【H26_No.1~5】コンクリート主任技士 問題と解説

主任技士過去問解説

【H26_No.1~5】コンクリート主任技士 問題と解説

【(H26)-No.1】

 JIS R 2502(セメントの物理試験方法)に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)セメントの密度は、ルシャテリエフラスコと脱泡した水を用い、所定の質量の体積を測定して求める。
(2)セメントの比表面積は、ブレーン空気透過装置を用い、マノメータ液の降下する時間を測定して求める。
(3)セメントの凝結は、ビカー針装置と標準軟度のペーストを用い、標準針が所定の貫入量に達する時間を測定して求める。
(4)セメントの圧縮強さは、曲げ試験によって切断された6個の折片を用い、圧縮試験を行って求める。
クリックで【(H26)-No.1】の解答と解説をみる

正解(1)

(1)×:誤りです。セメントは、水と反応します。セメントの密度試験では、水和反応を起こさない、鉱油を用い、セメント試料の体積を測定します。
(2)〇:問題のとおりです。セメントの比表面積は、ブレーン空気透過装置を用い、マノメータ液の降下する時間を測定して求めます。
比表面積とは、単位質量あたりの表面積で、値が大きいほど表面積が大きいことを意味します。
ブレーン空気透過とは、紛体層に対し、一定量の空気を透過させるのに要する時間を求めることで、紛体の比表面積を推定する方法です。比表面積が大きいほど、空気が透過する時間が長くなります。
マノメータは、圧力の差を計測するための、U字型の管です。
(3)〇:問題のとおりです。セメントの凝結は、ビカー針装置と標準軟度のペーストを用い、標準針が所定の貫入量に達する時間を測定して求めます。
ビカー針装置は、凝結時間を測定するための装置で、始発用および終結用標準針の直径は1.13mmです。
(4)〇:問題のとおりです。セメントの圧縮強さは、曲げ試験によって切断された6個の折片を用い、圧縮試験を行って求めます。

【(H26)-No.2】

 湿潤状態の細骨材500.0gをメスフラスコに入れ、水を入れながら十分に空気を追い出し、水を500mLの目盛まで満たした。このときの細骨材と水の合計質量は798.0gであった。この細骨材の表面水率として、正しいものはどれか。ただし、細骨材の表乾密度は2.59g/cm3、水の密度は1.00g/cm3
(1)1.8%
(2)2.4%
(3)3.0%
(4)3.6%
クリックで【(H26)-No.2】の解答と解説をみる

正解(3)
$$表面水率(%)=\frac{表面水の質量(g)}{表乾状態の骨材質量(g)}×100(%)$$

表面水率の問題が出題された場合、下のような表を作成してください。問題を解くためのコツは、骨材(試料)を表乾状態の骨材と表面水に分割して考えることです。

【(H26)-No.3】

 コンクリート用化学混和剤の使用方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)寒中コンクリートの製造に際して、初期凍害を防止するために、AE減水剤と硬化促進剤を併用した。
(2)暑中コンクリート製造に際して、荷卸しまでのスランプの低下を抑制するために、AE減水剤遅延型を使用した。
(3)高強度コンクリートの製造に際して、凍結融解抵抗性の観点から所定の空気量を確保するために、高性能AE減水剤とAE剤を併用した。
(4)高流動コンクリートの製造に際して、荷卸しまでのスランプフローの低下を抑制するために、高性能減水剤を使用した。
クリックで【(H26)-No.3】の解答と解説をみる

