【過去問演習No.141-145】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.141】

暑中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)運搬中のスランプの低下を抑制するため,混和剤をAE減水剤の標準形から遅延形に変更した。
(2)単位水量の増加を防ぐため,混和剤をAE減水剤から高性能AE減水剤に変更した。
(3)コンクリート温度を下げるため,練り混ぜたコンクリートに氷を投入して冷却した。
(4)コンクリートの施工性と品質を保つため,打ち込み時のコンクリート温度を35℃以下にした。
クリックで【No.141】の解答と解説をみる

正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。暑中コンクリートの施工では,コンクリート凝結時間が早まりコールドジョイントの発生などの危険性が高まる。遅延形の混和剤を用い,凝結時間を遅らせるのは標準的な対策の一つです。
(2)○正しい。高性能AE減水剤は,スランプの保持性に優れていること,また,高性能AE減水剤を用いることで単位水量および単位セメント量が低減でき,温度ひび割れ対策としての効果も期待できます。
(3)×誤り。コンクリート温度を下げる方法としてなるべく低い温度の練り混ぜ水を用いることがあげられます。水を氷やフレークアイスや冷凍機により冷却する方法がとられることがあります。練り混ぜたコンクリートに直接,氷を投入することは,均一な練り混ぜや不適切なコンシステンシーのコンクリート製造の原因となるので避けなければなりません。
(4)○正しい。暑中コンクリートに対し,土木学会示方書施工編では打ち込み時のコンクリート温度が35℃以下を標準とし,日本建築学会では,荷卸し時のコンクリート温度が35℃以下としています。暑中施工において,打ち込み時のコンクリート温度を管理することは重要であり,構造物の寸法や配合などに応じて,管理する温度を定めるのがよいです。

【No.142】

寒中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)練上がり温度を高くするため,セメントを加熱して用いた。
(2)水と骨材の温度が,40℃以下となるようにした。
(3)荷卸し時のコンクリートの温度を,10~20℃とした。
(4)初期凍害の防止対策として,給熱(加熱)養生を行った。
クリックで【No.142】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。土木学会示方書施工編では,材料の加熱は水または骨材を加熱することとし,どんな場合でもセメントを直接熱してはならないとしています。高温のセメントが水と接触すると急結し,コンクリートに悪影響が生じる可能性があります。
(2)○正しい。コンクリートの練上り温度は,打ち込み時に所定の温度となるよう気象条件,運搬時間などを考慮して定められます。練上り温度を確保するには,材料を加熱する方法がとられますが,高温の水とセメントが接触することでセメントが急結することのないよう,水と骨材の温度を40℃以下とするのがよいです。
(3)○正しい。打ち込み後の凍結を避けるためには10℃程度を確保する必要がありますが,一方,打ち込み温度を上げるとマスコンクリートでは温度ひび割れが発生する可能性も生じます。土木学会示方書施工編では,打ち込み時のコンクリート温度を5~20℃としています。荷卸しから打ち込みの間の気象条件を考慮し,荷卸し時の温度を10~20℃とするのは適当です。
(4)○正しい。コンクリートが初期凍害を受けると,その後,養生を続けても強度の増進は小さいです。したがって,材齢初期における凍結防止は寒中コンクリート施工の重要な要点であり,風よけと給熱(加熱)養生はその標準的な養生方法です。

【No.143】

寒中コンクリートおよび暑中コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)寒中コンクリート対策として,練上がりのコンクリート温度を上げるため,セメントを40℃に加熱した。
(2)寒中コンクリート対策として,打ち込み後のコンクリート温度を5℃以上に保つため,囲いによる風よけと加熱養生を行った。
(3)暑中コンクリート対策として,練上がりのコンクリート温度を下げるため,粗骨材に冷水を散布した。
(4)暑中コンクリート対策として,コンクリートの凝結時間を遅らせるため,混和剤を標準形から遅延形に変更した。
クリックで【No.143】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。土木学会示方書施工編では,材料の加熱では,水または骨材を加熱することとし,どんな場合でもセメントを直接熱してはならないとしています。高温のセメントが水と接触すると急結し,コンクリートに悪影響が生じる可能性があります。
(2)○正しい。コンクリートが初期凍害を受けると,その後養生を続けても強度の増進は小さいです。したがって,材齢初期における凍結防止は寒中コンクリート施工の重要な要点であり,風よけと給熱はその標準的な養生方法です。
(3)○正しい。練上がりコンクリートの温度を下げる方法として,骨材や水の温度を下げることは有力な方法です。骨材温度を下げる方法としては,貯蔵において直射日光を避けること,冷水散水や液体窒素による冷却などがあります。
(4)○正しい。暑中コンクリートの施工では,コンクリート凝結時間か早まりコールドジョイントの発生などの危険性が高まる。遅延形の混和剤を用い,凝結時間を遅らせるのは標準的な対策の一つです。

