コンクリート診断士 問題と解説Vol.46
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このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【問226_調査手法】
熱電対に関する記述中の(A)~(B)にあてはまる次の(1)~(4)の語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。
2種類の金属導体aとbの両端を結合し、一方の接点(基準接点)を定温に保つと、他方の接合部(測温部)の温度変化によって導体中に生じる(A)の測定値から、測温部の温度を測定することができる。金属の種類によって高温測定向きのものと低温測定向きのものがあるが、マスコンクリート等の温度上昇の測定に用いられるのは一般には低温測定用のものであり、検出温度の観点から(B)の組合せのものが用いられている。
(A) | (B) | |
(1) | 熱起電力 | 白金と白金ロジウム |
(2) | 熱起電力 | 銅とコンスタンタン |
(3) | 熱ひずみ | 銅とコンスタンタン |
(4) | 熱ひずみ | 白金と白金ロジウム |
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正解(2)
熱電対は、異なる材料の2本の金属導体aとbを接続した回路の接点に温度差が起きることにより回路に電圧が発生する現象を利用し、これを電位差(熱起電力)として検出して温度を測定するものです。銅とコンスタンタン(銅およびニッケルを主とした合金)は電気抵抗が小さく、熱起電力が安定しており、低温(-200~300℃)での精密測定に広く利用されています。白金と白金ロジウムは高温(0~1400℃)での精密測定に適しています。一般にコンクリートの温度測定に用いられるのは、銅とコンスタンタンです。
【問227_調査手法】
コンクリート構造物の劣化調査・測定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)塩酸溶解熱法によって硬化コンクリート中のセメント量を推定する方法は石灰石骨材を使用したコンクリートには適用することができない。
(2)火害を受けた鉄筋コンクリート構造物の調査において、コンクリート表面の変色状況、中性化の進行などから受熱温度を推定する。
(3)コンクリート構造物における凍害の進行は、凍結融解作用の繰返し回数が同じであれば最低気温による影響は受けない。
(4)中性化深さを測定するには、ドリル削孔粉をフェノールフタレイン試験液を浸した試験紙に受けて、呈色状況を観察する方法がある。
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正解(3)
(1)問題のとおりです。塩酸溶解熱法とは、セメント協会法のことです。セメント協会法は、塩酸を用いるため、石灰石骨材中の酸化カルシウムが溶解します。セメント量を推定するためには、酸化カルシウム量を定量しますが、石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートでは、骨材中のカルシウム成分と区別がつかないため、適用できません。
(2)問題のとおりです。火害を受けた鉄筋コンクリート構造物の調査において、コンクリート表面の変色状況、中性化の進行などから受熱温度を推定します。
(3)誤りです。コンクリート構造物における凍害の進行は、凍結融解作用の繰返し回数が同じであれば最低気温による影響は受けます。最低気温が低いほど、小さい空隙中の水分まで凍るため、その分体積膨張が大きくなり、劣化は著しくなります。
(4)問題のとおりです。中性化深さを測定するには、ドリル削孔粉をフェノールフタレイン試験液を浸した試験紙に受けて、呈色状況を観察する方法があります。この方法を、一般にドリル法と呼びます。
【問228_調査手法】
構造物の調査・測定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コンクリート表面近傍の浮き、はく離、空洞は、打音法調査による反射音の音質の違いによって、その存在が判定できる。
(2)中性化は一般に建物の屋外に比べて室内側で進行が遅いため、屋外を測定すれば室内側はそれより中性化深さは小さいと判定できる。
(3)周辺固定床の大たわみによるひび割れは、上面からの観察が可能な場合、中央部よりも端部のはり側のひび割れについて綿密に調査を行うのがよい。
(4)コンクリート表面からの鉄筋の腐食状況の目視による調査は、鉄筋に沿ったひび割れの発生状況やさび汁の有無によって行う。
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正解(2)
(1)問題のとおりです。打音法は、ハンマーなどでコンクリート表面を打撃し、マイクを用いて弾性波を検出することで、コンクリート表面近傍の浮きや、はく離、空洞を調査する方法です。非接触のためコンクリート表面の性状に左右されにくいですが、周囲の騒音の影響を受けやすいという特徴を持っています。
(2)誤りです。中性化は、一般に建物の屋外に比べて、室内の方が1~3倍ほど中性化速度が速くなります。中性化速度は、相対湿度が50~60%の環境で最も大きくなります。室内環境は、湿度と呼気中のCO2により、中性化速度が速くなります。
(3)問題のとおりです。床のたわみによるひび割れは、曲げモーメントの分布に従い、中央部はスラブ下面に、端部はスラブ上面に生じます。
(4)問題のとおりです。コンクリート表面からの鉄筋の腐食状況の目視による調査は、鉄筋に沿ったひび割れの発生状況やさび汁の有無によって行います。
【問229_調査手法】
コンクリートの中性化および塩化物イオン量(濃度)の測定に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)採取したコアを用いて中性化深さを測定する場合、割裂により得られた面よりもコア側面を測定対象とするほうが、より正確な値を得ることができる。
(2)コンクリート中でセメント水和物と反応して固定化された塩化物イオンは、強酸でコンクリートを処理しても溶出されることはない。
(3)特定の位置の塩化物イオン量(濃度)を把握するためコアからコンクリート試料を切り取るさいは、熱による塩化物の組成変化を避けるために水冷式のカッターを用いる。
(4)フェノールフタレイン法により呈色しない領域は、炭酸化反応により炭酸カルシウムが生成された領域とは一致しない。
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正解(3)
(1)誤りです。コアの側面は、コア採取時の影響を受けやすいため、割裂面を測定対象とする方が、正確な値を読み取ることができます。
(2)誤りです。コンクリート中に固定化されたフリーデル氏塩は、強酸により分解され、塩化物イオンを溶出します。
(3)誤りです。塩化物イオンの溶出を避けるため、水冷式ではなく、乾式のカッターを用います。
(4)問題のとおりです。炭酸カルシウムが生成された範囲であっても、一定以上の水酸化カルシウムが存在すれば呈色するため、フェノールフタレインによって呈色しない領域は、炭酸化反応により炭酸カルシウムが生成された領域とは一致しません。
【問230_調査手法】
コンクリートの構造物の調査・測定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コアを割裂して中性化深さを測定する場合は、割裂面に付着したコンクリート粉を取り除いてから行う。
(2)塩化物イオン量(濃度)を把握するために採取したコアからコンクリート試料を切り取る場合は、乾式のコンクリートカッターを用いて行う。
(3)コンクリート構造物から取り出された鋼材の腐食量を測定する場合は、鋼材を10%クエン酸二アンモニウム溶液に浸せきする。
(4)コンクリート構造物中の鋼材の自然電位を測定する場合は、コンクリートの表面を乾燥状態に保つようにする。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。コアを割裂して中性化深さを測定する場合は、割裂面に付着したコンクリート粉を取り除いてから行います。
(2)問題のとおりです。塩化物イオンの溶出を避けるため、水冷式ではなく、乾式のカッターを用いてコアを採取します。
(3)問題のとおりです。鋼材腐食量の調査は、鉄筋を60℃の10%クエン酸二アンモニウム溶液に数日間浸せきした後、表面の錆を除去し、腐食面積および質量減少量を測定します。
(4)誤りです。自然電位測定の際には、コンクリート表面に水を噴霧し、湿潤状態に保ちます。照合電極の先端には、水を含ませたスポンジ等を巻き付けて、コンクリート表面に接触させて測定します。