コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【平成25年度―問題16】
コンクリートのひび割れに関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)外気温や日射に起因するコンクリートの温度変化によって生じるひび割れは、壁だけでなくスラブでも発生する。
(2)乾燥収縮により生じるひび割れは、収縮に対する拘束が大きくなると部材の変形が小さくなるため、生じにくくなる。
(3)鉄筋の腐食に伴う体積膨張によってかぶりコンクリートに生じるひび割れは、コンクリートの引張力が生じることによって、鉄筋に沿った方向に生じる。
(4)凍害によるひび割れは、コンクリート内部の水の凍結膨張による水圧の発生によって生じ、壁では亀甲状に生じやすい。
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正解(2)
(1)問題の通りです。
(2)誤りです。収縮に対する拘束が大きいほど、コンクリート内部に応力が働くため、ひび割れが生じやすくなります。
(3)問題の通りです。
(4)問題の通りです。
【平成25年度―問題17】
コンクリートの耐久性に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)アルカリシリカ反応は、骨材中の反応性鉱物と細孔溶液中の水酸化アルカリとの化学反応であるので、コンクリート中のアルカリ総量が少なくなるほど、劣化が生じにくい。
(2)硫酸塩は、コンクリート中のカルシウムシリケート水和物(C-S-Hゲル)と反応して硫酸を生成し、組織を多孔化し劣化させる。
(3)中性化の進行に伴い、コンクリート中のフリーデル氏塩が分解し、遊離した塩化物イオンは、コンクリート内部へ移動して濃縮する。
(4)AEコンクリートの耐凍害性は、その気泡間隔係数が200~250μm程度以下であれば良好であるといわれる。
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正解(2)
(1)問題の通りです。
(2)誤りです。硫酸塩による膨張劣化は、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩水溶液がコンクリートの内部に侵入し、コンクリート内部の水酸化カルシウムと反応して二水せっこう(CaSO4・2H2O)を生成し、さらに、セメント中のC3A(アルミン酸三カルシウム)と反応してエトリンガイトを生成し膨張を引き起こします。
(3)問題の通りです。
(4)問題の通りです。
【平成25年度―問題18】
鉄筋コンクリート構造物の耐火性を確保する方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コンクリート表面に、せっこうボードまたはけい酸カルシウム板を設置することにより、火災時のコンクリート表層部の温度上昇を抑制することができる。
(2)高強度コンクリートにポリプロピレン製の極細短繊維を混入することにより、火災時に爆裂が生じても、コンクリートが剥落しないようにすることができる。
(3)かぶり(厚さ)を大きくすることにより、火災時の鉄筋の温度上昇を抑制することができる。
(4)コンクリートの含水率を低く保つことにより、火災時の爆裂を生じにくくすることができる。
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正解(2)
(1)問題の通りです。
(2)誤りです。PP繊維について、繊維を混入することで火災時に繊維が消失することによりコンクリート内部に空隙が生じ、この空隙がコンクリート中の水分をうまく逃がすことで「爆裂自体を軽減」するといわれています。しかし、爆裂が生じた後の「剥落を軽減」する効果はありません。
(3)問題の通りです。
(4)問題の通りです。
【平成25年度―問題19】
強制練りミキサの練混ぜ時間を決定するために、JIS A 1119(ミキサで練り混ぜたコンクリート中のモルタルの差及び粗骨材量の差の試験方法)に定める試験を行った。練混ぜ時間の決定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。なお、試験では、同一配(調)合のコンクリートについて、練混ぜ時間を3点選び、各3回の試験を行った。
(1)コンクリート中のモルタルの単位容積質量の差を、A図によって評価した。
(2)コンクリート中の単位粗骨材量の差を、B図によって評価した。
(3)A図およびB図の試験結果から、練混ぜ時間として42秒が適切であると判断した。
(4)上記の試験を行わなかった配(調)合については、土木学会示方書を参考にして、練混ぜ時間を1分とした。
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正解(3)
JIS A 1119にはコンクリート中のモルタルの単位容積質量の差が0.8%以下、単位粗骨材量の差が5%以下となるまで練混ぜれば、コンクリートは均等に練混ぜられていると考えてよいと規定されています。
(1)問題の通りです。
(2)問題の通りです。
(3)誤りです。43秒ではなく、46秒以上練混ぜればコンクリートが均等に練混ぜられていると判断します。
(4)問題の通りです。
【平成25年度―問題20】
コンクリートの検査に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、誤っているものはどれか。
(1)高性能AE減水剤を用いた呼び強度27、スランプ21cmのコンクリートのスランプを測定した結果、23.0cmだったので、合格と判断した。
(2)塩化物含有量の検査を工場出荷時に実施し、その結果が規定値を満足したので、合格と判断した。
(3)呼び強度50のコンクリートの圧縮強度の検査を100m3に1回の頻度で行った。
(4)呼び強度24のコンクリートの3回の圧縮強度の試験結果が、26.1N/mm2、20.5N/mm2および24.3N/mm2であったので、そのロットを合格と判定した。
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正解(4)
(1)荷卸し地点でのスランプの許容差は下表になります。(単位cm)
スランプ | スランプの許容差 |
---|---|
2.5 | ±1 |
5、6.5 | ±1.5 |
8~18 | ±2.5 |
21注 | ±1.5 |
注:呼び強度27以上で、高性能AE減水剤を使用する場合は±2 とする
(参考)荷卸し地点でのスランプフローの許容差は下表になります。(単位cm)
スランプフロー | スランプフローの許容差 |
---|---|
50 | ±7.5 |
60 | ±10 |
(2)問題の通りです。
(3)問題の通りです。強度試験頻度は、普通コンクリート、軽量コンクリート及び舗装コンクリートにあっては150 m3について1回を、高強度コンクリートにあっては,100 m3について1回を、それぞれ標準とします。
(4)誤りです。JIS A 5308では、圧縮強度試験結果は、次の2点を満足させる必要があります。①1回の試験結果は、呼び強度の85%以上であること、②3回の試験結果の平均値は、呼び強度以上であること
※土木学会コンクリート標準示方書では以下のように規定されています。
・3回の試験結果の平均値は、呼び強度を下回る確率が5%以下であること
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