【過去問演習No.81-85】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.81】

同一スランプのコンクリートを得るための細骨材率の一般的な補正に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)水セメント比を大きくすることにしたので,細骨材率を小さくした。
(2)空気量を小さくすることにしたので,細骨材率を小さくした。
(3)粗粒率の大きい細骨材に変更したので,細骨材率を小さくした。
(4)粗骨材を砕石から川砂利に変更したので,細骨材率を小さくした。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。同一スランプを得るために,水セメント比を大きくする場合,単位水量が多くなり,細骨材率は大きくする必要があります。
(2)×誤り。同一スランプを得るために,空気量を小さくした場合,細骨材率は大きくする必要があります。
(3)×誤り。同一スランプを得るために,粗粒率の大きい骨材に変更した場合,細骨材率は大きくする必要があります。
(4)○正しい。同一スランプを得るために,粗骨材を砕石から川砂利に変更した場合,粗骨材の実積率が大きくなるため,細骨材率は小さくする必要があります。

【No.82】

同一スランプのコンクリートを得るための単位水量の一般的な補正に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)空気量を大きくすることにしたので,単位水量を小さくした。
(2)微粒分の多い細骨材に変更したので,単位水量を小さくした。
(3)実積率の大きい粗骨材に変更したので,単位水量を小さくした。
(4)AE減水剤から高性能AE減水剤へ変更したので,単位水量を小さくした。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。一般に,コンクリートの空気量を1%大きくすると,単位水量は3%だけ小さくします。
(2)×誤り。微粒分(75μmふるいを通過する微粒子の全量)の多い細骨材を使用すると,単位水量は増加します。
(3)○正しい。実積率の大きい粗骨材に変更した場合,密実なコンクリートになるため単位水量を小さくすることができます。
(4)○正しい。AE減水剤から高性能AE減水剤へ変更した場合,減水効果が大きくなるため単位水量を小さくすることができます。

【No.83】

コンクリートの配(調)合設計に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)水セメント比を大きくすると,中性化速度は速くなる。
(2)スランプが一定の条件で,粗骨材の最大寸法を大きくすると,モルタルの単位量を少なくできる。
(3)水セメント比が一定の場合,空気量が1%増えると,圧縮強度は4~5%増加する。
(4)配(調)合の補正において,細骨材率を大きくしたので,単位水量を小さくした。
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正解は(1)と(2)

【解説】
(1)○正しい。水セメント比は中性化速度と深さに関して大きく影響を与える。水セメント比が大きくなると毛細管空隙が多くなり,その結果セメントペーストの透気性が増大するため,中性化深さと水セメント比の関係は正の傾きをもつ一次関数で表すことができます。ルートt則より,中性化速度と深さは比例関係であることから,水セメント比の増大により中性化速度も速くなります。
(2)○正しい。コンクリートのスランプが一定という条件で,粗骨材の最大寸法が大きくなると骨材の比表面積が減少し,コンクリート中の骨材の空隙率が小さくなるため,単位水量と単位セメント量が少なくできます。すなわち,粗骨材の最大寸法を大きくすると,モルタルの単位量を少なくできます。
(3)×誤り。水セメント比が一定の場合,AE剤等を用いて空気量が1%増えるとコンクリート中の空隙が増加しポーラスになるため,圧縮強度はおよそ4~6%減少します。
(4)×誤り。単位水量および単位セメント量が等しい場合,細骨材率が大きいほどスランプは小さくなることから,同じスランプとするためには単位水量を大きくすることが必要です。

【No.84】

コンクリートの配(調)合設計に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)配(調)合設計において,細骨材を粗粒率の小さいものに変更したので,同一のスランプを得るために,細骨材率を大きくして単位水量を小さくした。
(2)配(調)合設計において,粗骨材を実積率の大きいものに変更したので,同一のスラップを得るために,単位水量を大きくした。
(3)スランプを同一とする配(調)合設計において,凍結融解に対する抵抗性を高めるために,AE剤添加量を大きくして単位水量を小さくした。
(4)強度を変えずに空気量を増加させるために,水セメント比,単位水量および細骨材率を小さくして,AE剤の使用量を増やした。
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正解は(3)と(4)

【解説】
(1)×誤り。コンクリートの配(調)合に関する問題。細骨材の祖粒率を小さいものに変更する場合,同一のスランプを得るために細骨材率と単位水量の定め方を問う。細骨材の粒度は,コンクリートの空気量,ブリーディング量,ワーカビリティー等に及ぼす影響が大きいです。粗粒率の小さいものに変更すると,一般に,粗粒率が0.1小さくなるごとに細骨材率を0.5%小さくします。この場合,単位水量の補正を行わないが,粗粒率が小さくなると,細骨材の粒度が細かくなり単位水量が増大します。
(2)×誤り。粗骨材を実積率の大きいものに変更すると,粒形がよくなり単位容積質量が大きくなるため,同一スランプを得るためには単位水量を減ずることができます。
(3)○正しい。AE剤添加量を大きくすると,自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する連行空気量が多くなり,凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性が増大します。また,スランプを同一とする配(調)合設計においては,AE剤添加量を大きくすると,ワーカビリティーが改善され,所要のコンシステンシーを得るための単位水量を減少させることができます。
(4)○正しい。空気量を増加させると強度が下がり,かつ流動性が増すため,水セメント比を小さくし,単位水量を減らすことによって品質を確保する必要があります。また,細骨材率を小さくすると空気量が若干増加します。したがって,コンクリートの強度を変えずに空気量を増加させるためには,上記の対応を行った上で,AE剤を増やすことが適当です。

【No.85】

コンクリートの計量および練り混ぜに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)JISA5308(レディーミクストコンクリート)では,高炉スラグ微粉末の計量誤差を1回計量分量に対して±2%としている。
(2)JISA5308(レディーミクストコンクリート)では,水は,あらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加して計量してもよいとしている。
(3)均質なコンクリートを得るための練り混ぜ時間は,強制練りミキサの方が重力式ミキサよりも短い。
(4)高強度コンクリートや高流動コンクリートの練り混ぜ時間は,一般のコンクリ一トよりも長くなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。JISA5308-2011(レディーミクストコンクリート)では,材料の1回計量分量の計量誤差は,セメントおよび水にあっては±1%,骨材および混和剤にあっては±3%,混和材にあっては±2%と規定しています。ただし,高炉スラグ微粉末は,混合材の分量が多いことおよびセメントと同様に結合材であることにより,1回計量分量の計量誤差は,±1%と規定されています。
(2)○正しい。JISA5308では,セメント,骨材,水および混和材料は,それぞれ別々の計量器によって計量しなければなりません。なお,水は,あらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加して計量してもよいと規定しています。
(3)○正しい。強制練りミキサは,重力式ミキサに比し,均質なコンクリートを得るための練り混ぜ時間は短い。
(4)○正しい。高流動コンクリートは,高性能AE減水剤または高性能減水剤の使用による高い流動性と,水紛体比の減少(紛体量の増加)または増粘剤の使用によるフレッシュ時の適正な材料分離抵抗性を有するコンクリートです。また,高強度コンクリートは,高い強度を有するために水結合材比を小さくする必要があり,高性能AE減水剤または高性能減水剤の使用が不可欠です。したがって,高流動コンクリートや高強度コンクリートの練り混ぜにあっては,通常のコンクリートより多い紛体,増粘剤,高性能AE減水剤または高性能減水剤などの材料を均一な状態に分散させる必要があるため,練り混ぜ時間は,通常のコンクリートよりも長くなります。
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