【H26_No.26~30】コンクリート主任技士 問題と解説
【(H26)-No.26】
各種コンクリートに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)吹付けコンクリートの吹付け方式には湿式および乾式があるが、湿式ではあらかじめ練り混ぜたフレッシュコンクリートを吹き付けるため、乾式に比べて粉塵やリバウンドが生じやすい。
(2)高強度コンクリートは、一般のコンクリートよりも圧送時の圧力損失が大きくなるため、圧送する場合にはスクイズ式ポンプよりもピストン式ポンプの使用が適している。
(3)流動化コンクリートは、混和剤を後添加することでセメント粒子の分散性が高くなるため、高性能AE減水剤を用いた同一スランプの軟練りコンクリートよりも経時にともなうスランプの低下が小さい。
(4)軽量コンクリートは、耐凍害性が一般のコンクリートとほぼ等しいため、空気量は同じとするのがよい。
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正解(2)
(1)×:誤りです。吹付けコンクリートの吹付け方式には湿式および乾式があります。湿式ではあらかじめ練り混ぜたフレッシュコンクリートを吹き付けるため、乾式に比べて粉塵やリバウンドが少なく、品質も安定しています。乾式は水を含まないドライミックスコンクリート材料に、ノズル近傍で水を加えて吹き付ける方式です。
(2)〇:問題のとおりです。高強度コンクリートは、一般のコンクリートよりも圧送時の圧力損失が大きくなるため、圧送する場合にはスクイズ式ポンプよりもピストン式ポンプの使用が適しています。
(3)×:誤りです。流動化コンクリートは、混和剤を後添加すると、セメント粒子の分散性が高くなるため、流動性が増大しますが、経時にともなうスランプの低下が大きく、流動化後20~30分以内に打込みを完了させることが望ましいです。高性能AE減水剤を用いたコンクリートは、凝結が遅延し、経時にともなうスランプの低下も小さくなります。
(4)×:誤りです。軽量コンクリートは、通常の骨材よりも吸水率が大きいため、耐凍害性が一般のコンクリートより劣ります。耐凍害性の観点から、軽量コンクリートは水セメント比を5%小さい値を標準とし、空気量を通常のコンクリートよりも1%大きくすることを原則としています。
【(H26)-No.27】
軸方向鉄筋およびせん断補強鉄筋が配置された鉄筋コンクリート梁の荷重―変位関係において、この梁は曲げ降伏後にせん断破壊を起こした。せん断補強鉄筋を増やしたときに期待される荷重あるいは変位の変化に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やすと、曲げひび割れ発生荷重が大きくなる。
(2)鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やすと、鉄筋の降伏荷重が大きくなる。
(3)鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やすと、軸方向鉄筋の降伏変位が大きくなる。
(4)鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やすと、最大荷重時の変位が大きくなる。
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正解(4)
(1)×:誤りです。鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やしても、曲げひび割れ発生荷重は大きくなりません。曲げひび割れ荷重は、コンクリート強度によって決定します。
(2)×:誤りです。鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やしても、鉄筋の降伏荷重は大きくなりません。降伏荷重を大きくするためには、主筋を増やす必要があります。
(3)×:誤りです。鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やしても、軸方向鉄筋の降伏変位は大きくなりません。
(4)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート梁は、せん断補強鉄筋を増やすと、最大せん断破壊が生じなくなるため、荷重時の変位が大きくなります。
【(H26)-No.28】
主筋とせん断補強筋を有する鉄筋コンクリートの単純梁に、スパン中央に集中荷重を作用させた場合、コンクリート梁に作用する最大曲げモーメントが、曲げ耐力を上回ることが予想された。曲げ耐力を増加させるための有効な方法として、不適当なものはどれか。
(1)有効高さ(せい)dを大きくする。
(2)降伏点の高い鉄筋を使用する。
(3)引張鉄筋量を増やす。
(4)圧縮鉄筋量を増やす。
