【過去問演習No.151-155】コンクリート技士 問題と解説

技士
【No31】聞き流し_コンクリート技士_一問一答
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【No.151】

マスコンクリートの温度ひび割れに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)内部拘束によるひび割れは,材齢初期の部材内部の温度が高いほど発生しやすい。
(2)外部拘束によるひび割れは,部材内部の温度が最高温度に達した頃に発生しやすい。
(3)内部拘束によるひび割れ対策として,保温性のよい型枠の使用が有効である。
(4)外部拘束によるひび割れ対策として,ひび割れ誘発目地の設置が有効である。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。マスコンクリートでは比較的初期の材齢において,温度降下の早い表面部は収縮しようとし,これを温度上昇過程あるいは温度降下過程にあっても降下速度の遅い内部のコンクリートが拘束することでひび割れが生じる場合があります。これが内部拘束による温度ひび割れです。
(2)×誤り。部材中のコンクリート温度は最高温度に達した後,周囲の環境温度に収束するまで降下します。基礎地盤や既設のコンクリート部材の拘束によって生じる外部拘束応力(引張)はこの温度降下過程で徐々に増加し,引張応力度が限界値をこえた時にひび割れが生じます。
(3)○正しい。内部拘束ひび割れを抑制するには,内外部の温度差を小さくするのが有効です。保温性のよい材料で表面を覆うことで,内外部の温度差が小さくできるとともに,気温の変動による影響も緩和できます。
(4)○正しい。ひび割れ誘発目地とは,あらかじめ切欠きなどを設けた断面欠損部にひび割れを発生させようとするもので,外部拘束によって生じる貫通ひび割れの制御対策の一つです。構造物の耐久性確保の観点から,事前あるいは,ひび割れ誘発後に目地部に適切な処置を施すことが重要です。

【No.152】

スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)ベースコンクリートを工事現場に運搬し,トラックアジテータ内のコンクリートに流動化剤を添加して撹拌する計画とした。
(2)細骨材率は,スランプ12cmの一般のコンクリートと同じとした。
(3)流動化剤の使用量は,コンクリートの温度によって変化させた。
(4)流動化後の圧縮強度は,ベースコンクリートの圧縮強度と同等であるとみなして発注した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。流動化剤は,練り混ぜ水と同時に添加するよりも,練り混ぜ水の添加から遅れて添加するほうが効果は大きいです。通常は,ベースコンクリートを現場に運搬し,現場にて流動化剤を添加して撹拌する方法が用いられます。
(2)×誤り。流動化コンクリートは,セメントペースト量の少ない硬練りのベースコンクリートを流動化させたものであるため,一般のスランプ18cmのコンクリートに比べて,材料分離を起しやすくなります。そのため,流動化コンクリートに用いるベースコンクリートは,流動化後のスランプと同じスランプの一般のコンクリートの細骨材率を使用するのがよいです。
(3)○正しい。スランプの増大量が同じ場合の流動化剤の使用量は,5~30℃のコンクリート温度の範囲では,温度が高いほうがやや少なくて済むことが多く(ただし,流動化後のスランプの経時的な低下量は温度が高いほど大きい),コンクリートの温度に応じて変化させるのがよいです。
(4)○正しい。流動化コンクリートの圧縮強度は,空気量がほぼ同じであれば,ベースコンクリートの圧縮強度と同程度です。

