【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.48)各種調査

コンクリート診断士 問題と解説Vol.48

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問236_塩害】

 鉄筋コンクリート部材の塩害に対する評価・判定に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)海岸近傍の地下水位以下にある30年間が経過した鉄筋コンクリートの基礎構造物において、鉄筋位置の塩化物イオン量(濃度)が5kg/m3であったが、鉄筋自体の腐食はほとんど見られなかったため、環境が変わらなければ今後も急激には腐食は進行しないと判定した。
(2)鉄筋コンクリート構造物のかぶりコンクリートに、鉄筋の腐食によってひび割れ、はく落が生じているが、鉄筋断面の欠損が軽微であるため、耐荷力の低下に与える影響は小さいと判断し、補修は行わないこととした。
(3)コンクリート中の鉄筋の分極抵抗を測定したところ、非常に小さな値であったため、鉄筋の腐食速度は小さいと判定した。
(4)登記に凍結防止剤(融雪剤)が散布される鉄筋コンクリート構造物に発生したひび割れが凍害によるものと判断し、塩害に関する調査は行わないこととした。
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正解(1)

(1)問題のとおりです。鉄筋位置での塩化物イオン濃度は高いですが、地下水位以下であるため、酸素の供給が少なく、急激な腐食の進行はありません。
(2)誤りです。鉄筋の腐食、はく落が生じているため、早急な対応が必要です。
(3)誤りです。分極抵抗が小さいと、腐食しやすい状態であるため、腐食速度が大きいことを意味しています。
(4)誤りです。凍結防止剤には、塩化物イオンが含まれています。そのため、塩害調査も必要です。

【問237_塩害】

 海岸沿いの鉄筋コンクリート構造物について、建設後10年が経過した時点で外観を調査したところ、ひび割れ、さび汁の滲出、はく落などの変状は見られなかった。この構造物に対する判断として、適当なものはどれか
(1)外観上の変状が認められないことから、鉄筋は腐食していないものと判断した。
(2)鉄筋が腐食していたとしてもその影響は軽微であり、耐荷力(耐力)の低下は生じていないと判断した。
(3)塩化物の侵入により鉄筋腐食が進んでいるものと判断し、鉄筋の全面をはつりだして鉄筋量を調査した。
(4)塩化物の侵入による鉄筋腐食により、耐荷力(耐力)が大きく低下していると判断した。
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正解(2)

(1)誤りです。海岸沿いは、塩害環境下のため、鉄筋腐食の可能性があります。
(2)問題のとおりです。外観上の劣化が生じていないため、鉄筋が腐食していたとしても軽微であると判断します。
(3)誤りです。外観上の劣化が生じていないため、斫り調査は不要で、塩分浸透深さの調査を行い、現状把握することが望ましいです。
(4)誤りです。外観上の劣化が生じていなければ、耐荷力低下まで腐食は進行していないと判断します。

【問238_塩害】

 塩害を受けたコンクリート構造物に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)山間部の道路橋に鉄筋腐食が発生していることが判明したので、その原因は冬季に散布される凍結防止剤や内在塩分によるものと判断した。
(2)海岸付近の跨線橋の上部工において鉄筋腐食によるコンクリートの浮きが発生していたので、第三者への影響を考慮して補修が必要であると判断した。
(3)30年が経過した海中部の構造物でひび割れは存在しないが、鋼材位置における塩化物イオン量(濃度)は1.2kg/m3であったので、鋼材腐食が急速に発展すると判断した。
(4)海岸沿いの橋脚の全面にわたってかぶりコンクリートのはく離・はく落が発生していたので、供用開始時と比較して剛性が低下していると判断した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。山間部は、海岸沿いに比べて飛来塩分が少ないため、塩害の原因は冬季に散布される凍結防止剤や内在塩分によるものと判断できます。
(2)問題のとおりです。鉄筋の腐食によりコンクリートの浮きが発生している場合、劣化が進行し、コンクリートのはく落等が考えられるため、第三者への影響を考慮して補修する必要があります。
(3)誤りです。海中部の場合は、酸素の供給量が少ないため、鉄筋腐食が急速に進展することはありません。
(4)問題のとおりです。断面欠損により、剛性が低下します。

【問239_塩害】

 外来塩化物イオンの影響を受ける鉄筋コンクリート梁の調査結果から判断した次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)鉄筋の腐食によってかぶりコンクリートがはく落し鋼材の断面積も減少していたので、耐荷性能が低下していると判断した。
(2)鋼材位置での塩化物イオン量(濃度)を想定したところ、鋼材腐食が発生する濃度以下であったが、劣化予測よりも塩化物イオンの浸透が速いことが判明したので、点検を強化する必要があると判断した。
(3)鉄筋腐食によるひび割れの発生が確認されたが、かぶりコンクリートのはく落が見られなかったので、腐食は急激に進行することは無いと判断した。
(4)部分的な鉄筋腐食が確認されたが、劣化予測の結果、残存供用期間中では所定の耐荷性能を満足すると評価されたので、ただちに補強を行う必要はないと判断した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。コンクリートのはく落、および鋼材の断面積減少は耐荷性能の低下につながります。
(2)問題のとおりです。劣化の進行が予測される場合には、点検を強化し、劣化初期に対応、判断することが必要です。
(3)誤りです。鉄筋腐食によるひび割れの発生後は、ひび割れから酸素や水などの劣化因子の侵入が容易となるため、腐食が急激に進行します。
(4)問題のとおりです。残存供用期間中では所定の耐荷性能を満足すると評価された場合、ただちに補強を行う必要はないと判断します。

【問240_塩害】

 海洋環境にある鉄筋コンクリート構造物の調査結果に対する判断(A)~(C)の適・不適の組合せとして、次のうち適当なものはどれか
(A)供用開始後10年が経過し、鉄筋位置の塩化物イオン濃度が1.2kg/m3であったが、鉄筋に沿ったひび割れは発生していなかったので、まだ鉄筋の腐食量は小さいと判断した。
(B)供用開始後20年が経過し、鉄筋位置の塩化物イオン濃度が2.0kg/m3であったが、コンクリートの相対含水率(飽和含水率に対する比率)が95%であったので、鉄筋の腐食速度は小さいと判断した。
(C)供用開始後30年が経過し、主鉄筋の断面欠損率が平均10%であったので、耐荷力は低下していないと判断した。
(A) (B) (C)
(1) 不適 不適
(2) 不適
(3) 不適 不適
(4) 不適
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正解(4)

(A)問題のとおりです。鉄筋に沿ったひび割れは生じていないため、腐食が生じても腐食量は小さいと判断します。
(B)問題のとおりです。コンクリートの含水率が大きいと、拡散係数が小さくなるため、コンクリート内部への酸素の移動が少なくなります。そのため、鉄筋腐食の進行が遅くなります。
(C)誤りです。鉄筋の断面欠損率が10%は、鋼材が激しく腐食している状態のため、耐荷力が低下していると判断します。

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