成30年度―問題16】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか

(1)膨張材を用いたコンクリートは乾燥収縮を低減できるので、材齢初期における湿潤養生期間を短縮してよい。

(2)大断面の底盤から立ち上がる厚さ1mの壁体において、ひび割れの発生を少なくするため、内部温度が最大に達した後も脱型せずに、しばらく型枠を残しておくのがよい。

(3)高強度コンクリートでは、コンクリート表面からの水分蒸発を抑制し、プラスティック収縮ひび割れを防止するため、打ち込み終了後直ちに幕養生剤を散布し仕上げるのがよい。

(4)コンクリートの打ち込み後は、コンクリート露出面の表面を荒らさないで作業ができる程度に硬化した後に、なるべく早くコンクリートの表面を養生マットで覆うのがよい。

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正解(1)

(1)膨張材は、酸化カルシウムと水が反応して、水酸化カルシウムの結晶が成長することで性能を発揮します。夏期は5日、冬期は7日は湿潤養生期間が必要です。

(2)問題の通りです。温度応力による、コンクリートのひび割れは、コンクリートの表面と内部の温度差が大きいほど、発生しやすくなります。コンクリートの打設後、型枠を残すことで、コンクリートの表面と、内部の温度差を小さくすることで、温度応力によるひび割れの発生を抑制することができます。

(3)問題の通りです。プラスティック収縮ひび割れは、打込み直後にコンクリート表面が急激に乾燥し、乾燥収縮を起こすことが原因で生じます。高強度コンクリートは、水セメント比が小さく、水和熱が大きくなる傾向があります。そのため、打込み終了後のプラスティック収縮ひび割れが生じやすいため、ただちにマク養生剤を散布し、仕上げるのがよいです。

(4)問題の通りです。コンクリート表面を湿潤養生し、乾燥収縮を防ぐことで、ひび割れを抑制します。表面が乾燥することを防ぐことで、硬化不良の抑制になります。

【平成30年度―問題17】

型枠および支保工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか

(1)透水性型枠を用いると、型枠近傍の水セメント比が小さくなることから、コンクリート表層部の組織が緻密となり耐久性の向上が図れる。

(2)労働安全衛生総合研究所(旧厚生労働省産業安全研究所)では、型枠がほぼ水平で工場製作精度で支保工を組み立てる場合の水平方向荷重は、鉛直方向荷重の1.0%とすることを推奨している。

(3)JASS5によれば、スラブ下および梁下の支保工の存置期間は、構造体コンクリートの圧縮強度がその部材のコンクリートの設計基準強度に達したことが確認されるまでとなっている。

(4)土木学会示方書によれば、橋や建物等のスラブおよびはりの下面において、型枠および支保工を取り外してよい時期のコンクリートの圧縮強度は14.0N/mm2となっている。

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正解(2)

(1)問題文の通りです。透水性型枠を用いると、型枠表面のブリーディング水や気泡が排出され、コンクリート表層の水セメント比が小さくなり、組織が緻密となり、耐久性の向上が図れます。

(2)誤りです。支保工を組み立てる場合の水平方向荷重は、支保工がパイプサポートによる場合は、鉛直方向荷重の5%、支保工が鋼管枠による場合は、2.5%とすることを推奨しています。

(3)問題文の通りです。柱や壁などの垂直部分のせき板は、普通コンクリートで計画きょう用期間が短期、標準の時は5N/mm2以上、長期の時は10N/mm2以上で解体できますが、スラブ下、および梁下の支保工は、コンクリートの設計基準強度に達したことが確認されるまでとなっています。

(4)問題文の通りです。土木学会示方書によれば、フーチングなどの厚い部材の鉛直面は3.5N/mm2、柱や壁などの薄い部材の側面は5N/mm2、スラブや、梁などの下面は14N/mm2で型枠を解体してよいとされています。

