貸倒れ(かしだおれ)とは?
貸倒れとは、取引先の倒産などが原因で、取引先から受け取るはずであった商品の売上代金などが回収できなくなることを言います。
回収予定の代金は、勘定科目では”売掛金”といいます。
回収できなくなってしまった売掛金は、損失になるため、負債の減少として貸方(右側)に記載します。
期内で発生した売掛金が貸し倒れた時の仕訳
貸倒れが原因で発生した売掛金の減少は右側への記載です。
そのトレードオフで、費用の発生として借方(左側)に貸倒損失(かしだおれそんしつ)を記載します。
例えば、得意先の倒産で期内(当期)の売掛金100円が回収できなくなった場合は、次のように記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒損失 | 100円 | 売掛金 | 100円 |
貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは?
まず、引当金(ひきあてきん)とは、将来に備えて備えておくお金のことを言います。
貸倒引当金とは、決算日において未回収の売上金などで、将来、相手先の倒産による貸倒れの可能性に備えて、売掛金に一定の割合を掛けた金額を費用としてあらかじめ計上するお金のことを言います。
引当金で脱税は可能?
引当金として、会計上の費用(負債)を増加させたとしても、税上では引当金を計上できません。
引当金は、将来的に発生するであろう負債を早い段階から平準化することで、利益の適正な把握を目的としているそうです。(そういうものだと覚えましょう!)
貸倒引当金の計算方法
貸倒引当金は、売掛金や受取手形などの期末残高に、一定の割合を掛けることで計算されます。
設定する割合は将来の倒産可能性などを考慮して、決定します。
この時の設定する割合を貸倒設定率と言います。
簿記の試験では、貸倒設定率は問題文に書かれています。
貸倒引当金の計算式は次のようになります。
$${貸倒引当金}={売掛金(受取手形)}×{貸倒設定率}$$
貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)の仕訳
貸倒引当金は資産の減少として貸方(右側)に記載します。
トレードオフの関係で、貸倒引当繰入(くりいれ)を費用の発生として借方(左側)に記載します。
例えば、3月31日の決済日に、受取手形200円の期末残高がありましたが、相手先の会社が倒産の可能性が高いとして、その受取手形に3%の貸倒引当金を設定した場合は、次のような仕訳となります。
※予備計算:200円×2%(0.02)=4円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金繰入 | 4円 | 貸倒引当金 | 4円 |
前期の貸倒引当金の残高が、今期の設定額を超えていた場合の仕訳
ここからは、少しだけややこしくなりますが頑張っていきましょう。
貸倒引当金の期末残高が、今期の設定額よりも多い場合は、差額を貸倒引当金戻入(もどしいれ)として扱います。この場合、貸倒引当金戻入は、資産の増加として扱いますので、借方(左側)に記載します。
例えば、前期の貸倒引当金の残高10円が残っている状態で、今期の貸倒引当金の設定額が6円だった場合、次のような仕訳となります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貸倒引当金 | 4円 | 貸倒引当金戻入 | 4円 |
以上、貸倒れと貸倒引当金について学習しました。