【R1_No.11~15】コンクリート主任技士 問題と解説
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【(R1)-No.11】
JIS A 1157(コンクリートの圧縮クリープ試験方法)に準じた圧縮クリープ試験を、下図に示すとおり行った。直径100mm、高さ200mmのコンクリート円柱供試体を3個用い、所定の果汁を1年間持続して載荷したところ、載荷時弾性ひずみは400×10-6、載荷期間1年後の全ひずみ(載荷時弾性ひずみ+クリープひずみ+無載荷ひずみ)は1500×10-6、無載荷ひずみは300×10-6であった。このとき、次の記述のaおよびbに入る数値の組合せとして、適当なものはどれか。
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正解(4)
クリープひずみ(εct)=(1500-400-300)×10-6
=800×10-6
=800×10-6
クリープ係数(φt)=800×10-6/400×10-6
=2.0
=2.0
長さ変化(b)=(200×3)×1500×10-6=0.9mm
【(R1)-No.12】
コンクリートのアルカリシリカ反応に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)アルカリシリカ反応による膨張ひび割れは、反応性鉱物を含む骨材がある量以上存在し、細孔溶液中に十分な水酸化アルカリが存在すれば、水分供給のない乾燥状態におかれていても発生する。
(2)部材両端が強く拘束されている鉄筋コンクリート柱においてアルカリシリカ反応が進むと、主筋に直角の方向のひび割れが発生しやすい。
(3)海水または潮風の影響を受ける環境のコンクリート構造物では、塩化物イオンとともにアルカリ分も供給されるので、アルカリシリカ反応が生じやすくなる。
(4)アルカリシリカ反応の抑制対策として、反応性骨材に対して非反応性骨材を1:1程度に混合して用いる方法が有効である。
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正解(3)
(1)×:誤りです。アルカリシリカ反応は、①反応性骨材、②水酸化アルカリ、③水分の3つが同時に存在するときに発生します。水分供給のない乾燥状態においては、アルカリシリカ反応は生じにくくなります。
(2)×:誤りです。部材両端が強く拘束されている鉄筋コンクリート柱においてアルカリシリカ反応が進むと、主筋に沿った方向のひび割れが発生しやすくなります。なお、無筋コンクリートでは、方向性のないひび割れが生じます。
(3)〇:問題のとおりです。海水または潮風の影響を受ける環境のコンクリート構造物では、塩化物イオンとともにナトリウムイオンなどのアルカリ分も供給されるので、アルカリシリカ反応が生じやすくなります。
(4)×:誤りです。アルカリシリカ反応が最も進行しやすい、反応性骨材に対する非反応性骨材の割合をペシマム量と言います。このペシマム量は、セメント中のアルカリ量や骨材の種類によって変化します。反応性骨材に対して非反応性骨材を1:1程度としたときに必ずしもアルカリシリカ反応が抑制されるわけではありません。
【(R1)-No.13】
コンクリート構造物の耐久性に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)下水管路の水面部以上の壁面における損傷は、微生物によって生じる硫酸塩によるコンクリートの膨張が原因である。
(2)土木学会示方書によると、鋼材腐食に対する照査に用いられる塩化物イオンの鋼材腐食発生限界濃度は、コンクリートに用いるセメントの種類によって異なる。
(3)屋内側のコンクリートは、屋外側に比べて中性化速度は速いが、中性化が鉄筋位置まで到達しても鉄筋は腐食しにくい。
(4)凍結によりコンクリート中の塩化物イオンは表層から内部に移動し、鉄筋位置での塩化物イオン濃度が高くなると塩害を生じやすくなる。
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正解(1)
(1)×:誤りです。下水道中の化学的浸食は、嫌気性細菌によって硫化水素が生成され、その硫化水素と、好気性細菌のはたらきによって硫酸が生成されます。生成された硫酸が、セメント水和物の水酸化カルシウムと反応し、二水せっこうが生成され膨張し、その部分が脱落することで劣化が生じます。
(2)〇:問題のとおりです。土木学会示方書によると、鋼材腐食発生限界濃度は、主にセメントの種類、水セメント比、環境作用によって決定されます。
