【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.53)風化、剛性、たわみの調査

コンクリート診断士 問題と解説Vol.53

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問261_風化】

 長期間使用されたコンクリート製水路において、コンクリート表面から水酸化カルシウムが溶出している場合、その溶出深さを測定する方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)フェノールフタレイン1%溶液により、非変色域の平均深さを測定した。
(2)直径50mmのコアを採取し、圧縮強度を測定した。
(3)示差熱重量分析(DTA-TG)により、水酸化カルシウムの残存量を測定した。
(4)電子線マイクロアナライザ―(EPMA)により、カルシウムの濃度分布を測定した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。水酸化カルシウムが溶出している部分は、pHが低くなるため、溶出深さの測定に、フェノールフタレイン1%溶液を用います。
(2)誤りです。溶出と圧縮強度は、明確な相関関係がありません。
(3)問題のとおりです。示差熱重量分析法は、試料を細かく粉砕した後、試料を入れた炉の温度を1000℃まで上昇させた際の、質量の変化と、熱流量の変化から、物質を定量する方法です。水酸化カルシウムは、450℃付近で熱分解され水蒸気となるため、質量の変化と、熱流量の変化が生じます。
(4)問題のとおりです。電子線マイクロアナライザ―とは、電子線を試料に照射し、試料から出てくる信号を検出して、試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。コンクリート表面のカルシウムの分布を観察することが可能です。

【問262_風化】

 長期間水と接していた水槽底部のコンクリートからの成分溶出深さの評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)採取したコアのCa/Si比を電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて測定し、成分溶出深さを評価した。
(2)採取したコアの圧縮強度を測定し、成分溶出深さを評価した。
(3)採取したコアの中性化深さをフェノールフタレイン1%エタノール溶液により測定し、成分溶出深さを評価した。
(4)採取したコアのビッカース硬さの分布を測定し、成分溶出深さを評価した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。電子線マイクロアナライザ―とは、電子線を試料に照射し、試料から出てくる信号を検出して、試料表面の拡大像を表示する電子顕微鏡です。コンクリート表面のカルシウムの分布を観察することが可能です。溶出が起こると、Ca/Si比が低下します。
(2)誤りです。溶出と圧縮強度は、明確な相関関係がありません。
(3)問題のとおりです。水酸化カルシウムが溶出している部分は、pHが低くなるため、溶出深さの測定に、フェノールフタレイン1%溶液を用います。
(4)問題のとおりです。溶出による劣化とは、コンクリート中のセメント水和物成分が周囲の水に溶解して硬化体組織が疎となる現象です。主要な水和生成物のうち最も溶解度が大きいのは水酸化カルシウムです。水酸化カルシウムが消費された後に、カルシウムシリケート水和物の溶出が進行します。溶出により、セメントの組織が疎になり、コンクリート表面の硬さが低下します。

【問263_風化】

 用水路に用いられているコンクリートからの水酸化カルシウム溶出に関する調査結果に対する判断として、次のうち、不適当なものはどれか
(1)流水の硬度が高いので、溶出速度は大きいと判断した。
(2)流水の速度が大きいので、溶出速度は大きいと判断した。
(3)コンクリートの表層部においてアルカリ度(pH)が低下していたので、溶出が進行していると判断した。
(4)コンクリートの表層部のセメントペーストのビッカース硬さが低下していたので、溶出が進行していると判断した。
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正解(1)

(1)誤りです。硬度の低い水ほど、コンクリート中の細孔溶液との濃度勾配が大きくなるため、成分溶出速度は速くなります。
(2)問題のとおりです。流水の速度が速いほど、水が供給されるので、溶出速度は速くなります。
(3)問題のとおりです。水酸化カルシウムの溶出により、pHが低下します。
(4)問題のとおりです。溶出による劣化とは、コンクリート中のセメント水和物成分が周囲の水に溶解して硬化体組織が疎となる現象です。主要な水和生成物のうち最も溶解度が大きいのは水酸化カルシウムです。水酸化カルシウムが消費された後に、カルシウムシリケート水和物の溶出が進行します。溶出により、セメントの組織が疎になり、コンクリート表面の硬さが低下します。

【問264_剛性】

 鉄筋コンクリート桁の曲げ剛性を評価するにあたって行った次の調査項目のうち、不適当なものはどれか
(1)断面の寸法
(2)鉄筋の量および位置
(3)スパン中央のたわみ
(4)鉄筋の降伏強度
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正解(4)

(1)問題のとおりです。曲げ剛性は、ヤング率Eと、断面2次モーメントIの積で表されます。断面の寸法は断面2次モーメントに関係します。
(2)問題のとおりです。鉄筋の量と位置は、コンクリート桁の曲げ剛性に関係します。
(3)問題のとおりです。スパン中央のたわみを測定することにより、曲げ剛性を算定することができます。
(4)誤りです。異なる降伏強度の鉄筋であっても、ヤング率は一定です。曲げ剛性には関係しません。

【問265_たわみ】

 機械設備を更新後に、機械室のスラブに異常なたわみが発生した。このスラブの調査結果に対する次の判断のうち、最も適当なものはどれか
(1)スラブ上面の壁際に沿って、ひび割れが生じていたので、たわみの原因は上端(鉄)筋のかぶり(厚さ)不足であると判断した。
(2)上端(鉄)筋が十分に定着されているので、スラブ上面の壁際に沿って発生したひび割れの幅は、今後、増加しないと判断した。
(3)スラブの固有振動数が徐々に低下していることが判明したので、今後、たわみが増大すると判断した。
(4)スラブの固有振動数は低下していたが、その後の継続的な調査で変化がないことが判明したので、共振による振動障害は生じないと判断した。
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正解(3)

(1)誤りです。スラブがたわむと、スラブ上面の壁際には、引張応力が掛かります。上端筋が引張応力を負担するので、かぶりが小さくなると、上端筋が応力に対して有利に働くため、必ずしもひび割れが生じるとは限りません。
(2)誤りです。上端筋が定着されていても、疲労やクリープの影響によりひび割れ幅が増加することが考えられます。
(3)問題のとおりです。固有振動数の低下と、剛性の低下は相関します。固有振動数が徐々に低下している場合、剛性も徐々に低下することで、たわみが増大します。
(4)誤りです。固有振動数の低下により、機械設備の共振振動数に近づく可能性があります。
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