【平成30年度―問題18】

鉄筋工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか

(1)土木学会示方書では、かぶりはフーチングおよび構造物の重要な部材でコンクリートが地中に直接打ち込まれる場合は75mm以上、水中で施工する構造物の場合は100mm以上としている。

(2)JASS5では、設計かぶり厚さは、最少かぶり厚さを確保するため施工誤差を考慮して定められた設計地であり、最少かぶり厚さの値に原則として10mmを加えた値である。

(3)JASS5では、異形棒鋼SD490を主(鉄)筋に使用する場合、鉄筋の末端部の折曲げ角度は90°を原則としている。

(4)モルタル充填継手は、重ね継手部分の隙間に高強度で無収縮のモルタルを充填し、モルタルのせん断強度により力を伝達している。

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正解(4)

(1)問題の通りです。追加の知識として、土木学会示方書では、かぶりは、梁部材の一般部は35mm、柱、壁部材の一般部は40mmです。

(2)問題の通りです。設計かぶり厚さは、最小かぶり厚さに、10mmを加えた値となります。

(3)問題の通りです。SD295Aなどは、90°、125°、180°フックがあります。しかし、SD490は90°を超える折曲げ加工をする場合は、事前に鉄筋の曲げ試験を行い、支障ないことを確認し、監理者の承認を得なけらばなりません。

(4)誤りです。重ね継手部分ではなく、突合せ部分です。

【平成30年度―問題19】

下図は、一般のコンクリート、転圧コンクリート舗装(RCCP)用コンクリート、水中不分離性コンクリート、高強度コンクリート、ダムコンクリート(有スランプ内部コンクリート)の配(調)合を容積百分率で示したものである。下図のa~dのうち、転圧コンクリート舗装(RCCP)用コンクリートの配(調)合として、適当なものはどれか

(1)a

(2)b

(3)c

(4)d

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正解(3)

まず、RCCP用コンクリートは単位水量が少ない点に着目し、aかcに絞ります。これでダムコンクリートかRCCP用コンクリートかの2択になります。

(1)aは粗骨材の量が多く、細骨材の量が少ないことから、最大粗骨材寸法の大きいコンクリートを使用しているダムコンクリートであることが分かります。

(2)bの高強度コンクリートは、セメント量を多くし、単位水量を少なくするため、流動性を確保するために細骨材の割合が大きくなることが特徴です。

(3)cはaとcの消去法でRCCP用コンクリートとなります。単位水量が小さいコンクリートです。

(4)dの水中不分離コンクリートは薬剤を多く配合するため、単位水量が大きいことが特徴です。

【平成30年度―問題20】

寒中コンクリートに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか

(1)打込み終了時までの1時間あたりの温度低下を、コンクリート温度と外気温の差の15%としてコンクリートの練上がり温度を設定した。

(2)積算温度方式に基づいて算定すると、日平均温度が5℃で14日間養生したコンクリートの圧縮強度の推定値は、日平均温度が7℃で10日間養生した場合の推定値と同じとなる。

(3)打込み時に所要のコンクリート温度を確保するため、コンクリートを製造する際に、骨材の貯蔵設備内の配管にスチームを通すことにより、骨材の温度を40℃とした。

(4)打ち込んだコンクリート表面が乾燥しないようにするため、ヒーターによる加熱養生(給熱養生)を行う期間中は、コンクリート表面が湿っている程度に散水した。

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正解(2)

(1)問題の通りです。

(2)積算温度Σ=日数d×(10+日平均温度t)
①Σ1=14×(10+5)=210
②Σ2=10×(10+7)=170
①と②は異なることがわかります。

(3)問題の通りです。寒中コンクリートを打設する際、材料の加熱は、水の過熱を標準とします。ただし、必要に応じて粗骨材、細骨材の加熱を行います。

(4)問題の通りです。ヒーターによる加熱養生を行う際には、コンクリート表面が乾燥しないように、適度に散水します。

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