【H27_No.21~25】コンクリート主任技士 問題と解説
【(H27)-No.21】
寒中および暑中コンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)積算温度方式に基づいて、5℃で28日間養生したコンクリートの圧縮強度は、10℃で14日間養生したコンクリートの圧縮強度とほぼ同じと判断した。
(2)寒中コンクリート工事において、打込み時のコンクリート温度は、初期凍害防止の観点から、単位水量を小さくした上で30℃となるように管理した。
(3)暑中コンクリート工事において、コンクリート温度を2℃下げるために、水の温度を4℃下げた。
(4)暑中コンクリート工事において、練上がり温度30℃で、スランプ18cm程度のコンクリートを事前にトラックアジテータで1時間運搬したところ、スランプの低下は6.0cm程度であったので、遅延型の高性能AE減水剤を用いることにした。
クリックで【(H27)-No.21】の解答と解説をみる
正解(4)
(1)×:誤りです。積算温度M(℃・日)は、養生中のコンクリート温度θに10℃を足したものと、養生日数Δtを乗じた数値の総和(Σ)です。M=Σ(θ+10)・Δt。5℃が28日間継続した場合:M=(5+10)×28=420(℃・日)、10℃が14日間継続した場合:M=(10+10)×14=280(℃・日)となり、積算温度が異なることから、圧縮強度も異なります。
(2)×:誤りです。初期凍害を避けるために、打込み温度が10℃程度であることが望ましいです。土木学会示方書では寒中コンクリートの打込み温度は5~20℃としています。
(3)×:誤りです。コンクリートの温度を1℃下げるためには、セメント温度で8℃、水の温度で4℃、骨材の温度で2℃、いずれかの材料の温度を下げます。
(4)〇:問題のとおりです。高性能AE減水剤遅延型は、スランプ保持性能に優れています。暑中コンクリートのスランプ低下対策に有効です。
【(H27)-No.22】
マスコンクリートの温度ひび割れに関する一般的な検討方法を示す次の文章中の空欄a~cの組合せとして、適当なものはどれか。
マスコンクリートの施工において、有害な温度ひび割れが発生する可能性がある構造物では、構造体に生じた( a )に対するコンクリートの( b )の比として定義されるひび割れ指数を用いて、ひび割れ発生の可能性を評価する。なお、同じひび割れ指数でも鉄筋の量を多くすると、( c )することができる。
a | b | c | |
(1) | 主引張ひずみ | ひび割れ発生時ひずみ | ひび割れの幅を小さく |
(2) | 主引張ひずみ | ひび割れ発生時ひずみ | ひび割れの本数を少なく |
(3) | 主引張応力 | 引張強度 | ひび割れの本数を少なく |
(4) | 主引張応力 | 引張強度 | ひび割れの幅を小さく |
クリックで【(H27)-No.22】の解答と解説をみる
正解(4)
鉄筋の本数を増やすことで、ひび割れ幅を小さくすることができます。ただし、本数を減らすためには鉄筋の本数を増やすのではなく、膨張材などによりコンクリート自体の収縮量を減らす必要があります。
【(H27)-No.23】
水中不分離性コンクリートの施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)一般のコンクリートに比べて粘性が高いので、圧送時の圧送負荷を一般のコンクリートの3倍とした。
(2)一般の水中コンクリートに比べて粘性が高く、練混ぜ時の負荷が大きいので、練混ぜ量をミキサの公称容量の75%とした。
(3)一般の水中コンクリートに比べて材料分離抵抗性が高いので、打込み条件として水の最大流速を50cm/s、水中落下高さ1.5mとした。
(4)一般の水中コンクリートに比べて材料分離抵抗性が高く、セルフレベリング性に優れているので、水中流動距離の最大値を5mとした。
クリックで【(H27)-No.23】の解答と解説をみる
正解(3)
(1)〇:問題のとおりです。水中不分離性コンクリートは、粘性が非常に高いため、圧勝負荷は通常のコンクリートの2~3倍となります。
(2)〇:問題のとおりです。水中不分離性コンクリートは、粘性が非常に高いため、練混ぜ時の負荷が大きく、練り混ぜ量はミキサの公称容量の80%以下が標準とされています。
