【一級土木施工管理技士の問題と解説】R1年問題A(No.16~20)

一級土木施工管理技士 問題と解説R1_A_No.16~20

【R1_学科A_No16】

 鋼道路橋の架設上の留意事項に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)曲線桁橋は、架設中の各段階において、ねじれ、傾き及び転倒などのないように重心位置を把握し、ベントなどの反力を検討する。
(2)I形断面の鋼桁橋は、水平曲げ剛度、ねじり剛度が低いため、桁を1本のみで仮置きやつり上げをする場合には、横倒れ座屈に注意する。
(3)箱型断面の桁は、重量が重くつりにくいので、つり状態における安全性を確認するため、つり金具や補強材は一般に現場で取り付ける。
(4)斜橋は、たわみや主桁の傾きなどは架設中の各段階について算定し、架設中の桁のそりの管理を行う。
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正解(3)
(1)○です。桁の架設時には、重心を把握し、部材が傾いたり、転倒しないように検討することが必要です。特に、重心位置が分かりにくい曲線桁橋は、架設中の各段階において、ねじれ、傾き及び転倒などのないように重心位置を把握し、ベントなどの反力を検討します。
(2)○です。鋼桁橋は、施工が完了すれば構造的に安定しますが、施行中は不安定な状態です。I形断面の鋼桁橋は、水平曲げ剛度、ねじり剛度が低いため、桁を1本のみで仮置きやつり上げをする場合には、横倒れ座屈に注意します。
(3)×です。箱型断面の桁は、重量が重くつりにくいので、つり状態における安全性を確認するため、つり金具や補強材は一般に現工場で取り付けます。
(4)○です。斜橋は、たわみや主桁の傾きなどは架設中の各段階について算定し、架設中の桁のそりの管理を行います。

【R1_学科A_No17】

 鋼道路橋における溶接施工上の留意事項に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)組立溶接は、本溶接と同様の管理が必要ない仮付け溶接のため、組立溶接終了後ただちに本溶接を施工しなければならない。
(2)開先溶接及び主桁のフランジと腹板のすみ肉溶接は、原則としてエンドタブを取り付け、溶接の始端及び終端が溶接する部材上に入らないようにしなければならない。
(3)溶接を行う部分は、溶接に有害な黒皮、さび、塗料、油などは除去したうえで、溶接線近傍は十分に乾燥させなければならない。
(4)開先形状は、完全溶込み開先溶接からすみ肉溶接に変化するなど溶接線内で開先形状が変化する場合、遷移区間を設けなければならない。
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正解(1)
(1)×です。組立溶接は、本溶接時の形状を保つために行う、仮の溶接です。組立溶接は、一般的に、本溶接の内部に残留することが多いので、組立溶接も本溶接と同様に、品質管理が必要です。
(2)○です。溶接の始端及び終端は品質不具合が生じやすい箇所です。開先溶接及び主桁のフランジと腹板のすみ肉溶接は、原則としてエンドタブを取り付け、溶接の始端及び終端が溶接する部材上に入らないようにしなければなりません。
(3)○です。溶接個所にさび、油、塗料、水分などが付着したまま溶接を行うと、品質不具合が生じます。溶接を行う部分は、溶接に有害な黒皮、さび、塗料、油などは除去したうえで、溶接線近傍は十分に乾燥させなければなりません。
(4)○です。開先形状は、完全溶込み開先溶接からすみ肉溶接に変化するなど溶接線内で開先形状が変化する場合、遷移区間を設けなければなりません。

【R1_学科A_No18】

 鋼道路橋における高力ボルトの締付け作業に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)曲げモーメントを主として受ける部材のフランジ部と腹板部とで、溶接と高力ボルト摩擦接合をそれぞれ用いるような場合には、高力ボルトの締付け完了後に溶接する。
(2)トルシア形高力ボルトの締付けは、予備締めには電動インパクトレンチを使用してもよいが、本締めには専用締付け機を使用する。
(3)高力ボルトの締付けは、継手の外側のボルトから順次中央のボルトに向かって行い、2度締めを行うものとする。
(4)高力ボルトの締付けをトルク法によって行う場合には、軸力の導入は、ボルト頭を回して行うのを原則とし、やむを得ずナットを回す場合にはトルク計算値の変化を確認する。
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正解(2)
(1)×です。道路橋示方書によると、曲げモーメントを主として受ける部材のフランジ部を溶接、と腹板部を高力ボルト摩擦接合とする場合には、溶接完了後に高力ボルト摩擦接合をします。ただし、日本建築学会の鋼構造接合部設計指針では、ボルトの締付け後に溶接を行うことを原則としています。この順番については、議論がなされているそうです。
(2)○です。トルシア形高力ボルトの締付けは、予備締めには電動インパクトレンチを使用してもよいですが、本締めには専用締付け機を使用します。
(3)×です。高力ボルトの締付けは、継手の中央のボルトから順次外側のボルトに向かって行い、予備締めと本締めの2度締めを行うものとします。スプライスプレートが母材に密着するように、歪みを中央から外側に逃がすイメージです。
(4)×です。高力ボルトの締付けをトルク法によって行う場合には、軸力の導入は、ナットを回して行うのを原則とします。トルクレンチがナット側に入らないなど、やむを得ずボルト頭を回す場合にはトルク計算値の変化を確認します。

