【コンクリート主任技士過去問解説】平成25年度No21~25

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成25年度―問題21】

 JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に基づくレディーミクストコンクリートの発注において、購入者と生産者が協議のうえ指定または変更できる事項(ただし、指定時効の「q)その他必要な事項」は除く)に関する次の記述のうち、誤ってるものはどれか
(1)スランプの変動を小さくするため、スランプの許容差を小さく指定した。
(2)混和材料としてJISに規定されていないが、コンクリートおよび鋼材に有害な影響を及ぼさず、所定の品質およびその安定性が確かめられた混和材を指定した。
(3)運搬時間が1.5時間を超えることが予想されるため、運搬時間の限度を2.0時間に変更した。
(4)高強度コンクリートを発注するため、単位水量の目標値の上限を175kg/m3と指定した。
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正解(1)

(1)誤りです。コンクリートの発注において、購入者は、生産者に対して、スランプは指定できません。現場でコンクリートを、打設しやすくするために、あらかじめ配合が決まっている、コンクリートのスランプを大きく指定することはできません。
購入者が、生産者と協議して指定する事項は、つぎの4つです。
  1. セメントの種類
  2. 骨材の種類
  3. 粗骨材の最大寸法
  4. アルカリ反応抑制対策の方法

購入者が生産者と協議して指定する事項(4つ)

  • セメントの種類
  • 骨材の種類
  • 粗骨材の最大寸法
  • アルカリ反応抑制対策の方法
購入者が生産者と必要に応じて指定する事項
  • 骨材のアルカリシリカ反応性による区分
  • 水の区分
  • 混和材料の種類および使用量
  • JISに定める塩化物含有量の上限値と異なる場合は、その上限値
  • 呼び強度を保証する材齢
  • JIS に定める空気量と異なる場合は、その値
  • 軽量コンクリートの場合は、コンクリートの単位容積質量
  • コンクリート最高または最低温度
  • 水セメント比の上限値
  • 単位水量の上限値
  • 単位セメント量の下限値または上限値
  • 流動化コンクリートの場合は、流動化する前のコンクリートからのスランプの増大量
  • その他必要な事項
(2)問題の通りです。混和材料の種類、および、使用量は、必要に応じて指定することができます。
(3)問題の通りです。JISでは、購入者と協議のうえ、運搬時間の限度を1.5時間から変更できるとされています。ここで、ダンプトラックでコンクリートを運搬する場合、運搬時間は、60分以内を限度としています。
(4)問題の通りです。単位水量の上限値は、必要に応じて指定できます。設計・施工会社によって、単位水量の上限値が決められている場合があります。

【平成25年度―問題22】

 JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)で、2009年に改正された事項に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)配合報告書の名称が配合計画書に変更され、配合の適用期間に加え、標準配合または修正標準配合の別を記入することとなった。
(2)納入書に使用材料の単位量を記載するとともに、購入者からの要求があればバッチごとの計量記録およびこれから算出した単位量を納入後に提出することが規定された。
(3)スラッジ水の利用を促進するため、指定事項としての水の区分の適用範囲が見直され、水の区分を協議して指定できる範囲は、呼び強度が36を超えるコンクリートとなった。
(4)コンクリート用再生骨材Mがコンクリート用骨材として規定された。
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正解(4)

<主な改定内容>

  • 再生骨材Hの引用
  • 水の区分に関する指定事項(3)
  • 付着モルタルの利用の拡大
  • 配合に関する報告内容の充実(1)(2)
  • 指定事項に関する上限または下限の明確化
  • JIS A 8603(コンクリートミキサ)の引用
  • JIS規格のない混和材料の取り扱い
  • 試料採取方法に関する引用
  • 試験方法の追加および変更
  • 引張試験用供試体の見掛け密度の測定の廃止
  • 塩化物含有量測定器の使用者承認の解除
  • 溶融スラグ骨材の適用除外
  • 普通エコセメントにおけるアルカリシリカ反応抑制対策の方法
  • 計量型枠底面の平面度測定方法の整合化
  • 引用規格の追加
(1)問題の通りです。配合報告書の名称が、配合計画書に変更され、配合の適用期間に加え、標準配合または修正標準配合の別を記入することとなりました。
(2)問題の通りです。納入書に、使用材料の単位量を記載するとともに、購入者からの要求があれば、バッチごとの計量記録、および、これから算出した単位量を、納入後に提出することが規定されました。
(3)問題の通りです。スラッジ水の利用を促進するため、水の区分を協議して指定できる範囲は、呼び強度が36を超えるコンクリートとなりました。
(4)誤りです。再生骨材Mではなく、再生骨材Hが、コンクリート用骨材として規定されました。

