【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.16)ASR、凍害

コンクリート診断士 問題と解説Vol.16

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問76_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応に起因する鉄筋コンクリート部材のひび割れや膨張に関する記述として次のうち、適当なものはどれか
(1)主鉄筋に沿った方向よりも、主鉄筋の直交する方向に、ひび割れは生じやすい。
(2)雨がかりのある部位のほうが、雨がかりのない部位よりも、ひび割れは生じやすい。
(3)反応性骨材の含有量に比例して、膨張量は大きくなる。
(4)フライアッシュセメントA種を用いた場合より、C種を用いた場合のほうが、膨張量は大きくなる。
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正解(2)

(1)誤りです。鉄筋コンクリート部材の、アルカリシリカ反応に起因するひび割れは、主鉄筋に沿った方向に生じます。一方、無筋コンクリートでは、亀甲状のひび割れが生じます。
(2)問題のとおりです。アルカリシリカ反応によって生成したアルカリシリカゲルが、吸水・膨張をすることでひび割れが生じます。
(3)誤りです。アルカリシリカ反応による膨張量は、反応性骨材の量がペシマム量となったときに大きくなります。比例関係ではありません。
(4)誤りです。ASR抑制効果のある混合セメント等の使用について、フライアッシュセメントでは、フライアッシュを15%以上置換することが要求されています。ここで、A種はフライアッシュの比率が質量%で5を超え、10以下のもの、B種は10を超え、20以下のもの、B種は20を超え、30以下のものと規定されています。

【問77_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応によるコンクリート構造物の劣化に関する記述中の(A)~(C)にあてはまる次の(1)~(4)の語句の組合せのうち、適当なものはどれか
 コンクリート構造物に生じるアルカリシリカ反応による膨張やひび割れは、環境条件、鋼材量および拘束条件の影響を大きく受ける。環境条件では、雨ががりが(A)、日射を受けて温度が高くなる箇所で膨張量が大きくなりやすい。鉄筋量が少ない鉄筋コンクリート構造物では、亀甲状のひび割れが発生しやすく、プレストレストコンクリート構造物では、緊張材に(B)方向よりも緊張材に(C)方向にひび割れが発生しやすい。
(A) (B) (C)
(1) あり 沿った 直交した
(2) なく 沿った 直交した
(3) あり 直交した 沿った
(4) なく 直交した 沿った
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正解(3)

 アルカリシリカ反応の3要素は①反応性骨材②アルカリ③水分です。雨がかりは水分の供給が多くなるため、膨張量が大きくなります。ASRによるひび割れは、無筋コンクリートおよび低鉄筋比コンクリートでは、亀甲状に生じます。一方、プレストレストコンクリートおよび高鉄筋比コンクリートでは、部材軸方向のひび割れが卓越します。

【問78_凍害】

 寒冷地におけるコンクリートの凍害に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)含水率の少ないコンクリートほど、凍害を受けにくい。
(2)水セメント比の大きいコンクリートほど、凍害を受けやすい。
(3)AE剤を使用しないコンクリートは、凍害を受けやすい。
(4)北面に比べ南面のコンクリートは、凍害を受けにくい。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。凍害はコンクリート中の水分が凍結、融解を繰り返すことにより進行します。
(2)問題のとおりです。水セメント比の大きいコンクリートほど、コンクリート組織が疎になり、凍害を受けやすくなります。
(3)問題のとおりです。AE剤を用いたコンクリートは、組織内部の微細な空気泡がクッションの役割を果たすことで、凍害による膨張圧力を分散させる効果があります。
(4)誤りです。凍害は、昼間の融解と夜間の凍結が繰返し起こる、南面で劣化が激しくなります。

【問79_凍害】

 コンクリートの凍害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)JIS A 1122(硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験方法)による安定性試験の損失質量の大きい骨材を用いた場合、エントレインドエアを増加させると凍害を防ぐことができる。
(2)日平均気温が0℃を下回らない地域では、コンクリートの凍害は生じない。
(3)コンクリートの含水率が低く保たれる状態では、凍害を受けにくい。
(4)人工軽量骨材を用いたコンクリートは、骨材内部の空隙がエントレインドエアと同じ効果を有するので凍害を生じない。
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正解(3)

(1)誤りです。骨材の安定性試験は、硫酸ナトリウムの結晶圧を利用して、凍結融解作用に対する骨材の安定性を調べる試験です。試験前から損失した質量が、砂利では12%以下、砂で10%以下のものが耐凍害性を有していると判定されます。つまり、損失質量が小さいほど耐凍害性を有する骨材です。また、エントレインドエアを増加させても、骨材自体の凍害は抑制できません。
(2)誤りです。日平均気温が0℃を下回らない場合でも、夜間に0℃を下回る場合があります。
(3)問題のとおりです。含水率が低いほど、凍害を受けにくくなります。
(4)誤りです。人工軽量骨材を用いると、耐凍害性が低下します。そのため、JISでは人工軽量骨材を用いた、軽量コンクリートの空気量の規定値を普通コンクリートの4.5%から、0.5%多い、5%としています。

【問80_凍害】

 コンクリートの凍害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)ベランダ、ひさし、パラペットなどの突出物は、外壁面に比べて凍害を受けやすい。
(2)人工軽量骨材を用いたコンクリートは、骨材中の空隙が多いものほど凍結融解に対する抵抗性が高い。
(3)海中部にあるコンクリートは、飛沫部にあるコンクリートに比べて凍害の危険度が高い。
(4)スケーリングが主体となる凍害では、凍害深さはスケーリングの深さと一致する。
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正解(1)

(1)問題のとおりです。ベランダ、ひさし、パラペットなどの突出部は水が溜まりやすく、日射の影響を受けやすいため、凍害を受けやすくなります。
(2)誤りです。骨材の空隙が多いほど、凍結融解に対する抵抗性は低くなります。
(3)誤りです。海中部は、凍結する可能性が低いため、凍害の危険性は低いです。
(4)誤りです。スケーリングは、コンクリートの表面がはく離する現象です。はく離した部分から、さらに深い部分に水が浸入しやすくなるため、凍害深さは深くなります。
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