【過去問演習(3)No.6-10_材料】コンクリート技士 問題と解説

技士
【No3-2】聞き流し_コンクリート技士_一問一答
運動や通勤をしながら、コンクリート技士試験の学習ができるように、自分用に作成しました。資格試験は聞き流しで学習して、効率よく合格したいですよね!ぜひ、チャンネル...

【No.6】

JISR5210(ポルトランドセメント)に規定されている普通・早強・中庸熱・低熱ポルトランドセメントに関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く,28日以内の早期強度の発現に寄与する。
(2)けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さい。
(3)低熱ポルトランドセメントは普通ポルトランドセメントよりもC2Sの含有量が多い。
(4)早強ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントよりもC2Sの含有量が多い。
クリックで【No.6】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く,28日以内の早期強度の発現に寄与します。
(2)○正しい。けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さいです。
(3)○正しい。低熱ポルトランドセメントは普通ポルトランドセメントよりもC2Sの含有量が多いです。
(4)×誤り。C2Sの含有量が多い順は,低熱,中庸熱,普通,早強です。

【No.7】

JISR5201(セメントの物理試験方法)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)セメントの密度試験には,ルシャテリエフラスコとイオン交換水を使用する。
(2)セメントの比表面積試験には,ブレーン空気透過装置を使用する。
(3)セメントの凝結試験には,ビカー針装置を使用する。
(4)セメントの安定性試験には,パット法とルシャテリ工法の2種類の方法がある。
クリックで【No.7】の解答と解説をみる

正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。セメントは,加水直後から水和が始まり,しだいに流動性を失い硬化します。セメントの密度試験は,ルシャテリエフラスコおよびセメントと水和反応をしない鉱油を用い,一定質量の試料を入れ試料の体積を測定して求めます。イオン交換水は,水和反応するため用いません。
(2)○正しい。セメントの比表面積は,ブレーン空気透過装置を用い,マノメータ液の降下する時間を測定して求めます。
(3)○正しい。セメントの凝結試験は,温度20±2℃,相対湿度50%以上で,標準軟度のペーストについて,ビカー針装置を用い,始発用と終結用の標準針が所定の貫入量に達する時間を測定して求めます。
(4)○正しい。セメントの安定性試験は,パット法とルシャテリ工法の2種類の方法があります。安定性が劣るセメントは,水と反応して,凝結または硬化中に膨張による異常な体積変化を生じることがあります。原因は,セメント中に未反応の石灰,酸化マグネシウムが過剰に含まれていることによります。パット法は,ガラス板上に成型したパット状のセメントペースト(標準軟度)を24時間湿空養生した後,90分間煮沸し,膨張性ひび割れ,あるいは,そりの有無を検査し判定します。ルシャテリ工法は,セメントペーストを指示針の付いた円筒形の試験器具に詰めて,2枚のガラス板で挟み,24時間湿空養生後にガラス板を外し3時間煮沸し,煮沸前後の指示針間の距離を比較して安定性の尺度とします。

【No.8】

セメントの性質に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)セメントの比表面積が大きいほど,早期の強度発現は大きくなる。
(2)セメントの比表面積が大きいほど,早期の収縮は大きくなる。
(3)けい酸三カルシウム(C3S)が多いほど,早期の強度発現は大きくなる。
(4)けい酸二カルシウム(C2S)が多いほど,早期の収縮は大きくなる。
クリックで【No.8】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。一般に,セメントの比表面積が大きいほど,反応速度が大きく,強度の発現は早く,水和熱は大きくなります。
(2)○正しい。一般に,セメントの比表面積が大きいほど,乾燥収縮は大きくなります。
(3)○正しい。けい酸三カルシウム(C3S)は,水和反応速度が比較的早く,28日以内の早期強度の発現に寄与します。したがってC3Sが多いほど早期の強度発現は大きくなります。
(4)×誤り。けい酸二カルシウム(C2S)は,水和反応速度が遅く,28日以降の長期強度に寄与し,水和熱は小さく,乾燥収縮も小さいです。したがってC2Sが多いほど,収縮は小さくなります。

