【コンクリート主任技士過去問解説】令和2年度No11~15

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【令和2年度―問題11】

 1辺が100mmの正方形断面で、長さ400mmのコンクリート供試体に、温度変化を与えた。次の( )に入る数値の組合わせとして、不適当なものはどれか。ただし、コンクリートには、自己収縮および乾燥収縮は生じないものとする。
「コンクリート供試体に20℃から60℃の温度変化を与えた時、20℃の時と比較してコンクリート供試体に500×10-6の膨張ひずみが生じた。このとき、コンクリート供試体の熱膨張係数は(A)×10<sup<-6/℃となる。また、コンクリート供試体の長さは(B)mm膨張したことになる。
(1) 10.0 0.2
(2) 12.5 0.5
(3) 12.5 0.2
(4) 10.0 0.5
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正解(3)

【Aについて】
線膨張係数を\({A}\)とおき、立式します。
$$\begin{eqnarray}
{A}×{(60-20)} &=& 500{×}10^{-6}\\
{A} &=& 12.5{×}10^{-6}
\end{eqnarray}$$

【Bについて】
$${B}=400{(mm)}{×}500{×}10^{-6}=0.2{(mm)}$$

【令和2年度―問題12】

 一般のコンクリートの中性化に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)材齢9年のときのコンクリートの中性化深さが6mmの場合、材齢25年のときの中性化深さは10mmと推定される。
(2)中性化と塩化物イオンの侵入が同時に進行する場合、塩化物イオンは、コンクリートの中性化をした領域に濃縮される。
(3)コンクリートの中性化速度は、屋外側に比べて屋内側が一般に速くなるが、中性化した後の鋼材の腐食速度は、屋内側のコンクリートの含水量が屋外側よりも少ない場合は、屋内側のほうが遅くなる。
(4)高炉セメントB種を用いたコンクリートの中性化速度は、同一水セメント比の普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも速い。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。中性化深さCの計算は\({C}=\alpha\sqrt{t}\)で表すことができます。計算すると、α=2なので、25年経過時の中性化深さは\(2{×}\sqrt{t}=10{mm}\)となります。
(2)誤りです。コンクリートの中性化領域でフリーデル氏塩として固化されていた塩化物イオンが分解され、塩化物濃度が大きくなる現象を中性化フロントといいます。中性化と塩化物イオンの侵入が同時に進行する場合ではありません。
(3)問題のとおりです。鉄筋の腐食には、水と酸素が必要です。中性化した後は、屋外のほうが水と酸素の供給が多いため、鉄筋の腐食速度が速いです。
(4)問題のとおりです。高炉セメントB種を用いたコンクリートは、次の2つの理由から、中性化速度が速くなります。
  1. 普通ポルトランドセメント(pH12~14)を高炉スラグ微粉末(pH10~12)に置換することで、アルカリ性が弱まる
  2. セメントの水和により生成されたCa(OH)2と高炉スラグ微粉末が反応するためアルカリ成分が少なくなる