(3)〇:問題のとおりです。屋内側のコンクリートは、呼気中に含まれる二酸化炭素や中性化しやすい湿度条件(湿度50~60%)により、屋外側に比べて中性化速度は速くなります。一方で、屋外のように水分が直接供給されることがほとんどないため、中性化が鉄筋位置まで到達しても鉄筋は腐食しにくくなります。
(4)〇:問題のとおりです。凍結によりコンクリート中の塩化物イオンは表層から内部に移動することが知られています。凍結によって、鉄筋位置での塩化物イオン濃度が高くなると塩害を生じやすくなります。
【(R1)-No.14】
呼び方が[高強度 60 50 20 L]のレディーミクストコンクリートの検査に関する次の記述のうち、JIS A 2308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、正しいものはどれか。ただし、空気量の指定はないものとする。
(1)スランプフローが59.0cm、空気量が4.0%であったため、新しく試料を採取してあらためて試験を行った結果、スランプフローが56.0cm、空気量が3.8%となったので、合格と判定した。
(2)圧縮強度の検査を行うための1回の試験において、100m3に1回の割合で任意の3運搬車から採取した試料を用いてそれぞれ1個ずつ、合計3個の供試体を作製した。
(3)圧縮強度試験を3回実施した結果、52.3N/mm2、61.0N/mm2、62.7N/mm2であったため、そのロットの強度を合格と判定した。
(4)呼び強度を保証する材齢での圧縮強度試験において、アンボンドキャッピングを適用した。
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正解(1)
(1)〇:問題のとおりです。スランプフロー50cmのコンクリートのスランプフローの許容差は±7.5cm、空気量4.5%の許容差は±1.5%です。ここで、スランプフローか空気量の一方または両方が許容値を外れた場合には、新しく試料を採取して1回に限りそれぞれの試験を行い、それぞれの規定に適合すれば合格とすることができます。
(2)×:誤りです。圧縮強度の検査を行うための1回の試験において、100m3に1回の割合で、任意の1運搬車から採取した試料を用いて、合計3個の供試体を作製し、その平均値で表します。
(3)×:誤りです。圧縮強度の判定基準は次の2つ①1回の試験結果が、呼び強度の85%以上。②3回の試験結果の平均値が呼び強度以上。合格とするためには、2つの判定基準を両方満足しなければなりません。
(4)×:誤りです。呼び強度を保証する材齢での圧縮強度試験において、高強度コンクリートの圧縮強度試験を行う場合は、端面仕上げは、研磨によって行うものとされています。高強度コンクリートの圧縮強度試験には、アンボンドキャッピングは適用できません。普通強度であれば、アンボンドキャップを適用できます。
【(R1)-No.15】
レディーミクストコンクリートに使用する骨材に関するつぎの記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、正しいものはどれか。
(1)高炉スラグ粗骨材を、高強度コンクリートに使用した。
(2)アルカリシリカ反応抑制対策として高炉セメントA種を用いたので、アルカリシリカ反応性による区分がBの骨材を使用した。
(3)JIS A 5308付属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)に規定されるコンクリート用再生骨材Hを使用するコンクリートについて、アルカリシリカ反応抑制対策の方法としてコンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策を適用した。
(4)回収骨材を専用の設備で貯蔵・運搬・計量して用いたので、粗骨材及び細骨材の目標回収骨材置換率の上限をそれぞれ20%と設定した。
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正解(4)
(1)×:誤りです。JISでは、各種スラグ粗骨材は、高強度コンクリートには適用しないと規定されています。
(2)×:誤りです。高炉セメントは、セメント中の高炉スラグの比率を40%以上とすることで、アルカリシリカ反応の抑制対策になるとされています。ここで、高炉セメントA,B,C種とは別の規定です。A種:5を超え30%以下。B種:30を超え60%以下。C種:60を超え70%以下。
(3)×:誤りです。JISによると、再生骨材Hを使用するコンクリートには、コンクリート中のアルカリ総量を規制する抑制対策の方法は適用できません。
(4)〇:問題のとおりです。JISによると、回収骨材を専用の設備で貯蔵・運搬・計量して用いた場合、粗骨材及び細骨材の目標回収骨材置換率の上限をそれぞれ20%と設定することができるとされています。