【No.153】

流動化コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)細骨材率は,ベースコンクリートと同じスランプの一般のコンクリートよりも小さくする。
(2)コンクリートの温度が5~30℃での範囲では,流動化剤の添加量は,温度の高い方がやや少なくて済む。
(3)流動化の時期が遅くなると,流動化後のスランプの経時的な低下量は大きくなる傾向がある。
(4)流動化後20~30分以内に打ち込みを完了させるのがよい。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。流動化コンクリートは,同じスランプの通常のコンクリートに比べてセメントペースト量が少ないため,通常の硬練りコンクリートの配合をそのままベースコンクリートに用いると材料分離を起しやすくなります。そのため,流動化コンクリートに用いるベースコンクリートでは,流動化後のスランプと同程度の軟練りコンクリートの細骨材率を使用し,細骨材率を大きくするのがよいです。
(2)○正しい。流動化コンクリートに用いる流動化剤の添加量は,5~30℃でのコンクリート温度の範囲では,温度が高いほうがやや少なくて済むことが多いです。ただし,流動化後のスランプの経時的な低下量は温度が高いほど大きいです。
(3)○正しい。ベースコンクリートの練り混ぜから1.5時間程度の間では,どの時期に流動化剤を添加してもほぼ同じスランプの増大量が得られますが,流動化後のスランプの経時的な低下量は添加時期が遅くなるほど大きくなります。
(4)○正しい。流動化コンクリートは,通常のAE減水剤を用いたコンクリートに比べて,混和剤添加後からのスランプの経時的な低下が大きいです。そのため,流動化コンクリートは流動化後20~30分以内に打ち込みを完了させるのがよいです。

【No.154】

高流動コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)単位粗骨材量は,所定の間げき通過性を確保するため,一般のコンクリートより小さくなる。
(2)練り混ぜ時間は,一般のコンクリートより長くなる。
(3)コンクリートの圧送負荷は,一般のコンクリートの1/4~1/2程度となる。
(4)打ち込み時に型枠下部に作用する側圧は,一般のコンクリートより大きくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。高流動コンクリートの配合設計では,構造物の形状,寸法,配筋状態を考慮して自己充てんレベルを設定し,「充てん装置を用いた間げき通過性試験」により適切な範囲の単位粗骨材量を設定します。通常は,所定の間げき通過性を確保するために,一般のコンクリートより単位粗骨材量を小さくします。
(2)○正しい。高流動コンクリートは,一般のコンクリートと比較して,降伏値が小さく塑性粘度が大きいです。土木学会高流動コンクリート施工指針では,練り混ぜ性能の優れたミキサ(強制練りミキサ)を用いる,1回の練り混ぜ量をミキサ最大容量の80~90%とする,練り混ぜ時間を90秒以上とすることを原則としており,練り混ぜ時間は一般のコンクリートより長くします。
(3)×誤り。高流動コンクリートは塑性粘度が大きいため,ポンプ圧送時の負荷は,一般のコンクリートに比べて大きくなります。とくに,粉体系高流動コンクリートでは単位結合材量が多くなるほど,圧送負荷が増加します。
(4)○正しい。高流動コンクリートは,単位水量を過大にせずに流動性を向上させるために,高性能AE減水剤等を使用します。高性能AE減水剤はコンクリートの凝結を遅延させる効果があるため,型枠に作用する側圧は通常のコンクリートよりも大きくなります。型枠は液圧として設計するのが原則です。

【No.155】

流動化コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)ベースコンクリートからのスランプ増大量は,10cm以上15cm以下を原則とする。
(2)細骨材率は,流動化後のスランプと同程度のスランプのコンクリートの値を用いる。
(3)流動化後の圧縮強度は,ベースコンクリートと同程度である。
(4)細骨材の微粒分が不足すると,流動化後に材料分離が生じやすくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。ベースコンクリートからのスランプの増加量が過大であると,所要のワーカビリティーの確保が難しくなります(材料分離が生じやすくなる)ため,流動化剤添加によるスランプの増加量は10cm以下が原則とされています。
(2)○正しい。流動化コンクリートは,同じスランプの通常のコンクリートに比べてセメントベースト量が少ないため,通常の硬練りコンクリートの配合をそのままベースコンクリートに用いると材料分離を起こしやすくなります。そのため,流動化コンクリートに用いるベースコンクリートは,流動化後のスランプと同程度の軟練りコンクリートの細骨材率を使用するのが一般的です。
(3)○正しい。流動化コンクリートの圧縮強度は,空気量がほぼ同じであれば,ベースコンクリートのものと同程度です。
(4)○正しい。流動化コンクリートは,細骨材の0.3mmあるいは0.15mm以下の微粒分が不足すると流動化後に分離しやすくなり,ブリーディングが大きくなることがあります。このような場合,石灰石微粉末やフライアッシュなどを加えることで0.3mm以下の微粒分子の量を確保することもあります。
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