【H26_No.6~10】コンクリート主任技士 問題と解説

主任技士過去問解説

【H26_No.6~10】コンクリート主任技士 問題と解説

【(H26)-No.6】

 コンクリートの練混ぜ水に関する次の記述のうち、JIS A 5308付属書C(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)に照らして、正しいものはどれか
(1)上澄水は、水酸化カルシウム等のアルカリ分を多く含んでいたとしても、回収水の品質規格に適合すれば、練混ぜ水として使用してよい。
(2)スラッジ水は、単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量百分率が5%であっても、回収水の品質規定に適合すれば、練混ぜ水として使用してよい。
(3)工業用水と上水道水を混合して用いる場合、塩化物イオンを含んでいても、混合したものが上水道水以外の水の品質規格に適合すれば、練混ぜ水として使用してよい。
(4)河川水と上水道水を混合して用いる場合、懸濁物質を含んでいても、混合したものが上水道水以外の水の品質規格に適合すれば、練混ぜ水として使用してよい。
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正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。上澄水は、回収水の品質規格に適合すれば、練混ぜ水として使用してもよいです。水酸化カルシウム等のアルカリ分量の規定はありません。
(2)×:誤りです。スラッジ水は練混ぜ水といて用いる場合、単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量百分率が3%を超えてはなりません。
(3)×:誤りです。工業用水と上水道水を混合して用いる場合、工業用水は、上水道水以外の水であるので、混合した水は、上水道水以外の水の品質を満足しなければなりません。
さらに、混合前の水は、それぞれの水の品質が、工業用水は上水道水以外の水または回収水の規定に満足し、上水道水は上水道水の規定を満足していなければなりません。
(4)×:誤りです。2種類以上の水を混合して用いる場合、混合前の水の品質が、それぞれの規定を満足していなければなりません。
項目 上水道水の品質 上水道以外の水の品質 回収水の品質
塩化物イオン(Cl)量 200mg/L以下
セメントの凝縮時間の差 始発は30分以内、終結は60分以内
モルタルの圧縮強さの比 材齢7日及び材齢28日で90%以上
懸濁物質の量 2g/L以下
溶解性蒸発残留物の量 1g/L以下

【(H26)-No.7】

 下図は、呼び方が[普通 27 15 20 N]で、空気量4.5%、細骨材率43.5%のレディーミクストコンクリートの配(調)合における水、セメント、細骨材、粗骨材、および空気の容積割合を面積で示したものである。図中の①から④の線を移動させる配(調)合の修正方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。ただし、各線の移動にともなう他の線の副次的な移動は無視するものとする。
(1)試し練りの結果、強度管理材齢における圧縮強度が22.5N/mm2だったので、①の線を左に移動させた。
(2)試し練りの結果、スランプが12.0cmだったので、②の線を上に移動させた。
(3)細骨材の粗粒率が大きくなったので、③の線を右に移動させた。
(4)高い耐凍害性の必要な構造物に用いることになったので、④の線を上に移動させた。
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正解(2)

(1)〇:問題のとおりです。圧縮強度が27N/mm2よりも小さいため、圧縮強度を大きくします。圧縮強度を大きくするためには、水セメント比を小さくする必要があるため、①の線を左に移動します。
(2)×:誤りです。スランプが12.0cmと15.0cmよりも小さいため、スランプを大きくする必要があります。②の線を上に移動させ、同一の水セメント比で、セメントペースト量が減るとスランプは小さくなります。
(3)〇:問題のとおりです。粗粒率を小さくするためには、細骨材率を大きくする必要があります。そのためには、③の線を右に移動させることになります。
(4)〇:問題のとおりです。高い凍害性を得るためには、空気量を増やす必要があります。そのためには、④の線を上に移動させます。

【(H26)-No.8】

 各種構造物に用いるコンクリートの配(調)合計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)設計基準強度27N/mm2のコンクリート構造物を厳しい凍結融解作用を受ける地域で施工する際、普通ポルトランドセメントを用いて、水セメント比を50%、空気量を5.5%とした。
(2)設計基準強度60N/mm2の建築物の柱を施工する際、JASS5に従って、模擬構造部材から採取したコア供試体と標準養生供試体の圧縮強度の差から構造体強度補正値を求めて、調合強度を決めた。
(3)プレストレスとコンクリート橋を施工する際、プレストレス導入材齢3日に圧縮強度30N/mm2が必要なため、早強ポルトランドセメントを用いて、材齢3日および設計規準強度の基準材齢における圧縮強度から水セメント比を定めた。
(4)高密度に配筋されたマスコンクリート構造物を施工する際、高流動コンクリートを用いることとし、普通ポルトランドセメントの30%を石灰石微粉末で内割置換し、水粉体比を32%、単位粗骨材絶対容積を0.40m3/m3とした。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。凍結融解作用を受けるコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いて、計画共用期間の級が標準の場合、設計基準強度は27N/mm2とし、水セメント比を50%、空気量を5.5%を標準値としています。
(2)〇:問題のとおりです。高強度コンクリートの構造体強度補正値は、構造体コンクリート強度の、標準養生供試体の圧縮強度との差から求めます。
(3)〇:問題のとおりです。プレストレスとコンクリート橋を施工する際、プレストレス導入材齢3日に圧縮強度30N/mm2が必要です。そのため、早強ポルトランドセメントを用いて、材齢3日および設計規準強度の基準材齢における圧縮強度から水セメント比を定めることは適切です。
(4)×:誤りです。マスコンクリートの施工では、自己収縮や水和発熱を抑制することが重要です。そのため、自己収縮を大きくする微粉末の使用を避け、単位水量と単位セメント量をできるだけ小さくします。

【(H26)-No.9】

 表-1に示す配(調)合条件で1m3のコンクリートを製造する場合、練混ぜ水の軽量値として、正しいものはどれか。ただし、使用するセメント密度は3.16g/cm3、使用する骨材の品質は表-2に示すとおりであり、軽量時の細骨材の表面水率は5.0%、粗骨材は表乾状態である。
(1)125~129kg/m3
(2)130~134kg/m3
(3)135~139kg/m3
(4)140~144kg/m3
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正解(2)

単位セメント量:170/0.45=377.8
単位セメント容積:377.8/3.16=120L/m3

粗骨材の容積:0.62×1.56/2.65×1000=365.0L/m3

細骨材の容積:1000-(45+170+120+365)=300L/m3
粗骨材の質量:300×2.55=765kg/m3

細骨材の表面水量:765×0.05=38.25kg/m3

練混ぜ水の軽量値:170-38.25=131.75kg/m3

【(H26)-No.10】

 下図は、配(調)合の異なる3種類のフレッシュコンクリートA、B、Cをビンガム流体と仮定したときのせん断応力とせん断ひずみ速度(流動速度)との関係を模式的に表したものである。次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)Aのスランプは、Bに比べて小さい。
(2)Bの材料分離抵抗性は、Cに比べて高い。
(3)Aの振動締固めは、Cに比べて容易である。
(4)Bの圧送時の圧力損失は、Cに比べて大きい。
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正解(4)

(1)×:誤りです。せん断応力が大きい(右側に線がある)と、変形しにくいことを表します。つまり、Bのほうがスランプは小さくなります。
(2)×:誤りです。塑性粘度が大きい(傾きが小さい)ほうが、材料分離抵抗性は高くなります。
(3)〇:問題のとおりです。スランプの大きいAのほうが振動締固めしやすいです。
(4)×:誤りです。塑性粘度が大きい(傾きが小さい)ほうが、圧送負荷が大きくなります。
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