【過去問演習(3)No.51-55_性質】コンクリート技士 問題と解説

技士
【No3-11】聞き流し_コンクリート技士_一問一答
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【No.51】

コンクリートのひび割れの特徴に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)乾燥収縮によるひび割れは,乾燥収縮が周囲の拘束によって妨げられることで発生する現象で,拘束力が比較的大きい開口隅角部などに発生しやすい。
(2)コンクリート中に塩化物イオンが一定量存在すると,鉄筋表面の不動態皮膜が部分的に破壊され腐食しやすくなる。
(3)マスコンクリートなど部材断面の大きいコンクリート構造物では,打設直後から数日の間は,セメントの水和反応による内部温度の上昇や以後の冷却によって内部に熱応力や熱ひずみが生じ,これによって温度ひび割れが発生しやすい。
(4)打設直後・ブリーディングに伴うコンクリート表層部の沈降が,鉄筋などによって拘束されると,鉄筋の上面に沿ってひび割れが発生しやすくなる。
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正解は全て

【解説】
(1)○正しい。乾燥収縮によるひび割れは,乾燥収縮が周囲の拘束によって妨げられることで発生する現象で,拘束力が比較的大きい開口隅角部などに発生しやすいです。また,施工後,比較的早い時期に発生します。
(2)○正しい。コンクリート中に塩化物イオンが一定量存在すると,鉄筋表面の不動態皮膜が部分的に破壊され腐食しやすくなります。これが,塩害による鉄筋腐食です。鉄筋の腐食で生じたさび(水酸化第二鉄など)の体積は,もとの鉄筋より大きい(2~3倍)ので,その膨張圧によってかぶり部分のコンクリートが鉄筋に沿ってひび割れます。塩化物イオンには,海砂,混和剤,セメント,練り混ぜ水などに最初から含まれている内在塩化物イオンと,飛来塩化物や海水飛沫,凍結防止剤などの外部から浸透する外来塩化物イオンに大別されます。塩化物イオンの量や種類によってひび割れの発生する時期は異なりますが,内在塩化物イオンの濃度が高い場合は数年で発生する事例もあります。
(3)○正しい。マスコンクリートなど部材断面の大きいコンクリート構造物では,打設直後から数日の間は,セメントの水和反応による内部温度の上昇や以後の冷却によって内部に熱応力や熱ひずみが生じ,これによって温度ひび割れが発生しやすすくなります。
(4)○正しい。打設直後・ブリーディングに伴うコンクリート表層部の沈降が,鉄筋などによって拘束されると,鉄筋の上面に沿ってひび割れが発生しやすくなります。

【No.52】

硬化コンクリートの性質に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)粗骨材の最大寸法が大きいコンクリートは,透水係数が大きくなる。
(2)緻密なコンクリートは,急激な加熱による爆裂が生じにくくなる。
(3)吸水性が高いコンクリートは,表面が汚れやすくなる。
(4)多量の気泡を導入したコンクリートは,熱伝導率が小さくなる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。粗骨材の最大寸法が大きくなると粗骨材の下面の水隙が大きくなり,水の通り道ができやすくなります。このようなコンクリートは水密性が低く,透水係数が大きくなります。
(2)×誤り。コンクリートの組織が緻密で水蒸気の移動や蒸発が起りにくい水セメント比の小さい高強度コンクリートなどは,火災時など急激な加熱を受けると水分の膨張圧によって爆裂を生じる可能性が高くなります。
(3)○正しい。水セメント比の大きいコンクリートは,セメントペーストの毛細管が大きくなり,水の通路ができやすくなります。そのため,吸水性の高いコンクリートになります。このようなコンクリートの表面は凹凸が多く雨水などを吸水しやすく,乾燥後に雨水に溶け込んでいた大気中の粉じん等が固着し,表面が汚れやすくなります。また,セメントの水和生成物である水酸化カルシウムが浸人した雨水に溶け,コンクリート表面に溶出し,さらに炭酸ガスと化合して炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムとなりエフロレッセンス(白華)がコンクリート表面に生成されます。
(4)○正しい。石灰質原料(CaO)と珪酸質原料(SiO2)を主原料にして発泡剤(アルミニウム粉末)を加えて大量の気泡を導入した気泡コンクリート,および軽量コンクリートなどは,内部に空気の断熱層を有するため,普通コンクリートよりも熱伝導率が小さいです。

