【過去問演習No.101-105】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.101】

次の記述のうち,JISA5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして,正しいものはどれか。
(1)レディーミクストコンクリートの運搬時間の限度は,購入者と協議のうえ,120分にすることができる。
(2)レディーミクストコンクリート納入書の配合表において,配合の種別が修正標準配合となっている場合,製造時の計量値から算出した単位量が記載されている。
(3)コンクリートを製造する場合,混和材はセメントに累加して計量してよい。
(4)打ち込み地点におけるスランプまたはスランプフローおよび空気量を,品質として定めている。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。JISA5308では,「レディーミクストコンクリートの運搬時間は,生産者が練り混ぜを開始してから運搬車が荷卸し地点に到着するまでの時間とし,その時間は1.5時間以内とします。ただし,購入者と協議のうえ,運搬時間の限度を変更することができます。」と規定しています。したがって,レディーミクストコンクリートの運搬時間の限度を購入者と協議のうえ,120分に変更することができます。
(2)×誤り。修正標準配合とは,出荷時のコンクリート温度が標準配合で想定した温度より大幅に相違する場合,運搬時間が標準状態から大幅に変化する場合,もしくは,骨材の品質が所定の範囲を超えて変動する場合に標準配合の修正を行った配合です。レディーミクストコンクリートの配合表において,配合の種別が修正標準配合となっていれば,製造時の計量値から算出した単位量ではなく,修正標準配合の単位量を記載します。
(3)×誤り。JISA5308ー2011(レディーミクストコンクリート)では,「セメント,骨材,水及び混和材料は,それぞれ別々の計量器によって計量しなければなりません。なお,水は,あらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加して計量してもよいです。」と規定しています。したがって,混和材はセメントに累加して計量できません。
(4)×誤り。JISA5308では,「この規格は,荷卸し地点まで配達されるレディーミクストコンクリートについて規定します。配達されてから後の運搬,打ち込み及び養生については適用しません。」と適用範囲を明確に規定しています。したがって,品質項目として定めているスランプまたはスランプフロー,および空気量は荷卸し地点でのものであり,打ち込み地点でのものではありません。

【No.102】

次の記述のうち,JISA5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして,正しいものはどれか。
(1)[高強度505020L]のスランプフローの許容差は,±2.5cmである。
(2)コンクリートを製造する場合,水を容積で計量してはならない。
(3)コンクリートを製造する場合,各種スラグ粗骨材を高強度コンクリートに用いることはできない。
(4)フレッシュコンクリート中に含まれる塩化物量の上限値は,塩化ナトリウム(NaCl)として0.30kg/m3である。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。スランプフローが50cmのレディーミクストコンクリートで,荷卸し地点でのスランプフローの許容差は±7.5cmです。
(2)×誤り。JISA5308では,材料の計量方法について,「水及び混和剤の計量は,質量又は容積によります。」と規定しています。よって,記述は誤りです。
(3)○正しい。JISA5308ー2009(レディーミクストコンクリート)では,使用する骨材について,「骨材は,附属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)に適合するものを用います。ただし,再生骨材Hは,普通コンクリート及び舗装コンクリートに適用します。また,各種スラグ祖骨材は,高強度コンクリートには適用しません。」と規定しています。
(4)×誤り。JISA5308では,「レディーミクストコンクリートの塩化物含有量は,荷卸し地点で,塩化物イオン量(Cl)として0.30kg/m3以下とします。」と規定しています。フレッシュコンクリート中に含まれる塩化物量の上限値は,塩化ナトリウム(NaCI)として0.30kg/m3ではなく,塩化物イオン量(CI)として0.30kg/m3です。