【令和2年度―問題13】

 材料の計量およびコンクリートの練混ぜに関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、誤っているものはどれか
(1)連続濃度測定方法でスラッジ水の濃度を管理し、スラッジ固形成分率が3%以下となるように上澄水と混合して計算した。
(2)あらかじめ許容差内で計算してある混和剤と一緒に水を累加して計量し、1回計量分の計量値の許容差が、合計で±3%以下となるように管理した。
(3)JIS A 1119(ミキサで練り混ぜたコンクリート中のモルタルの差及び粗骨材量の差の試験方法)に規定される試験を行い、コンクリート中のモルタルの単位容積質量の差およびコンクリート中の単位粗骨材量の差を求め、練混ぜ量と練混ぜ時間を決定した。
(4)JIS A 8603-2(コンクリートミキサ第2部練混ぜ性能試験方法)に規定される試験を行い。コンクリート内の空気量、モルタル量、粗骨材量の偏差率、コンシステンシー(スランプ)および圧縮強度の偏差率を求め、使用するミキサの適合を確認した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。回収水として、スラッジ水を用いる場合には、スラッジ固形分率が3%を超えてはなりません。スラッジ水の規定として、高強度コンクリートにはスラッジ水を用いてはいけないことも重要です。
(2)誤りです。水は,あらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加して計量してもよいとされていますが、水の計量値の許容差は±1%です。
(3)問題のとおりです。 ミキサは、所定容量のコンクリートを所定時間で練り混ぜ、試験した値が次の値以下であれば、コンクリートを均一に練り混ぜる性能をもつものとします。つまり、以下の値を両方満足する時間を、練混ぜ時間としています。
    ・コンクリート中のモルタルの単位容積質量の差:0.8%
    ・コンクリート中の単位粗骨材量の差:5%
(4)問題のとおりです。練混ぜ性能試験に使われるコンクリートは、 粗骨材の最大寸法20mm又は25mm、スランプ8±3cm、空気量4.5±1.5%、呼び強度24に相当する材料及び配合とされています。

【令和2年度―問題14】

 レディーミクストコンクリートに関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、誤っているものはどれか
(1)レディーミクストコンクリートの種類として、呼ぴ強度54、スランプフロー55cmの高強度コンクリートを選定した。
(2)レディーミクストコンクリートの容積を、運搬車1台に積載されたコンクリートの全質量をフレッシュコンクリートの単位容積質量で除して求めた。
(3)普通ボルトランドセメントを用いたコンクリートの塩化物含有量を、普通ポルトランドセメント中の塩化物イオンおよび配合設計に用いた単位セメント量との積に塩化物イオン残存比を乗じた値として求めた。
(4)レディーミクストコンクリートの運搬時間を、「レディーミクス卜コンクリート納入書」に記入される納入の発着時刻の差によって確認した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。高強度コンクリートは呼び強度が50,55,60N/mm2でスランプフローが45,50,55,60cmの配合がJISで認められています。
(2)問題のとおりです。容積を求めるためには、全質量を単位体積質量で除します。
(3)誤りです。塩化物含有量は、フレッシュコンクリート中の水の塩化物イオン濃度と配合設計に用いた単位水量との積として求めます。なお、普通エコセメントを用いる場合、普通エコセメント中の塩化物イオン及び配合設計に用いた単位セメント量との積に塩化物イオン残存比を乗じた値を、塩化物含有量に加えます。
(4)問題のとおりです。運搬時間は、「レディーミクス卜コンクリート納入書」に記入される納入の発着時刻の差によって確認します。

【令和2年度―問題15】

 一般のコンクリートの圧送に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コンクリートを低所圧送(下向き圧送)する場合、計画した打込み速度や圧送性が確保できる範囲で下向き垂直管の管径を小さくし、コンクリートの材料分離による閉塞を抑制した。
(2)コンクリートを低所圧送(下向き圧送)する場合、途中のべント管をできる限り少なくし、管内圧力損失を小さくした。
(3)コンクリートを高所圧送する場合ポンプの出口に近い輸送管中にシャッターバルプを組み込み、コンクリートの逆流、脱水による材料分離を防止した。
(4)コンクリートを高所圧送する場合、コンクリートポンプ付近の輸送管は、管内の圧力に応じて肉厚の厚い輸送管を使用し、輸送管の破損を防止した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。コンクリートを低所圧送(下向き圧送)する場合、管径が大きいと、圧力損失が小さくなり、材料分離を起こす可能性が高くなります。
(2)誤りです。コンクリートを低所圧送(下向き圧送)する場合、途中のべント管をできる限り多くし、閉塞しない程度に、管内圧力損失を大きくします。
(3)問題のとおりです。CFTなど、コンクリートの圧入も同じような状態のため、シャッターバルブを設けて打設します。
(4)問題のとおりです。高所圧送する場合は、コンクリートの重さに逆らうくらい大きな圧力がかかります。それに応じて、圧送管自体の強度を高める必要があります。

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