【No.53】

同一のコンクリートにより作製されたコンクリート供試体の圧縮強度の試験結果に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)直径が150mmで高さが300mmの円柱供試体の圧縮強度の試験値は,直径が100mmで高さが200mmの円柱供試体に比べて大きい。
(2)直径が100mmで高さが200mmの円柱供試体の圧縮強度の試験値は,直径が100mmで高さが100mmの円柱供試体に比べて大きい。
(3)形状および寸法が同一の場合,載荷速度が遅くなると,圧縮強度の試験値は大きくなる。
(4)形状および寸法が同一の場合,強度試験時において,湿潤状態にあるよりも乾燥状態にある方が,圧縮強度の試験値は大きい。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。供試体の形状が相似である場合,供試体の寸法が大きいほど見かけの圧縮強度は小さくなります。ただし,一般的には直径15cm(高さ30cm)の供試体と直径10cm(高さ20cm)の供試体の圧縮強度は実用上,同じと考えてよいです。
(2)×誤り。供試体の形状は,一般的には,高さと直径との比率が小さくなると見かけの圧縮強度は大きくなります。
(3)×誤り。圧縮強度試験時の載荷速度はコンクリートの破壊性状に大きな影響を及ぼします。一般的には,載荷速度が速くなると見かけの圧縮強度は増大します。なお,JISA1107ー2012(コンクリートからのコアの採取方法及び圧縮強度試験方法)および,JISAU08ー2006(コンクリートの圧縮強度試験方法)では,載荷速度を毎秒0.6±0.4N/mm2と規定しています。
(4)○正しい。圧縮強度試験時に供試体が湿潤状態(濡れた状態)にある場合は,乾燥状態にある供試体よりも見かけの圧縮強度が小さくなります。

【No.54】

コンクリートの力学特性および変形性状に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)圧縮強度は,低強度になるほど骨材の強度の影響を受けやすい。
(2)曲げ強度は,圧縮強度の1/5~1/8程度である。
(3)静弾性係数は,圧縮強度が低くなると小さくなる。
(4)圧縮時のポアソン比は1/5~1/7程度である。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。骨材の強度がコンクリートの圧縮強度に影響を及ぼすことは一般的にはほとんどありません。しかし,軽石などの軟質な骨材が用いられた場合には,セメント水比を増加させても圧縮強度が増加しない場合があります。
(2)○正しい。コンクリートの曲げ強度と圧縮強度の比率は一般的には1/5~1/8程度です。
(3)○正しい。コンクリートの静弾性係数と圧縮強度の関係は,一般的に圧縮強度が大きくなると小さくなります。
(4)○正しい。コンクリートに軸方向の応力を加えたとき,その軸方向の歪みと直角方向の歪みの絶対値の比をポアソン数,ポアソン比といいます。一般に,コンクリートの圧縮時のポアソン比は1/5~1/7程度です。

【No.55】

コンクリートの乾燥収縮に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの単位粗骨材量が多いほど,乾燥収縮ひずみは大きくなる。
(2)コンクリートの単位水量が多いほど,乾燥収縮ひずみは小さくなる。
(3)骨材の弾性係数が大きいほど,乾燥収縮ひずみは小さくなる。
(4)同一体積のコンクリート部材では,表面積が小さいほど,乾燥初期の収縮ひずみは大きくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。コンクリートの乾燥収縮は,モルタルやセメントペースト中の水分の移動によって発生する現象で,乾燥によって収縮し,吸水によって膨張します。しかし,粗骨材は水分の移動による体積変化がモルタルやセメントペーストに比べきわめて小さいです。よって単位粗骨材量が多くなるほど,乾燥収縮ひずみは小さくなります。
(2)×誤り。コンクリートの乾燥収縮ひずみは,単位水量や単位セメント量が多いほど大きくなります。
(3)○正しい。コンクリートの乾燥収縮ひずみは,弾性係数の大きい骨材を使用したコンクリートほど小さくなります。
(4)×誤り。体積が同一の部材では,一般的に部材断面の寸法が大きくなるほど表面積が小さくなるため,乾燥によって失われる単位時間当りの水分量が少なくなります。このため,コンクリートの乾燥収縮率も小さくなります。
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