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正解(4)
(1)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート梁の曲げ耐力は、引張鉄筋の断面積、および、降伏強度、有効高さに比例します。梁性を大きくすると、有効高さが高くなります。
(2)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート梁の曲げ耐力は、引張鉄筋の断面積、および、降伏強度、有効高さに比例します。
(3)〇:問題のとおりです。鉄筋コンクリート梁の曲げ耐力は、引張鉄筋の断面積、および、降伏強度、有効高さに比例します。
(4)×:誤りです。圧縮鉄筋は、鉄筋コンクリート梁の曲げ耐力にはほとんど影響しません。
【(H26)-No.29】
コンクリート製品に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)使用材料の選定から製品性能の確認まで一貫した管理を行えるため、品質の安定したコンクリートとすることができ、かぶり(厚さ)を小さくすることができる。
(2)蒸気養生後の二次養生としてオートクレーブ養生を行った製品は、水和反応がほぼ終了するので、その後の材齢が経過しても強度がほとんど変化しない。
(3)遠心力締固めを行うと、水分がコンクリート断面の外側に移動し、コンクリート断面は内側ほど緻密になる。
(4)蒸気養生は、製品を早期出荷するための促進養生の一つであるが、90℃程度以上の高温で蒸気養生した製品では、エトリンガイトの遅延生成(DEF)に起因する有害なひび割れを発生する場合がある。
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正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。コンクリート製品は、一般的に現場施工のコンクリートよりも高強度の材料が使用されており、養生などの条件も良いことから、緻密なコンクリートが施工できます。さらに、品質の安定したコンクリートとすることができるため、かぶりを小さくすることができます。
(2)〇:問題のとおりです。オートクレーブ養生は高温高圧でコンクリートを養生する方法です。高温高圧下でのセメントの水和では、通常の水和反応とは異なり、強固なカルシウムシリケート水和物を生成するため、高強度で寸法安定性に優れたコンクリートが得られます。
(3)×:誤りです。遠心力締固めにより、水分が絞りだされることで、低水セメント比、高強度・高密度のコンクリートが得られます。コンクリートの断面の密度は、外側と内側でほぼ同じになります。
(4)〇:問題のとおりです。エトリンガイトの遅れ生成によるひび割れは、プレキャストコンクリートなど、養生温度が高く水分の補給が十分にある場合で発生の危険性があるとされています。
【(H26)-No.30】
両端ピン支持構造の、梁断面中央より下側に偏心したプレストレスを導入するプレストレスト(PC)梁において、PC梁中央に上部から集中荷重を徐々に加える。このときのPC梁断面内の応力状態およびPC梁の挙動に関する次の関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)梁断面中央より下側に偏心したプレストレスを導入すると、PC梁の下縁には上縁よりも大きな圧縮応力が生じ、PC梁はそり上がる。
(2)荷重を加え始めると、PC梁のそり上がりが小さくなり、PC梁中央の断面では、ほぼ一様な圧縮応力状態に近づく。
(3)さらに荷重を加えて、PC梁中央の下縁の応力が引張状態になると同時に、曲げひび割れが発生する。
(4)曲げひび割れ発生後は、PC梁の剛性が低下し、荷重の増加により曲げ変形が大きく進む。
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正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。梁断面中央より下側に偏心したプレストレスを導入すると、PC梁の下縁には上縁よりも大きな圧縮応力が生じ、PC梁はそり上がります。
(2)〇:問題のとおりです。梁断面中央より下側に偏心したプレストレスを導入するプレストレスト(PC)梁において、PC梁中央に上部から集中荷重を加え始めると、PC梁のそり上がりが小さくなり、PC梁中央の断面では、ほぼ一様な圧縮応力状態に近づきます。
(3)×:誤りです。PC梁中央の下縁の応力が引張状態になり、コンクリートの引張強度に達すると、曲げひび割れが発生します。引張応力状態になったと同時には、ひび割れは発生しません。
(4)〇:問題のとおりです。曲げひび割れ発生後は、PC梁の剛性が低下し、荷重の増加により曲げ変形が大きく進みます。