【No.9】

JISR5210(ポルトランドセメント)の規定に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
(1)普通ポルトランドセメントでは,少量混合成分の合量の上限値が規定されている。
(2)早強ポルトランドセメントでは,材齢1日の圧縮強さの下限値が規定されている。
(3)中庸熱ポルトランドセメントでは,水和熱の上限値が規定されている。
(4)低熱ポルトランドセメントでは,けい酸二カルシウム(C2S)の上限値が規定されている。
クリックで【No.9】の解答と解説をみる

正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。JISR5210では,普通ポルトランドセメントの混合材の分量を5%以下と上限値を規定しています。
(2)○正しい。早強ポルトランドセメントは,早期に大きい強度(3日で普通ポルトランドセメントの7日強度に相当)が得られます。JISR5210では,圧縮強さを材齢1日にあっては10.0N/mm2以上,3日にあっては20.0N/mm2以上,7日にあっては32.5N/mm2以上,28日にあっては47.5N/mm2以上と下限値を規定しています。
(3)○正しい。中庸熱ポルトランドセメントは,水和熱を低減するために,けい酸三カルシウム(C3S)およびアルミン酸三カルシウム(C3A)の含有量を減じ,けい酸二カルシウム(C2S)の含有量を多くしています。JISR5210ではC3Sを50%以下,C3Aを8%以下,水和熱を7日材齢で290J/g以下,28日材齢で340J/g以下と上限値を規定しています。
(4)×誤り。低熱ポルトランドセメントは,水和熱を低減するためにけい酸二カルシウム(C2S)を中庸熱ポルトランドセメントよりもさらに多くしています。JISR5210では,C2Sを40%以上と下限値を,C3Aを6%以下,水和熱を7日材齢で250J/g以下,28日材齢で290J/g以下と上限値を規定しています。

【No.10】

各種セメントに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)ポルトランドセメントの焼成工程では,粉砕した石灰石他の原料を1450℃程度の高温で焼成する。
(2)エコセメントは,高強度コンクリートを用いる鉄筋コンクリートに適している。
(3)フライアッシュをセメントの一部に置換して用いると,水和熱による温度上昇を低減できる。
(4)JISR5210(ポルトランドセメント)において,早強ポルトランドセメントの強熱減量は5.0%以下と規定されている。
クリックで【No.10】の解答と解説をみる

正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。普通ポルトランドセメント1tを製造するための主原料の原単位は,およそ石灰石1120kg,粘土180kg,けい石80kg,鉄原料30kg,凝結調整のためのせっこう40kgです。原料工程で原料を乾燥粉砕し均一に調合・混合します。焼成工程で半溶融するような高温(およそ1450℃)で焼成し急冷してクリンカーとします。仕上げ工程で反応がきわめて速いアルミン酸三カルシウムの水和による瞬結を防止するため,クリンカーにせっこうを3~4%加えて微粉砕し,ポルトランドセメントとします。
(2)×誤り。エコセメントは,都市ごみ焼却灰を主として下水汚泥などの廃棄物を従として製品1tにつき乾燥ベースで500kg以上使用して作られるセメントで,セメント中の塩化物イオン量が0.1%以下の普通エコセメントとセメント中の塩化物イオン量が0.5%以上1.5%以下の速硬エコセメントの2種類に分けられます。高強度コンクリートは単位セメント量が多く,普通エコセメントを用いると塩化物含有量が0.30kg/m3をこえ,鉄筋の腐食発生限界をこえるリスクが高くなるので,エコセメントは,高強度コンクリートを用いる鉄筋コンクリートには適用しません。
(3)○正しい。セメントクリンカーの組成化合物のうち,水和熱に寄与するものはアルミン酸三カルシウムとけい酸三カルシウムです。フライアッシュをセメントの一部に置換して用いると,セメント中のアルミン酸三カルシウムやけい酸三カルシウムを相対的に少なくできること,およびフライアッシュ中の活性の二酸化けい素,酸化アルミニウムが水の存在下でセメントの水和で生成した水酸化カルシウムと長時間かけて反応し不溶性の物質を生成し硬化する(ポゾラン反応)ことにより,水和熱による温度上昇を低減できます。
(4)○正しい。普通ポルトランドセメントの三酸化硫黄の規格値は「3.5%以下」,普通・早強・超早強の各ポルトランドセメントの強熱減量は「5.0%以下」です。
タイトルとURLをコピーしました