(3)×:誤りです。土木学会示方書では、水中不分離性コンクリートの打込み条件として水の流速は5cm/s以下、水中落下高さ50cm以下とされています。
(4)〇:問題のとおりです。水中不分離性コンクリートは、一般の水中コンクリートに比べて材料分離抵抗性が高く、セルフレベリング性に優れているので、水中流動距離の最大値を5mとします。
【(H27)-No.24】
海水の作用を受けるコンクリートに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)打継目は、塩化物イオンの侵入に関して弱点となりやすいため、常時海水と接する海中部を避け、干満部に設けるように施工計画を立てる。
(2)海水がコンクリートに浸透すると、凍結温度が低下するため、海水の作用を受けないコンクリートに比べて凍結融解作用に対する抵抗性が向上する。
(3)海水から侵入する硫酸マグネシウム(MgSO4)は、コンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して膨張性の物質を生成し、コンクリートの劣化の原因となることがある。
(4)水セメント比は、設計基準強度だけでなく、鉄筋の腐食防止も考慮して定める必要があり、飛沫体での水セメント比の最大値は55%とする。
クリックで【(H27)-No.24】の解答と解説をみる
正解(3)
(1)×:誤りです。打継目は塩化物イオン等の外部からの劣化因子が侵入しやすく、弱点となります。塩化物イオン濃度が高くなる干満部は避けます。具体的には、最高潮位から60cm上から最低潮位から下60cmの干満部には、打継目は設けないようにします。
(2)×:誤りです。海水がコンクリートに浸透すると、海水の作用を受けないコンクリートに比べて凍結融解作用に対する抵抗性が低下することが報告されています。
(3)〇:問題のとおりです。海水から侵入する硫酸マグネシウム(MgSO4)は、コンクリート中の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して膨張性の二水せっこうを生成します。さらに、二水せっこうがセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応して膨張性のエトリンガイトを生成し、コンクリートの劣化の原因となることがあります。
(4)×:誤りです。水セメント比は、設計基準強度だけでなく、鉄筋の腐食防止も考慮して定める必要があります。塩害環境下である飛沫体では、水セメント比を45%以下とする必要があります。
【(H27)-No.25】
高流動コンクリートに関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)増粘剤系の高流動コンクリートは、増粘剤によって高い材料分離抵抗性を付与したものであるため、水中での自由落下を伴う打込みにも適している。
(2)高流動コンクリートでは、自己充填性を向上させるために、実積率が大きい粗骨材を用いることが多い。
(3)高流動コンクリートは、単位粗骨材量が小さいため、同一強度の一般のコンクリートに比べてヤング係数が小さくなる。
(4)高流動コンクリートの最大自由落下高さは、土木学会示方書では原則として5m程度、JASS5ではコンクリートの材料分離が生じない範囲と定められている。
クリックで【(H27)-No.25】の解答と解説をみる
正解(1)
(1)×:誤りです。増粘剤系の高流動コンクリートは、水中不分離コンクリートのように、水の洗い作用に対する抵抗性はなく、水中での自由落下を伴う打込みには適用できません。
(2)〇:問題のとおりです。高流動コンクリートでは、自己充填性を向上させるために、粒度分布の良い、実積率が大きい粗骨材を用いることが多いです。
(3)〇:問題のとおりです。高流動コンクリートは、単位粗骨材量が小さいため、同一強度の一般のコンクリートに比べてヤング係数が小さくなります。
(4)〇:問題のとおりです。高流動コンクリートの最大自由落下高さは、土木学会示方書では原則として5m程度、JASS5ではコンクリートの材料分離が生じない範囲と定められています。