【過去問演習(2)No.176-180_製品】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.176】

工場製品に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)即時脱型を行う工場製品には,スランプ2.5cmのコンクリートが用いられる。
(2)促進養生を行う工場製品のコンクリート強度の管理は20℃封かん養生の試験値が用いられる。
(3)蒸気養生における昇温開始までの前養生の時間は,水セメント比が大きいほど短くできる。
(4)部材厚が大きい工場製品では,蒸気養生における最高温度保持後の降温勾配を小さくするのがよい。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。工場製品に使用するコンクリートは,一般的に水セメント比が50%以下,スランプが2~10cm程度の比較的硬練りの配(調)合のものが多いです。しかしコンクリートブロックや無筋コンクリート管など即時脱型を行う製品では,スランプ0cmのコンクリートが用いられます。
(2)×誤り。工場製品の特徴は,製造した製品を用いて各種試験を行いそれらの性能を確認できることにあります。基本的に促進養生を行った製品の強度管理は促進養生した供試体を用いて行います。
(3)×誤り。(常圧)蒸気養生の標準的な方法は,昇温開始までの前養生の時間(練り混ぜ後蒸気を通気させるまでの時間)は,一般的に2~4時間程度です。また,土木学会示方書では水セメント比が大きいほど長くするように記しています。
(4)○正しい。(常圧)蒸気養生において最高温度保持後は,製品にひび割れが生じないよう,大気との温度差がなくなるまで徐々に下げることが重要です。とくに,部材厚が大きい工場製品では,部材の内側と外側で温度差が生じやすいため,最高温度保持後の降温の勾配をさらに小さく管理しなければなりません。

【No.177】

コンクリート製品の成形・締め固めに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)プレストレストコンクリートパイルなどに適用される遠心力締め固めは,型枠を遠心機で回転して成形する方法で,コンクリート中の水分が容易に円筒外側に脱水される。
(2)高流動コンクリートを適用することにより,複雑な形状や狭あい部をもつ部位にもコンクリートを行き渡らせることができ,また充填・締め固めに伴う騒音・振動を低減できる。
(3)インターロッキングブロックなどに適用される即時脱型は,硬練りコンクリートを型枠内に振動をかけながら投入し,振動と加圧による成形後に脱型する方法である。
(4)コンクリート矢板などに適用される加圧締め固めは,圧力を加えて締め固める方法で,コンクリートの脱水により水セメント比が小さくなり,強度や耐久性の増進が図られる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。遠心力締め固めは,筒状の型枠にフレッシュコンクリートを投入した後または投入しながら,遠心機で型枠を回転させることによって成形・製造する方法です。特徴としては,遠心締め固めによって脱水と脱泡が行われ高強度となめらかな表面が得られます。ただし,水分を絞り出すためには回転数を上げて遠心力を高めなけれぱなりませんが,回転数を上げすぎると型枠が円滑に回転せずに踊るようになって材料分離が発生すること,遠心機の車輪や型枠のタイヤの損傷が大きくなることなどの悪影響が生じるため,コンクリート中の水分の脱水方法としては加圧締め固めの方が適しています。
(2)○正しい。高流動コンクリートは従来のコンクリートと比較して高い流動性を有しており,複雑な形状の部材,断面が小さい部材,鉄筋が過密に配筋されている場合など,従来のコンクリートでは密実に充填することが困難な場合に使用されています。また,型枠に投入する際の振動締め固め作業の軽減または不要にも役立っています。
(3)○正しい。即時脱型法は,型枠を置く台に取り付けた外部振動機等を用いて振動締め固めする方法で,硬練りコンクリートを圧力と強力な振動により成形し,その直後に脱型することが可能な成形・締め固め方法です。その特徴を生かし,コンクリートブロックやインターロッキングブロック等の製造に用いられています。
(4)○正しい。加圧締め固めは,型枠にフレッシュコンクリートを投入した後,蓋をして圧力を加え締め固めして成形・製造する方法です。特徴としては,加圧による脱水が行われ水セメント比が低下するため,強度や耐久性の増進が得られます。