【平成25年度―問題23】

 コンクリートの運搬に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)では、ダンプトラックでコンクリートを運搬する場合、練混ぜから打込み終了までの時間は60分を限度としている。
(2)トラックアジテーターは、その荷の排出時にコンクリート流の約1/4および3/4のところから試料を採取してスランプ試験を行い、両者のスランプの差が1cm以内となる能力を持つように、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)で規定されている。
(3)コンクリートのポンプのうち、スクイズ式は吐出量の調整が容易であり、ピストン式に比較して長距離の圧送に適している。
(4)コンクリートのポンプとしては、計算によって得られた圧送負荷に対して、一般に1.25倍以上の吐出圧力を有するものを選定する。
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正解(4)

(1)ダンプトラックでコンクリートを運搬する場合、練混ぜから荷卸し地点までの時間は60分を限度としています。
区分 JIS A 5308 標準示方書 JASS5
適用 練混ぜから荷卸し地点まで 練混ぜから打ち終わるまで 練混ぜから打込み終了まで
限度 運搬時間の限度1.5時間(1) 外気温25℃超 1.5時間 平均気温25℃以上 一般(2) 高流動・高強度
90分 120分
外気温25℃以下 2時間 平均気温25℃未満 120分
(1)誤りです。購入者と協議のうえ、運搬時間の限度を変更できる。ダンプトラックでコンクリートを運搬する場合の運搬時間の限度は60分以内としています。コンクリートの温度を低下させ、または凝結を遅らせるなどの特別な対策を講じた場合は、工事監理者の承認を受けて、その時間の限度を変えることができます。
(2)誤りです。トラックアジテータは、その荷の排出時に、コンクリート流の約 1/4 及び 3/4 のとき、それぞれ全断面から試料を採取してスランプ試験を行い、両者のスランプの差が 3cm以内になるものでなければならないと規定されています。
(3)誤りです。ピストン式の方が長距離圧送に適しています。スクイズ式のポンプは逆転させると吸い込むことができるため、漂着した重油を回収したという例もあるそうです。
(4)問題の通りです。コンクリートのポンプとしては、計算によって得られた圧送負荷に対して、一般に、1.25倍以上の吐出圧力を有するものを選定します。

【平成25年度―問題24】

 コンクリートの打込みおよび締固めに関する一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)自由落下高さは、シュートやホースの吐出口先端から打込み面までの高さであり、材料分離や鉄筋の移動がないように、1.5m程度以下とすることが標準である。
(2)窓などの開口部の下は、コンクリートの充填が難しい箇所であり、棒形振動機による内部振動のほかに、型枠振動機や木づちを併用してコンクリートを締め固める。
(3)振動締固めは、コンクリート中の空気を追い出して密実にするものであり、低い周波数の振動ほど、締固めに効果がある。
(4)直径45mmの棒形振動機を挿入する間隔は、振動機からの振動が伝わる範囲を考慮して、50~60cm程度以下としている。
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正解(3)

(1)問題の通りです。自由落下高さは、1.5メートル程度以下とすることが標準です。
(2)問題の通りです。窓などの開口部の下は、棒形振動機による内部振動のほかに、型枠振動機や、木づちを併用してコンクリートを締め固めます。
(3)誤りです。振動締固めに使われるのは、「高周波バイブレーター」です。低い周波数ではなく、高い周波数のほうが、締め固めに効果があります。高周波バイブレーターの周波数は、240Hz程度です。
(4)問題の通りです。棒形振動機を挿入する間隔は、振動機からの振動が伝わる範囲を考慮して、50から60cm程度以下とします。

【平成25年度―問題25】

 コンクリートの養生および表面仕上げに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)寒中コンクリート工事において、コンクリートの内外温度差を小さくするために、鋼製型枠の代わりに木製型枠を用いた。
(2)マスコンクリートの施工において、コンクリートの内外温度差を小さくするために、早期に型枠を取り外した。
(3)高流動コンクリートの施工において、ブリーディングがほとんど生じなかったので、こて均しの際に水を噴霧して仕上げた。
(4)コンクリートの仕上げ作業後に、鉄筋位置に沿ってコンクリートの沈降によるひび割れが生じたので、凝結始発前にタンピングによってこれを修復した。
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正解(2)

(1)問題の通りです。寒中コンクリート工事では、コンクリート表面温度が下がらないように、保温をします。木製型枠は、鋼製型枠よりも保温性能に優れます。
(2)誤りです。早期に型枠を取り外すと内外温度の差は大きくなるため、誤りです。
(3)問題の通りです。ブリーディングの少ない、高流動コンクリートの施工において、必要に応じて、こて均しの際に水を噴霧して仕上げます。
(4)問題の通りです。沈降によるひび割れは、凝結開始前にタンピングによって修復します。

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