【コンクリート主任技士過去問解説】平成30年度No6~10

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成30年度―問題6】

 下表に示す配(調)合条件で高流動コンクリートの試し練りを行ったところ、目標とする自己充填性を満足しなかった。そこで、細骨材率および空気量は変更せず、水粉体容積比を90%に、単位粗骨材絶対容積(コンクリート1m3を造るときに用いる粗骨材の絶対容積)を0.300(m3/m3)に変更した修正配(調)合で再度試し練りを行うこととした。修正配(調)合の単位水量として、適当なものはどれか
水粉体容積比 単位水量 単位粗骨材絶対容積 空気量
(%) (kg/m3 (m3/m3 (%)
100 165 0.310 5.0
(1)160kg/m3
(2)166kg/m3
(3)175kg/m3
(4)184kg/m3
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正解(2)

 この手の問題が出たら、表を作成しましょう。
<覚えるべきポイント>
 水セメント比は質量比
 細骨材率は容積比

【平成30年度―問題7】

 下図は、フレッシュ性上の異なる4種類のコンクリートA,B,C,Dをビンガム流体と仮定した時のせん断応力とせん断ひずみ速度の関係を模式的に示したものである。次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)スランプは、AがBより大きい。
(2)材料分離抵抗性は、CがAより大きい。
(3)圧送時の圧力損失は、DがBより大きい。
(4)振動締固めに必要なエネルギーは、AがDより大きい。
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正解(4)

 右に行くほどドロドロな(かたい)コンクリートだというイメージを持ってください。
(1)問題のとおりです。スランプの大きさなので、スランプが大きいほど柔らかいということになります。
(2)問題のとおりです。材料の分離しにくさですので、右側のCの方が分離しにくいです。
(3)問題のとおりです。かたいコンクリートの方がより多くの圧力が必要になることから、圧力損失は大きくなります。
(4)誤りです。Dの方がかたいコンクリートなので、必要なエネルギーが少なくて済むことが分かります。

【平成30年度―問題8】

 コンクリートの空気量に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート中に連行される空気の量は細骨材の粒度に影響され、0.3~0.6mmの部分が多いと空気泡は連行され難く、0.15mm以下の部分が多いと空気泡は連行されやすい。
(2)粗骨材の最大寸法を小さくする場合には、単位モルタル量が大きくなるため、凍結融解抵抗性を確保するために気泡間隔係数を大きくする必要がある。
(3)セメントの粉末度が大きくなると、AE剤が吸着されやすくなるため、連行される空気の量は減少する。
(4)JIS A 1128(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法―空気室圧力方法)では、空気量はコンクリートの見掛けの空気量に骨材修正係数を乗じて求める。
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正解(3)

(1)0.3~0.6mmの細骨材は空気を連行する効果があります。
(2)モルタル量が大きくなるため、気泡間隔係数を小さくする必要があります。気泡間隔係数は0.2mm以下であると、凍結融解抵抗性が向上します。
(3)問題のとおりです。
(4)A=A1-G
   A:コンクリートの空気量(%)
   A1:コンクリートの見掛けの空気量(%)
   G:骨材修正係数

【平成30年度―問題9】

 下図はコンクリート供試体に時刻t1において圧縮強度の1/3程度の圧縮応力を載荷し、時刻t2において完全に除荷し、時刻t3まで静置した時の時間とコンクリート供試体のひずみの関係を模式的に示したものである。この時のひずみの変化として、図a~図dのうち、適当なものはどれか。ただし、時刻t1から時刻t3までのコンクリートの弾性係数(ヤング係数)と温度は一定とし、乾燥収縮、自己収縮によるひずみはないものとする。
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正解(4)

【平成30年度―問題10】

 アルカリシリカ反応に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)厚みのあるコンクリート部材においては、アルカリシリカ反応によるひび割れは表層よりも内部において発生しやすい。
(2)鉄筋コンクリートの柱や梁においては、アルカリシリカ反応によるひび割れは部材軸方向に進展しやすい。
(3)アルカリシリカ反応は、コンクリートの細孔溶液中の水酸化アルカリ(KOHやNaOH)と骨材に含まれるアルカリ反応性鉱物との化学反応である。
(4)アルカリシリカ反応の抑制には、フライアッシュを15%以上(質量比)含むフライアッシュセメントの使用が有効である。
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正解(1)

(1)アルカリシリカ反応は水が供給されることで進展します。つまり、内部よりも、水が供給されやすい、外部においてひび割れが発生しやすくなります。
(2)問題のとおりです。アルカリシリカ反応によるひび割れは、全方向に膨張する圧力で生じます。柱や梁のように、細長い部材では、部材の軸方向にひび割れが進展しやすくなります。
(3)問題のとおりです。アルカリシリカ反応は、骨材中のシリカ鉱物と、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの、水酸化アルカリが、アルカリシリカゲルを生成する反応です。
(4)問題のとおりです。フライアッシュを質量比で15%以上含むと、コンクリート中のアルカリ分が、フライアッシュのポゾラン反応により消費されるため、アルカリシリカ反応の抑制に有効となります。
詳しくは、アルカリシリカ反応について、こちらのページを参照してください。

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