【No.103】

コンクリート打ち込み時の材料分離の防止策に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)シュートを用いて打ち込む際に,縦シュートを使用した。
(2)長いシュートを用いて打ち込む際に,シュートの先端に漏斗管を設けた。
(3)長い壁に打ち込む際に,打ち込み箇所を少なくした。
(4)背の高い壁に打ち込む際に,型枠や鉄筋への衝突を避けた。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。縦シュートは何れも分離対策処置を施したものであり,硬軟を問わずコンクリートの分離を防止することが可能です。
(2)○正しい。斜めシュートを用いると分離する可能性が高いです。シュートの先端に漏斗管や当て板などを設ける方法は分離防止に有効です。
(3)×誤り。打ち込み箇所が少いと型枠内での横流しの距離が長くなり,鉄筋の存在あるいは型枠との摩擦により分離が生じやすく,分離の原因となります。
(4)○正しい。コンクリートを型枠内で自由落下させると,コンクリートが鉄筋や型枠への衝突により分離しやすくなります。コンクリートポンプのホース先端等を型枠下部まで挿入し,打設箇所へ直接コンクリートを送ることは有効です。

【No.104】

コンクリートポンプによる圧送に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)単位セメント量が少なくなると,閉塞が生じやすい。
(2)輸送管の径を大きくすると,圧力損失は小さくなる。
(3)圧送速度を大きくすると,圧送負荷は小さくなる。
(4)単位長さ当たりの圧力損失は,直管よりもベンド管の方が大きい。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。単位セメント量が少なくなると,コンクリート中のモルタルの粘性が低下し,モルタル分が先走りしてしまう等分離しやすくなり,閉塞につながりやすいです。
(2)○正しい。コンクリートを輸送するエネルギーは,輸送管との摩擦,コンクリートのせん断変形,コンクリートの移動等により生じます。輸送管の径を大きくすると,コンクリート単位容積当りの輸送管との摩擦面積を減じるため,管圧力損失は小さくなります。
(3)×誤り。一般に,物を動かす際,その速度を大きくすると大きなエネルギーが必要となります。圧送速度を大きくすることは,コンクリートを速く動かすことになるため,大きなエネルギー,すなわち圧送機械には大きな負荷がかかることになります。
(4)○正しい。直管とベンド管を比較した場合,コンクリートの移動に要するエネルギーに加え,前者は管との摩擦による抵抗が加わります。後者は管との摩擦およびコンクリートのせん断変形による抵抗も加わり,単位長さ当りの圧力損失は,直管よりもベンド管の方が大きくなります。

【No.105】

コンクリートの打ち込みおよび締め固めに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)打ち込みにおける自由落下高さを大きくすると,材料分離が生じやすい。
(2)柱と梁の接合部の打ち込みは,梁下でコンクリートをいったん打ち止め,1~2時間程度沈降待ちをして再開する。
(3)棒形振動機を鉄筋に接触させると,結束が緩んだりするので,接触しないように注意する。
(4)締め固め時間は,スランプの大きいコンクリートほど長くするのがよい。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。打ち込み時に自由落下高さを大きくすることは,仮に打ち込み箇所まで何も落下の障害となるものがない場合でも,コンクリート材料の単位容積質量の違いから分離が生じやすいです。また,自由落下する経路に鉄筋等の障害物が存在するとコンクリートが衝突する際にさらに分離を生じやすくなります。
(2)○正しい。柱と梁の接合部,あるいは壁の上部に梁が設置された部材高さが異なる部材を同時に打ち込みむ際は,ブリーディングによる沈下量の違いから,コンクリート上面にひび割れを生じることがあります。これらを防止するには,まず,高さの高い部位を梁等の下端まで先に打ち込み,ブリーディングによる沈下が落ち着くのを待って,梁などの部材のコンクリートを打設するのがよいです。
(3)○正しい。棒形振動機を鉄筋に接触させると,さまざまな障害が発生します。結束が緩み鉄筋間隔が乱れるのももちろんですが,鉄筋が振動することにより鉄筋の周囲に材料分離が生じ,鉄筋の付着が阻害される等の障害も生じます。
(4)×誤り。コンクリートを締め固めるのに要するエネルギーは,スランプが小さいコンクリートほど大きくなります。スランプの大きいコンクリートは少量のエネルギーで振動締め固めが可能であり,過剰に振動を加えると分離を生じる可能性が高くなるため,振動締め固めの時間は過大にならないように注意しなければなりません。
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