【コンクリート主任技士過去問解説】平成25年度No26~30

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成25年度―問題26】

 型枠および支保工に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)土木学会示方書およびJASS5によって型枠を設計する場合、型枠に作用するコンクリートの側圧は、打込み箇所の配筋量および配筋状態によって左右される。
(2)土木学会示方書では、型枠および支保工を取り外してよい時期のコンクリートの圧縮強度としては、部材の側面よりも部材の下面の方を大きく定めている。
(3)JASS5では、スラブ下および梁下の支保工の取り外しは、原則として、構造体コンクリートの圧縮強度が設計基準強度以上であることを確認してから行うこととしている。
(4)型枠・支保工の設計に際して、型枠がほぼ水平で、現場合せで支保工を組み立てる場合、鉛直荷重の5%を水平方向荷重とすることとされている。
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正解(1)

(1)型枠設計用のコンクリートの側圧は、以下に左右されます。
  • 打込み速さ
  • 打込高さ(ヘッドからの高さ)
  • 部材(柱・壁)
  • 高流動・高強度
(2)問題の通りです。土木学会示方書では、鉛直に近い、厚い部材の側面では、3.5N/mm2以上、薄い部材の側面では、5N/mm2以上、スラブやはりなどの、部材の下面では14N/mm2以上の圧縮強度を確認を、支保工を取り外してよい時期の目安としています。
(3)問題の通りです。JASS5では、スラブ下、および、ハリシタの支保工の取り外しは、原則として、構造体コンクリートの圧縮強度が設計基準強度以上であることを確認してから行うこと、もしくは、支保工を28日以上残置してから、解体することとしています。
(4)問題の通りです。支保工を組み立てる場合の水平方向荷重は、支保工がパイプサポートによる場合は、鉛直方向荷重の5%、支保工が鋼管枠による場合は、2.5%とすることを推奨しています。現場合わせということは、パイプサポートによる場合とみなすため、5%で正解です。

【平成25年度―問題27】

 JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に規定される舗装コンクリートに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)コンクリート表面が車両のタイヤによるすりへり作用を受けるので、微粒分量が5%以下の細砂を使用した。
(2)コンクリート表面が車両のタイヤによるすりへり作用を受けるので、すりへり減量が35%以下で、軟らかい石片の含有量が5%以下の砕石を使用した。
(3)交通荷重による曲げ作用を受けるので、材齢28日の曲げ強度を設計の基準とし、「表―1レディーミクストコンクリートの種類」の中から呼び強度「曲げ5.5」のものを発注した。
(4)スランプが6.5cmのコンクリ―トを使用するので、運搬にはトラックアジテーターを用い、練混ぜを開始してから荷卸しまでの運搬時間が1.5時間以内となるように計画した。
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正解(3)

(1)問題の通りです。舗装コンクリートに用いる砕石は、すりへり減量が、35%以下で、軟らかい石片の含有量が、5%以下、砕砂は微粒分量が、5%以下のものを用いなければならないと規定されています。
(2)問題の通りです。舗装コンクリートに用いる砕石は、すりへり減量が、35%以下で、軟らかい石片の含有量が、5%以下、砕砂は微粒分量が、5%以下のものを用いなければならないと規定されています。
(3)JIS A 5308の規格では、曲げ4.5が正しい記述です。
(4)問題の通りです。JASS5では、運搬にトラックアジテーターを用いる場合、ねりまぜを開始してから、荷卸しまでの時間の限度を、原則として1.5時間以内と規定しています。また、運搬にダンプトラックを用いる場合は、運搬時間が60分を限度としています。

【平成25年度―問題28】

 軟弱な地盤上に建設する梁状のマスコンクリート構造物(図1)に、数時間で連続的にコンクリートを打ち込んだ。コンクリートの打込み後、中心部のa点の温度が最高となった時点の、X-X’断面における温度応力の分布として、図2中の(1)~(4)のうち、適当なものはどれか
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正解(2)

中心部の温度が上昇するとコンクリートは膨張し、応力としては圧縮応力が働きます。コンクリート表面は、コンクリート温度は下がる方向になるため収縮し、引張応力が働きます。

【平成25年度―問題29】

 鉄筋コンクリート部材の設計に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)許容応力度設計法では、コンクリートと鉄筋は弾性体とみなし、コンクリートは引張応力を負担しない仮定とする。
(2)鉄筋コンクリート梁は、引張鉄筋比を釣合い鉄筋比以下にすると、靭性が小さくなる。
(3)鉄筋コンクリート梁のひび割れ本数は、引張鉄筋比が同一の場合、引張鉄筋径が細い方が大きくなる。
(4)鉄筋コンクリートのラーメン構造の柱では、地震時に脆性的な破壊が生じないように、柱の上下端部よりも中央部に配置する帯(鉄)筋の量を多くする場合が多い。
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正解(4)

(1)問題の通りです。許容応力度設計法では、構造物は弾性挙動を仮定して設計され、コンクリートは引張応力を負担しない仮定とします。荷重の種類、および、組合せや、対応する許容応力度は、示方書や基準で定められています。許容応力度設計法では、基本的には部材を弾性としますが、場合によってはコンクリートのひび割れや、コンクリートの非弾性ひずみを考慮した剛性低下を、部分的に認めながら応力計算を行います。
(2)問題の通りです。引張鉄筋比は、コンクリート部材の、全段面積に対する、引張鉄筋の面積です。引張鉄筋の最小基準値は、0.4%です。引張鉄筋比は、小さいほど靭性が小さくなります。
(3)問題の通りです。鉄筋の断面積が同じ場合、鉄筋径が細いほうが、鉄筋の表面積が大きくなります。鉄筋の表面積が大きいほど、ひび割れ本数が多くなります。一方、ひび割れの幅は小さくなります。
(4)誤りです。ラーメン構造の柱は、端部ほど大きい曲げモーメントが生じます。曲げ破壊(粘りのある破壊)を先行させるためには、せん断破壊(脆性的な破壊)が生じないよう、帯筋量を多くする必要があります。通常、端部の帯筋量を多くする場合が多いです。

【平成25年度―問題30】

 下図に示す鉄筋コンクリート梁の破壊形式はせん断破壊であった。次の記述のうち、この梁の破壊形式を曲げ破壊に変えるための方法として、不適当なものはどれか
(1)断面の幅bを大きくする。
(2)コンクリートの強度を高くする。
(3)鉄筋①の本数を増やす。
(4)鉄筋②の本数を増やし、間隔sを狭める。
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正解(3)

(1)問題の通りです。鉄筋①を増やすことなく、断面幅bを大きくすることは、曲げ強度の増大<<せん断強度の増大が見込めます。
(2)問題の通りです。コンクリート強度を高くすると、曲げ強度は変わらず、せん断強度が大きくなります。
(3)誤りです。せん断強度は変わらず、曲げ強度が増大します。
(4)問題の通りです。せん断強度を増大させる方法として最もふさわしいと思われます。

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