正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。寒中コンクリートで、硬化後のコンクリートに耐凍害性を持たせるためには、気泡間隔係数を200~250μm以下とします。また、初期凍害を防止するためには、初期養生は圧縮強度が5.0N/mm2となるまで、コンクリート温度を5℃以上に保ちます。AE減水剤により、気泡間隔係数が小さくなり、硬化促進剤により、初期養生で必要な圧縮強度に達する期間が短くなるため、凍害の対策となります。
(2)〇:問題のとおりです。暑中コンクリート製造に際して、荷卸しまでのスランプの低下を抑制するために、AE減水剤遅延型を使用します。遅延型は、凝結を遅延させる効果を持ちます。
(3)〇:問題のとおりです。高強度コンクリートの製造に際して、凍結融解抵抗性の観点から所定の空気量を確保するために、高性能AE減水剤とAE剤を併用します。
(4)×:誤りです。高性能減水剤および減水剤は、セメント粒子表面に負の電荷を与えることで、セメント粒子同士を分散させる作用があります。これにより、コンクリートの流動性が高まります。しかし、流動性の保持性能は有していません。流動性を保持するためには、高性能AE減水剤を使用します。

【(H26)-No.4】

 各種混和材を用いたコンクリートに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)膨張材を用いたコンクリートは、水和反応によってエトリンガイトあるいは水酸化カルシウムの結晶を生成して膨張するため、収縮ひび割れの低減に効果がある。
(2)比表面積の大きい高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートは、潜在水硬性により組織が緻密化するため、自己収縮が小さくなる。
(3)シリカフュームを用いた低水結合材比のコンクリートは、マイクロフィラー効果およびポゾラン反応により細孔容積が減少し緻密になるため、自己収縮が小さくなる。
(4)フライアッシュを用いたコンクリートは、ポゾラン反応により組織が緻密化するため、中性化の進行が遅くなる。
クリックで【(H26)-No.4】の解答と解説をみる

正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。膨張材は、水和反応によって膨張することで、コンクリートの収縮を相殺し、ひび割れを抑制する働きを持ちます。膨張材には、主にエトリンガイト系と遊離石灰系があります。エトリンガイトとは、セメントのアルミン酸三カルシウムと硫酸イオンおよび水が反応して生成される、膨張性のある水和物のことを言います。遊離石灰系は酸化カルシウムを主成分とし、酸化カルシウムと水が反応して水酸化カルシウムになり、水酸化カルシウムの結晶が成長することでコンクリートを適度に膨張させます。
(2)×:誤りです。比表面積の大きい高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートは、潜在水硬性により組織が緻密化するため、空隙に発生する毛細管張力が大きくなり、自己収縮が大きくなります。
(3)×:誤りです。シリカフュームを用いた低水結合材比のコンクリートは、マイクロフィラー効果およびポゾラン反応により細孔容積が減少し緻密になるため、空隙に発生する毛細管張力が大きくなり、自己収縮が大きくなります。
(4)×:誤りです。フライアッシュを用いたコンクリートは、ポゾラン反応により組織が緻密化しますが、ポゾラン反応により、水酸化カルシウムの消費が速まるため、中性化の進行は、フライアッシュを混入していないコンクリートと比べ同程度か、若干速くなります。

【(H26)-No.5】

 JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)および、JIS G 3109(PC鋼棒)の規格に適合する鋼材に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)降伏点の高い鉄筋は、降伏点が低い鉄筋に比べて降伏時のひずみが小さい。
(2)降伏点の高い鉄筋は、降伏点が低い鉄筋に比べて破断時の伸びが小さい。
(3)PC鋼棒の引張強さは鉄筋に比べて大きいが、破断時の伸びは鉄筋よりも小さい。
(4)PC鋼棒の耐力は、0.2%永久ひずみを生じる応力であり、鉄筋の降伏点よりも高い。
クリックで【(H26)-No.5】の解答と解説をみる

正解(1)

(1)×:誤りです。鋼材のヤング係数は、強度にかかわらずほぼ一定の205kN/mm2です。
(2)〇:問題のとおりです。降伏点の高い鉄筋は、降伏点が低い鉄筋に比べて破断時の伸びが小さくなります。
(3)〇:問題のとおりです。PC鋼棒の引張強さは鉄筋に比べて大きいですが、破断時の伸びは鉄筋よりも小さくなります。
(4)〇:問題のとおりです。PC鋼棒の耐力は、0.2%永久ひずみを生じる応力であり、鉄筋の降伏点よりも高いです。
タイトルとURLをコピーしました