【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.56)初期欠陥、調査・判定

コンクリート診断士 問題と解説Vol.56

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問276_ひび割れ】

 供用2年目の円筒形の鉄筋コンクリート製貯水槽の目視調査において、壁面に等間隔に縦方向のひび割れが発生しており、少量の漏水があって白色の析出物が確認された。この貯水槽の目視調査結果に対する次の判断の正誤の組合せのうち、適当なものはどれか
(A)このひび割れの原因は、アルカリシリカ反応であると判断した。
(B)内部の鉄筋は、著しく腐食していると判断した。
(C)ひび割れから水酸化カルシウムが溶出していると判断した。
(A) (B) (C)
(1)
(2)
(3)
(4)
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正解(2)

(A)誤りです。供用2年目の、短い期間でアルカリシリカ反応が顕在化する可能性は低いです。
(B)誤りです。析出物は白色で、錆汁を伴う記述はないので、鉄筋腐食は生じていないと判断します。
(C)問題のとおりです。白色の析出物は、エフロレッセンスで、水酸化カルシウムの溶出が生じていると判断します。

【問277_初期欠陥】

 コンクリートの表面に生じた変状に対する目視による判断のうち、適当なものはどれか
(1)砂すじが多く見られたが、外部からの塩化物イオンの侵入には影響しないと判断した。
(2)表面気泡が多く見られたので、凍害は発生しにくいと判断した。
(3)コールドジョイントが見られたが、材齢が半年を経過していたので、その部分では健全部と同等の水密性にまで回復したと判断した。
(4)豆板(ジャンカ)が見られたので、中性化深さが鉄筋位置まで到達する時間が短いと判断した。
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正解(4)

(1)誤りです。砂すじは、コンクリート表面のセメントペースト分が流されてしまっており、表面組織が密実でないため、コンクリート内部への塩化物イオンの侵入がしやすくなります。
(2)誤りです。表面気泡が生じていると、凍害が発生しやすくなります。
(3)誤りです。コールドジョイントは、材齢が経過しても一体化することは無く、性能が回復することはありません。

(4)問題のとおりです。ジャンカにより、鉄筋位置までの中性化が速くなります。

【問278_初期欠陥】

 鉄筋コンクリート造建築物の外壁に生じた縁切れし貫通しているコールドジョイントに対する次の判断のうち、不適当なものはどれか
(1)所定のかぶり厚さが確保されていたので、火災時におけるコンクリート内部の鉄筋の強度およびヤング係数の低下は、コールドジョイントのない部分と同等であると判断した。
(2)所定のかぶり厚さが確保されていたので、中性化による鉄筋腐食に対する抵抗性はコールドジョイントのない箇所と同等であると判断した。
(3)ひび割れ追従性のある複層仕上塗材を塗布したので、雨水の侵入に対する抵抗性は健全部と同等であると判断した。
(4)防水系の複層仕上塗材を塗布したので、中性化に対する抵抗性は健全部と同等であると判断した。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。火災時に受ける熱は、コールドジョイントがあっても、大きく影響は受けません。
(2)誤りです。コールドジョイントによって、中性化の原因である酸素と水がコンクリート内部に侵入しやすくなります。
(3)問題のとおりです。ひび割れ追従性のある複層仕上塗材を塗布すれば、雨水の侵入に対する抵抗性は健全部と同等です。
(4)問題のとおりです。防水系の複層仕上塗材を塗布すれば、中性化に対する抵抗性は健全部と同等です。

【問279_初期欠陥】

 コンクリート構造物の表面に生じた変状に対する評価・判定に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)トンネル覆工に縁切れしたコールドジョイントが見られたが、材齢が経過すれば水和が進むので、中性化による鉄筋腐食に対する抵抗性に影響がないと判断した。
(2)建築物の耐力壁に、砂すじが見られたが、内部コンクリートに材料分離がないことが判明したので、耐荷力に影響がないと判断した。
(3)農業用水路構造物に、均一に分散した表面気泡(あばた)が多く見られたので、耐凍害性は確保されていると判断した。
(4)道路橋橋脚に、粗骨材が露出している豆板(ジャンカ)が見られたが、粗骨材をたたいても脱落しなかったので、塩化物イオン浸透に対する抵抗性に影響がないと判断した。
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正解(2)

(1)誤りです。コールドジョイントは、材齢が経過しても一体化することは無く、性能が回復することはありません。
(2)問題のとおりです。砂すじは、内部コンクリートに材料分離がなく健全であれば、耐荷力は低下しないと考えます。
(3)誤りです。表面気泡が生じていると、凍害が発生しやすくなります。
(4)誤りです。ジャンカにより、鉄筋位置までの中性化が速くなります。

【問280_調査・判定】

 コンクリート構造物の変状に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)建物の屋上に打ち込まれたコンクリートにポップアウトやひび割れが観察された。資料による調査の結果、吸水脱水により体積変化する骨材の使用も考えられえたが、寒冷地であることから、凍害によるものと判断した。
(2)海岸沿いの道路橋橋脚において、鉄筋に沿ったひび割れが見つかった。資料による調査の結果、反応性骨材の使用も考えられたが、鉄筋に沿ったひび割れであったため、塩害によるものと判断した。
(3)無筋コンクリートの擁壁に亀甲状のひび割れが観察され、ひび割れにはゲル状の析出物が認められた。資料による調査の結果、反応性骨材が使用されていたのでアルカリ骨材反応によるものと判断した。
(4)海岸沿いの道路橋床版下面のひび割れに錆汁が認められた。試験の結果、コンクリート表層の塩化物イオン量(濃度)は0.2kg/m3で、鉄筋までの中性化残りは5mmであった。沿岸沿いの構造物であることから、塩害によるものと判断した。
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正解(3)

(1)誤りです。資料による調査の結果、吸水脱水により体積変化する骨材の使用も考えられる可能性があることから、凍害のみであると断定はできません。
(2)誤りです。橋脚において、アルカリシリカ反応が生じた場合も、鉄筋に沿ったひび割れが生じます。錆汁の発生状況や、白色析出物の調査など、情報が不足しているため、塩害とは断定できません。
(3)問題のとおりです。無筋コンクリートの擁壁に亀甲状のひび割れがあり、ひび割れにはゲル状の析出物が認められ、資料による調査の結果、反応性骨材が使用されていたことから、アルカリ骨材反応によるものと判断できます。
(4)誤りです。塩害が発生する塩化物イオンの量は、1.2kg/m3とされています。また、中性化残りは10mm以下になると中性化による腐食が生じます。
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