ビールの主原料【麦芽】について”モルツ(モルト)”とは麦芽のこと

ビール

”麦芽”=”モルト”、麦芽は大麦が発芽した状態のものを指します

”モルツ”と聞けばあの「サントリーモルツ」が頭に浮かんでくると思います。神泡!

さて、ビールの原材料には”麦芽”が使われています。ビールの成分表にも記載されていますよね。なぜ原材料名には”大麦”ではなく”麦芽”と記載されているのでしょうか。

まずは、ビールとは何ぞやというところから学んでいきます。

ビールとは?

まず、日本の酒税法では、酒類を「アルコール分1度以上の飲料」としています。

ノンアルコールビールとして売られている商品であっても、ラベルをよく見るとアルコール度数が0.1%と記載されている商品もありますが、これは日本の酒税法上は”酒類ではない”ということを示しています。

そして、日本の酒税法では、ビールは次のように定義されています。

次に掲げる酒類でアルコール分が20度未満のものをいう。

イ)麦芽、ホップ及び水を原料として発行させたもの

ロ)麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発行させたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の50を超えないものに限る)

酒税法第3条第12号

ここで、”日本の酒税法では”と強調させていただきましたが、当然、国によって”ビールの定義”は違ったものになります。

各国のビールの定義についてはまたの機会にまとめようと思います。

ビールの原材料に”麦芽”と記載されている理由がなんとなくわかりましたね。麦芽をふんだんに使用している酒が”ビール”であるための条件なので”麦芽”と記載しているということです。

”ビール”の価格が高いのは酒税が影響している!?

さて、ビールに似た飲料で”発泡酒”や”第3のビール”がありますね。これらは”日本の酒税法で定義されているビール”ではなく、麦芽以外の原料の重量が50%を超たものに該当する酒類ということになります。

2018年4月1日の酒税法改正により、ビールとビール以外という酒税の分け方ではなく、新たに”発泡酒”に対する酒税が加わりました。それぞれ350ml缶に対する税額です。

種類 税額
ビール 約77円
発泡酒(麦芽比率:50%以上) 約77円
発泡酒(麦芽比率:25%以上50%未満) 約62円
発泡酒(麦芽比率:25%未満) 約47円
新ジャンル 約28円

こうしてみると、一般的なビール価格の約1/3が酒税ということになりますね。

麦芽をふんだんに使ったビールは酒税が高くなるため、ビールメーカーはビールに似た飲料で麦芽の量を減らすことで、価格を抑える努力をしていることがわかります。

大麦が”発芽”することで酵素が活発になり、酵素がデンプンを糖化する

大麦の胚乳にはデンプンやタンパク質が蓄えられています。

大麦が”発芽”することで酵素の働きが活発になり、アミラーゼと呼ばれる酵素がデンプンを糖に分解し、プロテアーゼと呼ばれる酵素がタンパク質をアミノ酸に分解します。

この”糖”は後の発酵において酵母の栄養源となり、ビール造りに欠かせないものとなります。

麦芽の中でつくられた糖が、酵母の働きによってアルコールと炭酸に分解されることでビールが造られます。

また、アミノ酸は、ビールの味に大きく影響します。アミノ酸の一種であるグルタミン酸は”うまみ成分”として知られています。

麦芽を焙煎すると黒ビールになる

麦芽をつくる工程で、麦芽に熱を加えて穀皮に焦げ色をつけると、それがビールの色を濃くする働きをします。

ビールの色は、使用するホップや水によっても変わりますが、麦芽が焙煎されてつく焦げ色に大きく影響されます。黒ビールの独特の焙煎香は、麦芽が焙煎されることによる香りだったということです。

次回は、麦芽を粉砕し”麦汁”をつくる工程について学びたいと思います。

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