【No.144】

寒中および暑中コンクリートの製造・施工計画に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)寒中コンクリートの製造において,ミキサ内の骨材および練り混ぜ水の温度が50℃のときにセメントを投入する計画とした。
(2)寒中コンクリートの施工において,コンクリートが凍結すると予想されたので,スラブ上面を断熱シートで養生する計画とした。
(3)暑中コンクリートの製造において,スランプの低下を抑制するために遅延型のAE減水剤を使用する計画とした。
(4)暑中コンクリートの施工において,練り混ぜから打ち込み終了までの時間を90分以内になる計画とした。
クリックで【No.144】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。寒中コンクリートにおいて材料を加熱する場合,作業が容易なこと,熱容量が大きいことから水の加熱が望ましいです。また,骨材を65℃以上に熱するとセメントを急結させることがあります。土木学会示方書施工編によれば,水と骨材の混合物の温度を40℃以下にしておけば,このような心配はないとされています。
(2)○正しい。寒中コンクリートの養生方法としては,保温養生と給熱養生があります。凍結防止のだめの断熱シート利用は保温養生の一つです。なお。温度が低い場合や断面が薄いような場合のように凍結温度以上に保つことが難しい場合には,給熱養生が用いられます。
(3)○正しい。暑中コンクリートでは,スランプ低下を抑制する方法として,遅延形の減水剤あるいはAE減水剤が用いられます。
(4)○正しい。高い外気温下での品質変化を避けるため,製造から打ち込みまでの時間をなるべく短くするのがよく,土木学会示方書施工編では,練り混ぜ開始から打ち終るまでの時間は1.5時間以内と規定しています。

【No.145】

基礎により下端が拘束されている,水平方向に長い壁状のマスコンクリート構造物における温度ひび割れ対策に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)ブロック長を長くし,配力(鉄)筋(水平方向配置)の量を増やす。
(2)ブロック長を長くし,主(鉄)筋(鉛直方向配置)の量を増やす。
(3)ブロック長を短くし,主(鉄)筋(鉛直方向配置)の量を増やす。
(4)ブロック長を短くし,配力(鉄)筋(水平方向配置)の量を増やす。
クリックで【No.145】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。既設コンクリートによる拘束(外部拘束)は,壁状構造物のブロック長さが長くなるほど,大きくなります。拘束によるひび割れは,鉛直方向(主(鉄)方向)に壁部材を貫通するように生じます。ひび割れ幅を小さくするなど温度ひび割れの影響を低減する方法として,ひび割れ方向と直角な方向にひび割れ制御鉄筋を配置することもあります。
(2)×誤り。既設コンクリートによる拘束(外部拘束)は,壁状構造物のブロック長さが長くなるほど,大きくなります。拘束によるひび割れは,鉛直方向(主(鉄)方向)に壁部材を貫通するように生じます。ひび割れ幅を小さくするなど温度ひび割れの影響を低減する方法として,ひび割れ方向と直角な方向にひび割れ制御鉄筋を配置することもあります。
(3)×誤り。ブロック長さを小さくすることで拘束度を小さくするような対策もあります。拘束によるひび割れは,鉛直方向(主(鉄)方向)に壁部材を貫通するように生じます。ひび割れ幅を小さくするなど温度ひび割れの影響を低減する方法として,ひび割れ方向と直角な方向にひび割れ制御鉄筋を配置することもあります。
(4)○正しい。ブロック長さを小さくすることで拘束度を小さくするような対策もあります。拘束によるひび割れは,鉛直方向(主(鉄)方向)に壁部材を貫通するように生じます。ひび割れ幅を小さくするなど温度ひび割れの影響を低減する方法として,ひび割れ方向と直角な方向にひび割れ制御鉄筋を配置することもあります。
タイトルとURLをコピーしました