【No.178】

コンクリート製品の製造に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)加圧締め固めは,型枠にコンクリートを投入した後にコンクリートに圧力を加えて余剰水を脱水し,締め固めを行う方法である。
(2)遠心力締め固めは,コンクリートを投入した型枠を,遠心力成形機を用いて高速回転させ,脱水,締め固めを行う方法である。
(3)常圧蒸気養生は,コンクリートの打ち込み後,直ちに加温加湿して養生を行う方法である。
(4)オートクレーブ養生は,鋼製で大型の円筒状圧力容器内を高温高圧の飽和蒸気環境としその中で養生を行う方法である。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。加圧締め固めは,型わくにフレッシュコンクリートを投入した後,蓋をして圧力を加え締め固めして成形・製造する方法です。特徴として,加圧による脱水が行われ,水セメント比が低下するため,強度や耐久性の増進が得られます。
(2)○正しい。遠心力締め固めは,筒状の型わくにフレッシュコンクリートを投入した後または投入しながら,型わくを遠心機で回転させることによって成形・製造する方法です。特徴として,遠心締め固めによって脱水と脱泡が行われ高強度となめらかな表面が得られます。
(3)×誤り。常圧蒸気養生は,養生室に蒸気を送り込み加温加湿することで強度の発現を早める製造方法で,養生室の構造はピット式,トンネル式,シート式があります。一般に,前養生時間や最高温度・保持時間などは製品の種類,所要強度,外気温などによって異なります。
(4)○正しい。オートクレーブ養生は,蒸気養生などの一次養生終了後のコンクリート製品を大型の円筒状圧力容器に収納し,高温高圧の飽和蒸気で養生する養生方法です。養生翌日には材齢28日と同程度の強度を得ることができます。

【No.179】

コンクリート製品に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)遠心力締め固めを行う高強度プレストレストコンクリートくいは,ポストテンション方式によって製造される。
(2)オートクレーブ養生するコンクリート製品では,オートクレーブ養生後に蒸気養生が行われる。
(3)常圧蒸気養生を行うコンクリート製品では,昇温前に3時間程度の前養生が行われる。
(4)振動・加圧締め固めを行う即時脱型製品では,スランプ5cm程度のコンクリートが用いられる。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。遠心力締め固め成形法を用いて工場で製造される高強度プレストレストコンクリートくいの製造は,プレテンション方式で行われます。
(2)×誤り。オートクレーブ養生はコンクリートの養生効率を上げ大きな熱変形の繰返しや発錆による型枠の損傷を防止するため,蒸気養生を終えた後の二次養生として行うのが一般的です。
(3)○正しい。蒸気養生は,コンクリート打ち込み後,加熱前に常温で3時間程度の前養生が行われ,その後20℃/h程度の速度で昇温し,数時間最高温度を保持します。さらに半日程度かけて大気温度と大差がなくなるまで徐々に下げます。冷却速度が大きいと製品にひび割れが発生するだけでなく,強度や耐久性に悪影響を及ぼすので十分な温度管理が必要です。
(4)×誤り。圧力と強力な振動により成形し,その直後に脱型する振動・加圧締め固めの即時脱型製品には,スランプ0cmの硬練りコンクリートが使用されます。

【No.180】

コンクリート製品に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)現場施工のコンクリートに比べ,かぶり(厚さ)を小さくすることができる。
(2)コンクリートまくら木は,遠心力締め固めにより製造する。
(3)常圧蒸気養生の温度降下過程では,急速な冷却は行わない。
(4)オートクレーブ養生は,常圧蒸気養生を終えたコンクリートの二次養生として行う。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。コンクリート製品には,一般的に現場施工で使用されるコンクリートよりも配・調合強度の高いコンクリートが使用されています。また,かぶり厚さ確保のための作業精度も現場施工の場合より高く,オートクレーブ養生など高強度化のための特殊な養生が施されていることから,かぷり厚さの小さい製品が製造されています。
(2)×誤り。遠心力締め固めは,型枠を遠心機に乗せて回転させることで成形,締め固めする方法で,一般にパイルやポール,ヒューム管など断面が円形の製品で使用されています。コンクリートまくら木は,一般的には振動締め固めにより製造されています。
(3)○正しい。常圧蒸気養生は,コンクリート打ち込み後,加熱前に常温で3時間程度の前養生が行われ,その後20℃/h程度の速度で昇温し,数時間最高温度を保持します。さらに半日程度かけて大気温度と大差がなくなるまで徐々に下げます。冷却速度が大きいと製品にひび割れが発生するだけでなく,強度や耐久性に悪影響を及ぼすので十分な温度管理が必要です。
(4)○正しい。オートクレーブ養生は,コンクリートの養生効率を上げ,大きな熱変形の繰返しや発錆による型枠の損傷を防止するため,常圧蒸気養生を終えた後の二次養生として行うのが一般的です。
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