【R1_学科A_No19】

 コンクリートのアルカリシリカ反応の抑制対策に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)JIS R 5211「高炉セメント」に適合する高炉セメントB種の使用は、アルカリシリカ反応抑制効果が認められない。
(2)鉄筋腐食を防止する観点からも、単位セメント量を増やしてコンクリートに含まれるアルカリ総量をできるだけ多くすることが望ましい。
(3)アルカリシリカ反応では、有害な骨材を無害な骨材と混合した場合、コンクリートの膨張量は、有害な骨材を単独で用いるよりも小さくなることがある。
(4)海洋環境や凍結防止剤の影響を受ける地域で、無害でないと判定された骨材を用いる場合は、外部からのアルカリ金属イオンや水分の侵入を抑制する対策を行うのが効果的である。
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正解(4)
(1)×です。高炉セメントB種は、高炉スラグ微粉末が用いられているセメントです。高炉スラグは、セメント中の水酸化カルシウムと反応し、硬化反応を起こします。これにより、セメント中のアルカリ総量が低下するため、アルカリシリカ反応の抑制効果があります。
(2)×です。アルカリ骨材反応を抑制するためには、アルカリ総量は3.0kg/m3以下になるようにします。
(3)×です。アルカリシリカ反応では、有害な骨材を無害な骨材と混合した場合、コンクリートの膨張量は、有害な骨材を単独で用いるよりも大きくなることがあります。これをペシマム量と言います。アルカリシリカ反応は、必ずしも有害な骨材と膨張量が比例関係ではありません。
(4)○です。海洋環境や凍結防止剤の影響を受ける地域で、無害でないと判定された骨材を用いる場合は、表面被覆工法などによる、外部からのアルカリ金属イオンや水分の侵入を抑制する対策を行うのが効果的です。

【R1_学科A_No20】

 コンクリート構造物の補修対策に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)シラン系表面含浸材を用いた表面含浸工法を適用すると、コンクリートの細孔を塞ぐため、コンクリートの吸水性を低下させるとともに、コンクリート内部からの水蒸気透過も防止する。
(2)吹付け工法による断面修復工法は、型枠の設置が不要であり断面修復面積が比較的大きい部位に適している。
(3)塩害に起因して鉄筋の腐食による顕著なさび汁やかぶりコンクリートのはく離が発生したコンクリート構造物に対しては、有機系被覆材による表面被覆工法だけを施せばよい。
(4)電気防食工法は、コンクリート中の塩化物イオンを除去する目的で適用する電気化学的補修工法である。
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正解(2)
(1)×です。シラン系含浸材は、コンクリート表面に吸水を抑制するアルキル基の組織を生成します。また、アルキル基の組織は水滴よりも小さく、水蒸気より大きいため、コンクリート外部からの吸水性は低下させ、コンクリート内部からの水蒸気は透過させます。含浸材には、主にシラン系と、ケイ酸塩系があります。ケイ酸塩系は、親水性があるため、吸水を抑制する効果はほとんどありません。
(2)○です。吹付け工法による断面修復工法は、型枠の設置が不要であり断面修復面積が比較的大きい部位に適しています。
(3)×です。塩害に起因して鉄筋の腐食による顕著なさび汁やかぶりコンクリートのはく離が発生したコンクリート構造物に対しては、鉄筋の腐食防止を施したうえで、断面修復工法などを選定します。表面被覆のみでは、腐食した鉄筋やはく離したコンクリートに対しての効果はありません。
(4)×です。電気防食工法は、鋼材に防食電流を流すことで、電位を強制的にマイナス側にする工法です。電気防食工法は、鉄筋の腐食進行を停止させる目的で適用する電気化学的補修工法です。
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